DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

「ブラック」が世に蔓延る理由?

「コート着用禁止」と宣う校則が話題になっている。自分はちょっと記事を読んだだけ、というかタイトルを見ただけで

…こいつら旧日本軍の生き残りか?

と思った(勿論「こいつら」はその校則を定めた学校の関係者を指している)。そう思った理由は本田宗一郎のエッセイにこれを彷彿とさせるエピソードがあったのを思い出したから。

 

本田宗一郎軍需物資の工場を経営していた(勿論「自ら望んで」の事ではない)時代、ある日突然軍の関係者がやってきて「作業員の作業着を指示してきた」という。…普通の(?)工場ならともかく、そこは「湯(高温で溶かして液体状になった鉄)」を扱う仕事だったのでそれに相応しい(湯が跳ねてきても怪我しないような)作業着を使っていたのだが、軍が指定してきたのは防護対策の欠片のない(軍服の延長のような?)作業着だったという(「ゲートルをつけろ」とか書いてあったような気がするがそもそもゲートルがよくわからん)。無論本田宗一郎は納得するわけがなく、今の作業服を使っている理由を丁寧に説明しても「命令だ」の一言で全く聞く耳を持たない。そして挙句の果てに

大和魂をもって作業に当たれば火の玉(「湯」が跳ねたもの)など恐れるに足らぬ

と言ってきたそうである。…もはやどう表現していいのか分からない「物体」である(何かいい表現・形容があったら教えてほしいくらい)とりあえずハッキリしているのは「こういう寝言をほざく奴がいるから日本は戦争に負けた」という事だろう。

 

このエッセイは確か「間違った精神主義ほど手に負えないものはない。」という文言で締められていたと思うが、考えてみると世の中の「ブラック企業(の社則)」のほとんどがこの「間違った精神主義」を押し通していると言っても過言ではなかろう。もしかしたらそういう経営者の多くは「間違った精神主義」を叩きこまれた軍人の子孫なのかも知れない。

精神的要素が不要だ、などとは思わない。例えば根性のない奴はどんな職についても長続きするとは思えない、あるいは困難に立ち向かえない(すぐに逃げ出す)なのでそういう要素はむしろ「ないと生きていけない」。また物理的に互角な相手が戦った時に最後の最後で勝敗を分けるのが精神面、という事もなくはない。…だが「間違った精神主義」というのはそういう話ではなく、分かりやすく言うなら「上の人間の失敗(あるいは無能)を部下の精神力で補わせる」行為。冒頭の校則についてもこれに近い匂いがプンプンしている。

 

負の遺産という言葉があるが、ブラック企業(や校則とか)もつまるところは軍国主義負の遺産ではないか、と思う。…厳密には遺産というよりは「遺児」と言う方が適切かも知れない。…とんでもない奇形の。