DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

下剋上

今のボートレースのCMが面白いかどうかはさておき、11月のCMの中でシドウが口にした

「自分の中で『こうなったら引退』ってのはあるけどな…」

という言葉(具体的に「どうなったら引退」なのかは作中では語られていない)は瞬間的にカッコ良く見える言葉ではあるが、実際はもっと真摯に向き合うべき言葉という気もする。何故ならこのセリフは昨今話題になっている「高齢者の運転免許返納」とも決して無関係ではないと思うので。

 

高齢者の運転による事故は後を絶たない。そして高齢者の多くは「自分はまだ大丈夫」という根拠のない自信を主張している、という話は以前も書いた(「免許がないと生活にならない」という人もいるが、今はそういう人は除外して考える事とする)。その一方で「何かが起きる前に」自主返納する人も少なからず存在する。

この2種類の人間は何が違うのか、と考えた時に理由となりそうな項目として「判断力」「観察力」「矜持」といったものが考えられそうである。

極論するなら

自分の引退時期(車の運転をやめるべき時期)を量る判断力を失った奴に車の運転に必要な判断力が残っている可能性はほとんどない

と思う。そういうと「車の運転に必要な判断力(瞬発力と言うべきか)とそれは別物だ」なんて喚く人がいそうだが、自分は全然別物だとは思わない。

観察力。この場合「自分自身を第三者目線で観察する力」…というより、そういう思考法がその人にあるか、という方が正確かも知れない。どんな世界でも一流・超一流と言われる人は自己の能力に溺れることなく、それこそ「評論家のような目線で」自分(と相手と)を評価する事ができる人だと思う。

矜持…というのが適切な単語なのかは分からない。自分が冒頭のセリフを聞いた時に思い浮かんだのが大山康晴十五世名人が「A級から落ちたら引退する」と公言していた事(いつ頃から言い出したのかは分からなかった。結果は周知のようにA級在位のまま死去)。具体的にどういう想いだったのかは知りようもないが、何らかの「矜持」が「B1で指す事を拒否した」のだと思う【*1】。他の競技でも「まだまだトップでやれるだろうに」と思われている人が突然の引退、というのは時折見かけるが、そういう人達も何かしら「こうなったら引退」「(トップを張り続けたという矜持が)そこそこの成績でダラダラと現役を続ける事を拒んだ」というのがあったのではなかろうか。

車の運転にしても例えば「自分は生涯無事故無違反だった」みたいな矜持がある人は案外スパッとどこかのタイミングで運転をやめそうな気がするし、そういうものがなく「ダラダラとただ生きてきただけ」みたいな人はダラダラと運転を続ける(そしてそのうち事故る)ような気がする。…何だか自分の事を言っているような気もするが(笑)。

…車の運転について述べたが、この「こうなったら引退」という考えは政治に関わる人にこそ意識してほしい事だろう。そういう意識がない人=即アウト、というわけではないが(さすがに新人議員にそういうヴィジョンは描けないだろうし)、それでもそれなり以上の御歳を召している議員にそういうものがないと「理念も矜持もなくただダラダラと議員を続けているだけのボケ老人」にしか見えなくなるし、何より

政治家を引退する時期を量る判断力を失った奴に政治家として必要な判断力が残っている可能性はほとんどない

だろうから。

 

…早速話が脱線した、というかテーマがすり替わってしまったような感が。

チャレンジカップが終了し、年末の「聖戦士」が決まった。…今年はNPBで「下剋上」が話題となったが、今年のボートもある意味「下剋上である。チャレンジカップ選考順位が最下位(34位、その後欠場者が出たので実質は33位)だった河合佑樹大逆転でGPの出場権を獲得。

チャレンジカップ開始時点での獲得賞金は4900万円くらい、しかしGPの暫定ボーダーは7000万以上なのでGP出場のためには「優勝」あるのみ(準優勝では全然足りない)、という問答無用の状況での参戦。…しかしSGやプレミアムGⅠは選考順位で予選の枠の割り振りが決まるため、選考順位が最下位に近い選手は「予選で1号艇がもらえない*2」。そういうハンデを持ちながら予選をトップ通過、準優勝戦(ここで今節初めての1号艇)もイン逃げで優出、優勝戦も勝利して賞金3600万円を獲得して圏外からの大逆転。まさに「下剋上」でGP出場(最終順位は13位くらい)を決めた。これでGPも選出下位(1stの初戦が外枠)の選手が黄金ヘルメットを被るような事があったらそれこそ今年の漢字は『剋』でもいいんじゃね? という気になる(実際はGP優勝戦の前に「今年の漢字」は決まるし、何となく今年の漢字は「金」になりそうだし)。

一方でベスト6(2nd発進)は最後まで複雑な状況が残り、結果だけ書くと

1位:馬場貴也

2位:毒島 誠

3位:桐生順平

4位:茅原悠紀

5位:峰 竜太

6位:池田浩二

(7位:菊地孝平、その差は約60万円)

 

QCはQCで勝戦で2/3を争うバトル。勝戦②田口節子と⑥川野芽唯が2着以上なら暫定11位(QC除外の守屋美穂は順位から外した、以下同様)の海野ゆかりを超えるので確定、3着以下だともう1人の順位次第でどちらかが脱落。結果は⑥川野が2着、②田口が4着で川野が11位、海野が12位でQCの椅子を獲得、田口は21万円ほど及ばず涙を呑んだ*3

川野は④平高奈菜と最後まで競り合って結果は「僅か30㎝ほど」先着。もしこの30㎝が当落の分水嶺(3着だったらアウト)だったら劇的なストーリーだったが、最終的に3着でもQCに届いていたのであまり感動はない。それに「三苫の1㎜」と比べたら「川野の30㎝」なんて屁のようなものと(世間には)思われるだろうし。またイン逃げした三浦永理は12月28日の1号艇だけでなくGPシリーズの出場権も獲得している。

QCを第1回から皆勤していた寺田千恵の連続出場が遂に止まってしまったが、いずれは(寺田が引退したら自動的に)止まるものだからしようがない、としか言いようがない。当人もその事について(前日に「ほぼ絶望」となった時点のインタビューで)は「途切れたら(気持ちが)楽になる」とあまり気にしていない模様。

 

GPは住之江で12月17日から、QCは蒲郡で12月28日(シリーズは26日)から始まる。QCは初めてナイターでの開催。28日(土曜日)には仕事が納まっていそうなのでゆっくり楽しめそうだ。…当たるかどうかは別にして(CCの優勝戦は両方外した)。

*1:十四世名人の木村義雄もA級から落ちることなく(というか大山に名人を奪われた時に)スパっと引退しているので「永世名人としての矜持」がそうさせた、…というのは読みが単純すぎですかね?

*2:チャレンジカップは出場34人に対し予選は32レースしかないので必然的に「2人あぶれる」。他のSGも同様で出場52人に対し予選48レースなので「選考順位の下から4人は予選で1号艇をもらえない」。1号艇が当たる予定の選手が途中帰郷したりFってしまった場合は繰り上がって1号艇をもらえる選手が出てくる。

*3:今は「GⅡ以上のレースの準優勝戦、優勝戦でスタート事故がなかった場合出走者全員に『スタート無事故賞』が支給される」そうなので(去年くらいに導入されたルールだったと思う。なおLCCは準優勝戦が存在しない)、手元の計算と実際の賞金にズレがあった。