何かまた瞬間風速的に訪問者が増えている。
…きっとあれだ、あれに違いない。あそこで紹介されているんだ!(笑)
…きっとあれだ、あれに違いない。あそこで紹介されているんだ!(笑)
…それはいいとして(?)、前回の投稿直後にゲストブックに登録があった。
コメントをする人がほとんどいないブログへの勇気ある(?)書き込みと、
そして「その内容」で今回の記事の内容を決める事が出来た事に感謝の意を表します。
コメントをする人がほとんどいないブログへの勇気ある(?)書き込みと、
そして「その内容」で今回の記事の内容を決める事が出来た事に感謝の意を表します。
今回のテーマは偽作意。読み方は「ぎさくい」「にせさくい」と2種類あるようだがどちらでも良いようで、「裸玉」といい「鬼手」(※1)といい、将棋用語の「読み方」というのは案外いい加減である(笑)。
詰将棋で「作意」というのは作者が企図した詰め手順の事だが、それに「偽」がつく事で「作意っぽいが実はそうでない(玉方の妙手で逃れる)手順」という意味になる。同様の意味を持つ言葉で「紛れ」というのもあるが、紛れと言うと「正解手順でない全ての王手」という意味合いの方が強い。
一方で「偽作意」と言う場合は紛れの中でも意図的に それこそ読者(解答者)を罠にはめる目的で 用意した場合が多く、それがその作品のメインテーマ(それこそ作意手順は「おまけ」)である、という場合も多い。
そこで前回出した3手詰めの作品を再掲する。
前回は書かなかったがこの作品には「新たなる殺意」というタイトルがつけられており、明らかに読者(解答者)を罠に嵌めてやろう、という殺意(?)が見て取れる(笑)。
前回は書かなかったがこの作品には「新たなる殺意」というタイトルがつけられており、明らかに読者(解答者)を罠に嵌めてやろう、という殺意(?)が見て取れる(笑)。
作者の意図がどうであれ、解く側にしてみれば目的は「玉方の玉を詰ます」しかないわけで、まずは王手を考えないといけない。
…パッと見て思いつく王手は▲7二香成か▲7三香成(角による開き王手)。他にも▲7四香や▲6七龍という王手もあるが、何となく詰みそうな気がしない(実際詰まない。なのでこれらも厳密には「紛れ」)。
なので実質初手は▲7二香成か▲7三香成の2択、という事になる。
そして将棋指しの感覚としては攻め駒(特に飛び道具以外の小駒)はできるだけ相手玉の近くにいたほうが都合がいい、と考えたくなる。そういうわけで、大抵の人は初手▲7三香成とする。これに対し、
そして将棋指しの感覚としては攻め駒(特に飛び道具以外の小駒)はできるだけ相手玉の近くにいたほうが都合がいい、と考えたくなる。そういうわけで、大抵の人は初手▲7三香成とする。これに対し、
α:△5四玉と逃げるのは▲5六龍(9八の角による開き王手)まで。6五に合駒を打っても▲同角と取って無駄合となるので、詰将棋では▲5六龍と開き王手した局面で詰みとする(※2)。
β:△9七飛成と王手をしている角を取るのは▲7四龍まで。
どちらの場合でも3手詰めとなるので、解答する場合はα・βのどちらでも構わない(…と、以前このブログにも書いています)。
▲7三香成の開き王手には△8六歩と中合(ちゅうあい)をする妙手がある。
中合というのは、一見無駄な(タダで取られるだけの)合駒に見えるが、それをする事で詰め手順が変化したり詰みを逃れる事ができる合駒を指す。「捨合(すてあい)」という場合もある。
前述のαの手順の場合は▲5六龍の開き王手に対し8七・7六・6五と中合?を打つ事ができるが、いずれも単純に▲同角と取って手数こそ伸びるが詰め手順に変化はないのでこちらは「無駄合」の扱いとなる。
…ではこの場合の△8六歩は? 別に何の意味もないだろうと▲8六同角と取るとそこで△5四玉と逃げる。
そして▲5六龍まで…何も変わらないじゃないか、と思った矢先、何と△9八飛成と王手をしている角を抜かれてしまうではないか。
△8六歩を入れずに同じ事(前述のαの手順)をすると、9七の角が邪魔をして△9八飛成とできない。つまり、飛車で9八の角を抜けるように9七の角を動かしたのが△8六歩の中合の意味である。
こうなってしまうともうどうにもならない。以下▲5三角成△同玉▲5五龍と悪あがきをしても△5四歩くらいで続かない。谷川浩司九段に「あきらめなさい」と怒られても仕方のない局面である(※3)。
こうなってしまうともうどうにもならない。以下▲5三角成△同玉▲5五龍と悪あがきをしても△5四歩くらいで続かない。谷川浩司九段に「あきらめなさい」と怒られても仕方のない局面である(※3)。
この△8六歩の中合=偽作意に気づかずに「▲7三香成△5四玉▲5六龍」あるいは「▲7三香成△9七飛成▲7四龍」と答えた方々によって屍の山が築かれ、その事実が評価されて看受賞を受賞、というわけである。
自分も最初にこの問題を見た時にはこれ(中合)に気づかず▲7三香成で詰ましてしまったので、ゲストブックに投稿いただいた「南海の赤龍」さん共々屍の山の一部となってしまったわけである(笑)。
自分も最初にこの問題を見た時にはこれ(中合)に気づかず▲7三香成で詰ましてしまったので、ゲストブックに投稿いただいた「南海の赤龍」さん共々屍の山の一部となってしまったわけである(笑)。
そういうわけで(?)正解は▲7二香成である。これに対し、
α’…△5四玉は▲5六龍まで(前述のαと同じ)
β’…△9七飛成は▲7三龍まで。
γ…△8六歩と中合しても▲7三龍で詰み(間違って▲8六同角は△5四玉でアウト)。
この▲7三龍と突っ込むスペースを確保するのが▲7二香成と一路多く動かす意味である。
α’…△5四玉は▲5六龍まで(前述のαと同じ)
β’…△9七飛成は▲7三龍まで。
γ…△8六歩と中合しても▲7三龍で詰み(間違って▲8六同角は△5四玉でアウト)。
この▲7三龍と突っ込むスペースを確保するのが▲7二香成と一路多く動かす意味である。
初手▲7三香成ではこれができない(▲7三香成△8六歩▲7四龍は△同飛と取られてしまう)。
…(この詰将棋を初めて見た)皆様方は正解にたどり着けた、と言うより△8六歩という妙防(偽作意)に気づかれただろうか。
2箇所の赤いマスは何となく「5」が入りそうな形をしてはいるが、だからと言ってその印象のままにいきなり「5」を入れる、なんて人はいないと思う。
ナンプレの場合任意のマスに対する「誘い」が正解なのか罠なのか、は周りのマス(数字)をヒントにすることで比較的容易に判明してしまう。言い換えるなら罠が罠として機能しないのである。
なので、罠を巧妙に隠す「妙手」が成り立ちにくい(成り立たないと断言してもいいかも知れない)ナンプレで「偽作意」を作るのはほぼ不可能なのである。
…もっとも詰将棋とナンプレというパズルとしての性質がまるで違う2つ(共通しているのは盤のサイズが9×9であることくらい?)をこういう観点で比較してもあまり意味がないのだが(苦笑)。
ナンプレの場合任意のマスに対する「誘い」が正解なのか罠なのか、は周りのマス(数字)をヒントにすることで比較的容易に判明してしまう。言い換えるなら罠が罠として機能しないのである。
なので、罠を巧妙に隠す「妙手」が成り立ちにくい(成り立たないと断言してもいいかも知れない)ナンプレで「偽作意」を作るのはほぼ不可能なのである。
…もっとも詰将棋とナンプレというパズルとしての性質がまるで違う2つ(共通しているのは盤のサイズが9×9であることくらい?)をこういう観点で比較してもあまり意味がないのだが(苦笑)。
(※1)…『鬼手』の読み方は先日=6月16日放送の「将棋フォーカス」でも話題になった。
『奇手』と区別する意味で「おにて」と呼ぶ人が多いのかも知れないが、そもそも「奇手」と「鬼手」はほとんど同義の言葉なので、わざわざ読み方を変えてもしょんないのでは、というのが個人的な感想。
いっその事「鬼」の「手」、という事で鬼手と書いて「ぬーべー」とでも呼びますか?(ネタが古い…)
(※2)…△7六歩や△6五香という人間の目には一目で無駄とわかる合駒でも将棋ソフト(ゲーム)の目には「ルール上は合法的に王手を回避できる手」なので詰みと判断されない、という事が多い。
最近(最新)のソフトがどう判断しているかは(自分はやった事がないので)知りませんが(笑)、ゲーセンにある「天下一将棋会」というオンライン将棋には「200手で引き分け」という不思議なルールがあるので、局面によってはこういった無駄合(あるいはやけくそ王手)で必敗の将棋を引き分けに持ち込む事が出来てしまう(同じネット将棋でも「将棋倶楽部24」にそんなルール・イカサマは当然ながら?存在しない)。
最近(最新)のソフトがどう判断しているかは(自分はやった事がないので)知りませんが(笑)、ゲーセンにある「天下一将棋会」というオンライン将棋には「200手で引き分け」という不思議なルールがあるので、局面によってはこういった無駄合(あるいはやけくそ王手)で必敗の将棋を引き分けに持ち込む事が出来てしまう(同じネット将棋でも「将棋倶楽部24」にそんなルール・イカサマは当然ながら?存在しない)。