先週はブログを書かなかった。風邪気味だったというのもあるし、書くネタがなかったというのもある。
「リアル車将棋」の当日は仕事で放送を見ていない(携帯中継を見ただけ)ので書きようがなかった。ただ話を聞くと「振り駒が通常の駒で行われた」事に遺憾の意を抱いた人が多かったようである。香龍会では「車将棋なんだから振り駒も車で(廃車にする覚悟で)やるべきだ」という乱暴な?話も。無論そんな事をするわけにもいかないだろうが(トヨタはともかく会場の西武ドームへの被害が大きすぎる)、仮に本当にそれをやったとして歩にあたる「ヴィッツ」(のようなコンパクトカー)を振ったら「横に倒れる」可能性がかなりある。
実際の振り駒では立った駒と重なった駒(上下両方とも)はノーカウント、残りの「歩」と「と」の枚数のみ数え、同数だったら「もう一度振り直し」である。もしヴィッツを5台振ったら「3台が横向きで無効、1台が表、1台が裏、なので振り直し」なんて事になったかも知れない。1回でも洒落にならないというのにそれを2回以上行う(可能性が高い)のはさすがにねぇ… と気づいたのは帰宅後。
3月8日にボートレース丸亀でプロ棋士を招いてのイベント「ふれあい将棋フェスタ」が開催されるそうである(2月17日時点では日本将棋連盟のHP上での告知はない)。将棋とボートレースのコラボ(?)イベントというのは非常に珍しいと思う(自分の知る限りでは記憶にない)。
将棋とボートレース、という2つの単語から真っ先に思いつくのはやはり「屋敷伸之九段」。
将棋界きってのボートレース好きというのは業界通なら周知の事実、2013年6月からは公益社団法人日本モーターボート選手会の外部理事を務めている(※1)。勿論(?)今回のイベントにも参加の予定。
以前将棋連盟モバイルのインタビューでもボートレースについて熱く(?)語っておられた。そこで「ボートレースのトップレーサーと対談してみたい」と答えていたので
「どうせならこの日にやればいいのに」
などと思ったのだが、生憎この日は常滑と平和島の2箇所でGⅠ競走が開催されるのでトップレーサーはあらかた「出払って」いる。ついでに言うとこの日の丸亀は「オールレディース」の開催日(※2)で主な女子選手が集結(レースに参加)しているので女子のトップレーサーとの会談も叶わない。 …タイミング最悪である(笑)。
他の参加予定棋士は小林裕士七段、増田裕司六段、船江恒平五段、村田智穂女流二段、室田伊緒女流二段、の全部で6名。主なイベントは屋敷九段と室田女流二段のトークショー、プロ棋士による「詰将棋クイズ大会」、プロ棋士4名(実施時間から考えて上記2名以外の4名だと思われる)による指導対局、「屋敷伸之九段と楽しむボートレース初心者教室」など。
…「詰将棋クイズ」という言葉に違和感を覚えたあなたは立派な詰キストです(笑)。何より「詰将棋」自体がある意味「クイズ」なので「詰将棋クイズ」というのは二重表現、つまり違和感以前に「文法として間違っている」可能性がある。
前置きはこのくらいにして、2月15日は香龍会へ。往路のついでにボートレース浜名湖に寄って浜名湖と丸亀のレース(東海地区選手権と四国地区選手権の優勝戦)に投票。本当なら展示航走とかを見てじっくり予想したいところだが、そんな時間はあるわけないので「第一感+穴狙い」で。 …両レースとも非常に堅い結果に終わってハズレ(笑)。
今回も(?)M先生による「QMA(クイズマジックアカデミー)の将棋問題」が披露されたが、その中に
「佐藤紳哉六段のNHK杯での『あの』インタビューを並べ替えで答える」
なんてのがあった。『あの』インタビューというのは将棋ファンなら誰でも知っている(?)と思うのであえてここでは書かないが、これを見たほぼ全員が苦笑していた。ちなみに自分は笑いながら
「この問題を考えた奴を本気で殴りたくなった」
…どういうわけか殺意に近いものを覚えた。理由は自分にもよくわからない。他人の過去の汚点(?)を自分の飯の種(?)にしようという根性が許せなかったからだろうか?
詰将棋解答選手権が近い事もあって今回の香龍会はそれに関する話が多くを占めた。その中でも大きな議題(?)となっていたのが解答投稿時の「棋譜の書き間違い」及びそれに対する採点について。明らかな間違いではなく、例えば成・不成や右・左などの非表記(どちらでも王手になる場合)とか符号がずれている(正解が▲4四角のところを▲4五角と書いている)とか。
…厳密に判定するならこれらは全て「不正解」とするべきなのかも知れないが、こういう誤記が短手数の詰将棋に多く見られる、というのが事態を複雑化?している(かも知れない)。
例題で考えてみる。即興で作った図なので出来の悪さは無視して下さい(笑)。
例題1は「▲4二飛成△5七歩成▲2四金」までの3手詰めだが、こういう問題で「▲4二飛△5七歩▲2四金」とか「▲5二飛成△6七歩成▲2四金(初手と2手目の「筋」が1つずれている)」という感じの解答が稀にあるそうである。
…何故そういう事が起きるのか。短手数の詰将棋、たとえば解答選手権の「初級戦」(1手詰めから5手詰めまで)というのは文字通り「初級者向け」なので(※3)当然ながら(?)棋歴や棋力の浅い人の挑戦(解答)が多い。そういう人達だから「棋譜の書き方が完璧でない」人がいても不思議ではない。つまり「盤上では詰ます事が出来た(解答選手権では盤・駒を使って解いても良い)」のだが「それを正しく棋譜(符号)で表現できない(事がある)」のである。そういう人達の解答を「ルールだから」という理由だけで×としてもいいのか、という話。
…結論から言うなら「せっかくこの世界に興味を持ってくれた人をそんな理由で冷たく扱うなんて業界の為にならない」と思う。ただでさえ詰将棋の世界は「狭い世界」なので(苦笑)、新規のお客様を大事にしないなんて論外だと思う。詰将棋に限ったことではないが、何でも初心のうちは「楽しむことが第一」だと思うので、よほどルールを逸脱した行為(解答)でない限りは大目に見て(楽しんでもらって)、そこから更に上を目指したい、という人はそこで改めて正式なルール(やマナーなど)を身につけてもらう、というのが理想ではなかろうか。
昨年の解答選手権の解答(採点基準)を見せてもらったところ、初級戦の採点基準は「結構甘かった」のだが(それこそ前述の誤記でもセーフっぽい)、どこまで許容するかはなかなか難しいところのようである。例えば下の例題2の場合、初手は▲4一銀成が正解(▲4一銀不成では△4三玉で逃れ)なので、これを「▲4一銀△同玉▲4二金」という解答は… という事になる(これは多分ダメでしょう)。
もっとひねくれると例題3で初手「▲3三銀成」はどうなのか、という話になる。
3三に移動できる銀は2つあるのでこの場合「左」「右」の表記で区別しないといけない。そしてこの場合「▲3三銀左成」は不正解(角で玉を素抜かれる)なので表記は「▲3三銀右成」でないといけない…はずなのだが、この図で▲3三銀左成は「将棋のルール上反則手」なのでこの局面での▲3三銀成(という解答)は自動的に▲3三銀右成と見なしてもいいのかダメなのか、なんて話も出た。…さすがにそれを見越して意図的に「右」を省略する解答者(初級者)なんていないでしょうが(これは詰キストという人種ゆえの突っ込みと言えるかも知れない)。
そもそも棋譜の「左」「右」は一番勘違いしやすいところなので(※4)、こういう問題を初級戦で出題するのは「根性が悪い」などと思われる可能性が高い(笑)。
…残念ながら自分は当日仕事なので選手としての参加も運営の手伝いもできない見込み。
香龍会の隣の部屋では時折こちらと似たような歓声が上がっていたが、テーブルトーク(※5)かカードゲームのサークルが盛り上がっていたようである。テーブルトークは「随分昔にちょっと触れたことがある」くらいの知識経験しかないので詳しい説明はできません。
翌16日にニコ生で昨年大晦日の「リベンジマッチ」の今後についての発表があった。時間と興味があったので珍しく「生放送」で視聴。奇跡的に途中で「追い出される」事はなかった(無論皮肉で言っている)。
理事会決定は「森下九段の判定勝ち」。
主な理由は「プロの目には明らかに後手が勝勢である」、ただしそれだけだと判断として不公平かも知れないので
「同局面をツツカナvsツツカナで指し継がせたら後手が100戦して全勝」
「ただしその中には指し継ぎから300手以上かかったものもある(それこそいつ終わるかわからない)」
などの理由からそのように決定したようである。
…同席したソフトの開発者も「妥当な判断」と言ってはいるが、これはどう判定しても万人が納得できる答えは出ないと思う(ニコ生で飛び交っていた各種コメントがそれを証明している)。
何と言っても将棋は何が起きるかわからないゲームなので、たとえ100戦100勝でも101回目もそうなる保証はない。もっともあの局面だったら「先手が羽生名人・後手が自分(アマ二段くらい?)」で指し継いでも後手が勝ちそうな雰囲気だが…
個人的には完全な決着をつけてほしかった──どうせなら「宣言法」で勝つシーンを見たかった──が、これはこれである意味「妥当」とも「仕方ない」とも思う。
「森下九段には今後も公式戦などの「公務」があるのでこれ(指し継ぎ)に費やせる時間が取れるとは思えない」ので。
あえて言うなら「森下九段が一度断ったこの対局を無理矢理実現させた事」、あるいは「実現させた人(主犯は連盟の○上理事とドワンゴの○上会長か?)」が今回のような面倒な事態(?)を引き起こしたのかも知れない。
今回の会見を誰か(誰でしたっけ?)が「謝罪会見みたい」と言っていたが、言われてみるとどこぞの企業や政治家の謝罪会見よりずっと謝罪会見っぽかったかも知れない(笑)。
※3…詰将棋解答選手権の第1回(2004年)は今でいう「チャンピオン戦(9手~39手)」のみだったが、それだと参加者(のレベル)が非常に限られてしまうので、「様々なレベルの人が気軽に参加できるように」と第2回から一般戦(5手~15手)が、第3回から初級戦が創設されている。
第6回からは初級戦・一般戦は全国各地で一斉開催されるようになったため参加者が飛躍的に増加、2014年(第11回)の参加者は初級戦283名、一般戦214名だった(両方に参加した人もいる)。
※4…「上」「寄」「引」などは駒の動きそのものを表しているが、「左」「右」は駒の動きを表していない(○側の駒を動かす、という意味)ので初心者にとって間違いやすい。
例題3も「銀が左に動いた」ので▲3三銀左成、と書いてしまう人がいるに違いない。
※5…ゲーム機などのコンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ対話型のゲームの事。