DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

人工知能との付き合い

COM囲碁が韓国のトップ棋士に5番勝負で勝ち越したとかで大騒ぎ(?)になっているようである(最終結果はCOMから見て○○○●○)。
自分は囲碁についてはルールを知っている程度だし、業界事情についてもほとんどわからない。COM囲碁に関しては「将棋より人間に勝つ(ソフトを作る)のは難しい」「プロと互先(将棋で言う平手)でやり合えるまであと10年はかかる」などと言われているそうだが、気が付くと将棋とほぼ同時期に世界のトッププロを打ち負かすレベルにまでになっている囲碁ソフトでもBonanzaのようなブレイクスルーがあったのかも知れないが詳しい事はわからない。自分にわかるのは今森下九段のイベント(タイトル戦の大盤解説とか)があったらこの話題だけで軽く1時間は話が持ちそうだ、という事くらい(笑)。
将棋も囲碁も「そういうゲーム(※1)なので、いずれこういう日が来ることはわかっていても、いざ来てみるとあまり気分のいいものではない(…という話は以前に書いた…と思う)。たとえそれが自分と縁のなさそうな囲碁であっても。ちなみに大山康晴十五世名人は生前COM将棋に関して
「人間が負けるに決まっているじゃないか」
「コンピュータに将棋なんか教えたらろくな事にならないから」
存在そのものに対して否定的だったそうで、その「読み」(実際にろくな事になっていない)には恐れ入るばかりである。

昨今は将棋や囲碁に限らず人工知能(AI)」が世間を騒がせていると思う。中でも大きな問題になっているのが「AIによって生み出された創作物」。つまり今のAIには「文章作成」や「作曲」といった「創作」ができるものが存在する(しかも何とか賞の1次審査を通った)そうだが、それによって噴出したのが「AIによる創作物の著作権はどこにあるのか?」という問題AIは時間当たりの創作量が人間と比べ物にならない(短時間で大量の創作物ができあがる)ので、普通に著作権を認めると普通に創作活動をしている人の「立場」「食い扶持」がなくなってしまうし(そもそも「著作権は誰の物になるのか?」)、認めないとしてもAIが作った大量の創作物を「全て自分が創作したものだ」と主張する人が出てくると(絶対出てくるに決まっている)やはり真面目に創作活動をしている人の「立場」「食い扶持」に極めて悪影響しかないこれについてはネット上で様々な意見主張が飛び交っているが、どれも万人を納得させるには程遠いように思う。
…ではこの先人類はAIとどう付き合うのが良いのか? この際だから自分の主張を述べておく。

人工知能の開発、実用化を国際法(や条約)で厳しく規制すればいい」

…かなり過激な事を言っているようにも見えるし、「そんなのは解決法ではない」と言う人もいそうである。もし自分の知名度が全国区だったら抗議が殺到するかもしれない(※2)。しかし自分のこの主張はある考え方の基に立脚している事だけは言っておきたい。

「技術は人間の為にある」

「どんなに機械が進歩しても人間の上に君臨させてはいけない」

これはHONDAの創始者である故・本田宗一郎氏──自分が「人類史上もっとも尊敬する人」の一人である──が生前によく言っていた言葉の一つである。氏の言動や哲学には共感できるものが多いが(中には「?」と思うものもあるけど)、中でもこの言葉は大げさに言うなら「未来永劫人類に伝えていくべき言葉」ではないか、とさえ思っている。
原子力発電所」を例にとると説明がしやすいかも知れない。原子力発電という技術そのものは優れた(火力発電のような大気汚染を発生せず発電量も多い)技術であるが、その一方でひとつ使い方を間違えばとんでもない事になってしまう、言わば「諸刃の剣」でもある、というのは今更説明する事もない。
…つまりこういう事になる。原子力発電という技術は「正しく使えれば」人間の為になる技術である。
…もう一度書く。「正しく使えれば」。 …しかし、今の地球の人類は原子力発電という技術を正しく使えているのだろうか? この場合の「正しく」というのは技量的な事もそうだが、それ以上に「意識(その技術を用いる事で発生するリスクとその管理)」「倫理(私利私欲のためにその技術を使っていないか)」の面において正しく使えているか、という事の方が重要である。これが欠けると折角の技術が人間の為にならない(役立つどころか負担になる)し、技術が人間の上に君臨してしまう(その技術を持つ極少数の人間が大多数の人間を支配するための道具になってしまう)という事態に陥る
残念ながら今の地球の人類はまだそのレベルには達していない、言うなれば幼児がマッチとかライターとかをおもちゃにしているようなものだと思う。つまり中には正しく扱える人もいるかも知れないが、人類全体の平均で見ると「まだ早い」。早いとか遅いとか言う以前に「そんな日は永遠に来ない」、という可能性もあるが…(笑)
ではAIについてはどうだろう。…核技術とかと比べれば「正しく使える」人は多いと思われるが、その一方で自分が開発したAI(将棋ソフト)をその世界の第一人者(つまり羽生名人)と戦わせたい、などという「己の欲望むき出しな(倫理観に欠けた)」人間もいる
何よりAIが実用化・普及されると「現在の労働人口の半分が失職する」などという予測があるので、このままだとAIは本田宗一郎が戒めた「人間の上に君臨する技術」になる可能性が極めて高い。極論するならAIの開発は「人類の尊厳・存在意義を自ら貶める行為」、それこそ「新種のテロ行為」とさえ言える(実際将棋界では「テロ未遂」が起きたし…)
昨今は「核(原子力)」「遺伝子(クローン)」を忌避する動きが強いが、自分はこれに人工知能を加えて「新・人類が戒めるべき三大技術」(どっかで聞いたフレーズだな…)とすべきではないか、と思う。あるいは百歩譲って(?)「人間にとって多大な危険が伴う作業・場所」に使用を限定するとか。…そう考えるとうってつけ(?)なのは「宇宙空間(探索・開発)」ではなかろうか。クローン技術をどのように宇宙空間で使うのかはわからないが(笑)、SFなんかでよく見かける(?)原子力による推進装置(で動く宇宙船)なんてのも作れそう(失敗しても地球の反対方向に飛ばせば多分人類&地球に影響はない)だし、AIで探索対象・経路を自分で考えられる(遠隔操作によるタイムラグが発生しない)探査機なんてのは「人間の為の技術」になりそうだし。 …我ながらうまい事考えるな、と思う(何を言うとるねん)。

もう間もなく第1期電王戦が始まる。正直どういう結果になろうと「どうでもいい」というのが本音だが(別に山崎隆之八段が嫌いと言うわけでもないし、応援するなら絶対に人間側を応援する)、もしかしたら今回の二番勝負が「人間vsCOM(AI)の対戦」という図式の大きな転換点になるような気もするしならないような気もするし…


※1…二人零和有限確定完全情報ゲーム。以前も書いたが要はゲームの結末が「先手必勝」「後手必勝」「引き分け」のいずれかである事が理論的に解明できるゲームの事。

※2…今はYahoo!ブログのコメントはYahoo!IDがないと書くことができない(どころか閲覧する事すらできない)のでどれだけコメント(抗議)がくるかは予測しづらい。
…と思っていたら4月から以前の状態(ID、ログインなしでもコメント投稿・閲覧可能)に戻っていた(笑)。