DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

どちらに転んでも新記録

第60期王位戦豊島将之王位への挑戦者は木村一基九段に決まった(※1)。その王位戦木村一基九段が

王位を獲得した場合…有吉道夫九段が持つ「初タイトル獲得年齢=37歳6ヶ月」の記録を大きく更新する(決着日によるが46歳1ヶ月~3ヶ月、木村一基九段は1973年6月23日生まれ)

王位を獲得できなかった場合森下卓九段とタイ記録である「タイトル獲得0の最多挑戦回数=6回」を更新して単独トップになる

後者の場合いよいよもって「無冠の帝王」という有難くない?肩書が木村一基九段のものになってしまう(それまでは森下卓九段を指す事が多いニックネームであった)。

ところで、今回の七番勝負は「挑戦者が17歳2ヶ月年上」という構図である。これでも相当凄い事だと思うが、「年長挑戦者記録」はほぼ間違いなく第15期棋王戦の「南芳一棋王大山康晴十五世名人」の「挑戦者が40歳年上」だと思われる(この時大山康晴十五世名人は66歳、タイトル挑戦の最年長記録でもある)。大山康晴十五世名人が絡まない記録(※2)だと今回のタイトル戦が最年長記録かも…と思ったが、2018年の名人戦佐藤天彦名人に挑戦した羽生善治竜王は「17歳4ヶ月年上の挑戦者」だった(今回挑戦者になっていたら「19歳7ヶ月年上の挑戦者」となっていた)。

…もしかしたら羽生善治九段は大山康晴十五世名人が持つ「最年長タイトル挑戦」や「年長挑戦者」の記録も更新してしまうのでは、とか思ってしまう。もっとも後者を実現させるには現在7歳の子供(※3)がタイトルホルダーにならないといけないのだが…

毎年恒例の(?)連盟の通常総会が行われ、今期の理事に立候補しなかった森内俊之専務理事の後任は脇謙二八段が務める事となった。…個人的には森下卓九段がその後任に収まる事をちょっとは期待してみたのだが(笑)。
総会では「将棋会館の移転」が話題になった(各マスコミも取り上げている)。これまで将棋連盟の「役職」にほとんど(全く?)就いた事がない羽生善治九段が会館建設準備委員長となって話が進められ、

(1)現在地に新しい建物を建て替える → 建築基準法により「今より(総床面積の)狭い建物しか建てられない」

ので断念。そこで
(2)東京23区内で移転先を募る
(3)千駄ヶ谷駅周辺のビルの一部を所有あるいは賃借する

の2案が諮られ、多数決で後者になった。候補地は千駄ヶ谷駅前の「千駄ヶ谷センタービル」、こちらも建て替えの計画があるため、それに便乗(?)する形で2024年(連盟創立100周年)をめどに移転を目指す方針、との事である。
…この案に無理矢理ケチをつける(?)とするなら

・連盟保有の建物ではなくなる
鳩森八幡神社から遠くなる
東京メトロ副都心線北参道駅」から遠くなる(現会館にはこちらから来る人も少なくない)

といった事があるが、現状与えられた条件の中では今回の案が「最善手」だと思いたい。例えば「会館周辺の土地を買収して今より広い建物を建てる」だったら上記条件を満たせるかも知れないが、そんな金があるのか分からないし、何よりその土地の所有者(居住者)の理解を得られるとも思えない(そんな強硬手段を用いたら将棋連盟の体質そのものを疑われかねない)し。

今回の総会では(というよりこれまでも)具体的な話は挙がっていないが、以前から「名古屋にも将棋会館を」という話は地元(の板谷一門)を中心に挙がることはある。折しも今は愛知県出身の豊島将之名人(現在は尼崎市在住らしいが)や藤井聡太七段の活躍が目覚ましい時期で、名古屋の政財界にもそれを実現させようという動きは活発化しつつあるそうだ。
実際問題として「連盟所有の建物」は難しいかも知れないが、今回のような「商業施設の一部を所有」という形なら実現のハードルは相当下がると思う。以前自分は冗談半分で名古屋テレビ塔(※4)の中に対局場(や一般向け道場、事務局)を設けたら?」なんて話を香龍会の二次会で言った事があるが(笑)。

他には来年度より順位戦のB2とC1の昇級枠が2人→3人に増加、それに伴いB1からの降級も2人→3人になるそうだ。これが後に「藤井ルール」なんて呼ばれ方をするかは分からない(もっとも前期は「4位」だったし)。もし今期無事に(?)B2に昇級し、来期「3位で1期抜け」したらそう揶揄される可能性はありそうだが。


※1…3年前の第57期王位戦では決定戦で豊島将之七段に勝って羽生善治王位(肩書はいずれも当時)に挑戦する、という形だったので今回は対戦相手の順番が入れ替わっている。

※2…中原誠十六世名人は24歳年下、米長邦雄永世棋聖は20歳年下。

※3…もしかしたら女性(が棋士になっている)かも知れないので「少年」と書くわけにはいかない。

※4…現在は耐震改修工事につき閉鎖中、2020年夏頃のリニューアルオープン後はホテルなどが開業される予定。