DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

香龍会・2014年5月

これと言った弾(作品や話のネタ)は持ち合わせていなかったが香龍会に参加。出られる時に出ておかないと顔と名前を忘れられてしまうので…

たった今「弾がない」と書いたが、当日の自分の出で立ち(服装など)は十分に「弾」として通用したのかもしれない(笑)。
「勇者度が高い」とか「ちょっとドン引き(よく考えると矛盾した表現)とか言いたい放題言われたものだが、別に「狙った」わけではなく、自分の中ではかしこまった(?)場所に行く・人に会う時の「正装(に準ずる物)」だと考えている。…傍目には絶対にそう見えないでしょうが(笑)。なので4月12日の「順位戦解説会」の時はあの服装だったし(ただし解説会中=室内では「暑い」ので脱ぐ)、その前週(4月5日)のニコファーレには使用していない(つまり「ニコ生を正装で赴く価値のない場所」と評価している事になる)。また、汚れる可能性の高い場所に行く(雨の日に出かける)時も当然ながら使用しない。

肝心の会合では主に「透明駒」の検討班(?)に加わっていた。
「透明駒」というのは読んで字の如く透明な駒。具体的には「その駒の種類・位置が不明の駒」。初形図に『α+β』と補足されており、盤上のどこかに攻め方の透明駒がα枚、玉方の透明駒がβ枚いる、という事になる(もし盤上に玉方の玉がいない場合は「玉が透明駒」として数に含まれる)。そういう駒が存在するフェアリー詰将棋の一分野である。

説明しやすい様に(?)一つの図面をおこしてみる。
イメージ 1

「1+1」なので盤上の3枚の歩以外に攻め方の駒が1枚、玉方の駒が1枚(この図の場合玉が見えないので玉)が盤上のどこかにいる、という事になる。この時、「理論的、あるいは合法的にありえる全ての可能性を考慮する」必要がある。例えばこの図の場合、玉方の玉は5一にいるかも知れないし9一かも知れない、9九かもしれない… つまり1一と5四(相手の駒が利いている)、1二と2六と5五(他の駒がいる)以外の76箇所の可能性がある。攻め方の「1」も同様で、二歩や行き所のない駒、売り切れ(例えば飛車が2枚とも所在が明らかの場合は飛車が透明駒、という可能性は消える)といった「合法でない形」を除いた全ての可能性がある。
…この時点でチンプンカンプンである可能性が高い(笑)。何せ自分もはっきりとは理解できていないので(苦笑)。
たちまち話を続けると(※1)、通常の(あるいはフェアリー)詰将棋同様「攻め方は王手を連続しないといけない」、言い換えると「攻め方の着手は理論的に可能性がない場合を除き自動的に王手になる」。例えば上の図で「▲1一歩成」は王手である、というより「自動的に王手になる」。では▲1一歩成が王手になるには盤上の透明駒がどういう状態が考えられるか? …少し考えれば玉方の玉が2一にいる場合しかありえない事がわかる(1一との利きは1二と2一、しかし1二は既に駒がいたのであり得ない)。このように駒の種類・位置が理論上1パターンしかない時に初めて透明駒はその姿が確定し、次の手以降は通常の駒として扱われる。わかりやすく書くと、1枚目の図(初形)から▲1一歩成と着手すると2手目の局面は自動的に2枚目の図(下図、正確にはこれに「1+0」)になるのである。
イメージ 2

…では同様に初手「▲5四歩」だと玉の位置が5三で確定しそう…だが、この場合は「5五の歩を動かした事による開き王手」という可能性が存在する(▲1一歩成には開き王手の可能性が存在しない)。例えば攻め方の飛車が1五&玉が9五攻め方の角が7三&玉が4六… といった具合に複数の可能性がある場合は透明駒の種類・所在は確定しない、つまり初手▲5四歩ではどちらの透明駒も種類・位置は確定されない
当然ながら(?)透明駒の着手(王手)も存在する。この場合「どの駒が」「どの場所で」「(玉が透明の場合は)どこにいる玉に対し」王手したかが確定されないので「-X」と表記される。もしこの時の着手が「通常の駒を取った」場合はその透明駒の「場所」は確定するので、「+○○」と表記される。なお、「透明駒で透明駒を取った」のはそれを証明する手段がないので「-X」になる。
最初の図で言うと初手「▲+2六」は透明駒で2六の歩を取りつつ王手である。この時点で2六に攻め方の透明駒がいることは確定するが、何がいるかはわからない(ので「▲+2六」までしか書けない)。対して2手目「△+5五」としたとする。これは「王手を回避しつつ透明駒で5五の歩を取った」事になる。今回は玉方の透明駒は玉しかいないので、この場合は自動的に「△5五玉」となり、晴れて玉方の透明駒は普通の駒になる。一方先手の透明駒は「5五の歩を取れる位置にいる玉に対して2六から王手した」事は確定するが、そのパターンは「2六角:4四玉」「2六馬:4四玉」(成駒と成っていない駒も確定できるまでは別物扱い)「2六飛(あるいは龍):4六(あるいは5六、6六)玉」と複数の可能性が考えられる為透明のままである。
イメージ 3

…やっぱりチンプンカンプンである(笑)。そこでもう1枚図を起こしてみる。
イメージ 4

今度は相手の玉が見えているので「王手」がわかりやすいと思う。
まず「▲1五金(打)」は王手である。これは誰でもわかる。むしろこれが王手にならない変則ルールを考えるほうが難しいかも(笑)。
「▲2四金」、これも王手になる。1一、あるいは1二、1三のいずれかに飛車か龍がいて、それによる開き王手と見なされる為。この場合王手ではあるが、王手をかけた透明駒のパターンは6通り(3箇所×飛or龍)あるので透明駒の位置も場所も確定しない。「▲2三金」も同様。
「▲1三金」、これは王手にならない。動かした金が玉に当たっていない上にこの手によって発生する(透明駒による)開き王手も存在しないからである。同様の事は「▲4三歩成(不成)」にも当てはまる。
「▲2五歩」は王手。3六に飛車か龍がいる(それによる開き王手)と見なされる。この場合どちらがいるかが確定しないので透明のままだが、「3六に攻め方の駒がいる事」「そこから上下左右に利きがある事」は確定する。なので初手▲2五歩の後、
・桂馬以外の駒が3六の地点を通過する(飛び越える)事はできない(※2)。
・△1七玉▲1六金と進んだ場合、これを△同玉と取る事はできない(3六の飛車or龍が利いている)。
・△2七玉とした場合、3五の透明駒は2六に利いていない=龍ではない事が証明されるので、その時点で3六の地点には攻め方の飛車が実体化する(下図)。同様の理由から▲2五歩△1七玉▲2七金△同玉と進んだ場合も3六の地点に攻め方の飛車が実体化する。
イメージ 5

「▲+4六」は「3八の桂が4六に跳んで(歩を取って)4九の角or馬による開き王手」という可能性があるため王手この場合他に▲+4六が王手になる可能性は存在しないので、「▲+4六」とした瞬間に▲4六桂が実体化する(ただしあくまで棋譜表記は「▲+4六」)。一方で王手をした駒は「4九にいる」が「角か馬かは不明」なので透明のまま。ただ、先ほどと同様に「4九に攻め方の駒がいる」「そこから両斜めに利きがある」事は確定する(上と左右に利きがあるかはわからない)。
イメージ 6

▲+5六はどうか? …5六の歩を角か馬で取ってその後ろの駒で開き王手、というのが考えられるが、1二→5六として1一飛(龍)で王手、というのは1四金がいるので却下。3四→5六としてその後ろの角(馬)で、というのは3四にいる地点で既に王手になっているのであり得ない(3八→5六も同様)。
この場合は「5二の飛車(龍)が5六の歩を取って6一の角(馬)による開き王手」という可能性が存在する。故に「▲+5六」は王手になる。この場合、透明駒は2枚とも場所及び最低の利き(6一から角の利き&5六から飛車の利き)は判明するが、成っているかいないかは共に判明しない(「▲5六飛不成」という可能性がある)ので透明のまま。
イメージ 7

この例の初形で「透明駒が1六に利いているので▲1六金の1手詰め」、という主張はできない。何故なら「透明駒が1六に利いている事の証明」ができないからである。これが今述べた「▲+4六」や「▲+5六」のように「透明駒の配置がどういうパターンであっても○○には利きがある」事が証明されれば初めてそれを足がかりとする事が可能になる。

…かえって逆効果だった(「透明駒」を敬遠する人が増えた)かも知れない(笑)。実際はこういうルール(考えられる全ての可能性)をクリアしながら玉を詰まさないといけない(中にはステイルメイトや千日手が目的の作品もあるが)のだから大変である。ましてや作る側としては「柿木将棋にかける」事ができないのでもっと大変である(笑)。
この「透明駒」はごく最近考えられたルールらしいので、今後どう発展(?)していくか、は自分には何とも言えない。余裕があったら創作に挑戦してみよう、という気がないわけではないので、次回の会合(いつ、どこに行けるかは不明)までに作れればいいのだが…

2次会では「いかに詰将棋(この場合『詰将棋という世界』『個々の作品』両方が含まれる)の面白さを伝えるか?」がメインテーマ(?)となった。
しかし、こういうものは見る側の「感性」とか「価値観」に左右される部分が非常に多く、またファンの間でも「名前」などによって作品を盲目的に(例えば「○○作だからいい作品に違いない」という感じで)評価されがちなところがまるで「宗教のようだ」、という話になってしまう。実際詰将棋作家の間には「○○教」「△△教」(それぞれ高名な作家の苗字が冠せられている)といった「2大宗教」とも言うべき存在(実際にそう名乗っているわけではなく、「傍目から見るとそう見える」、という揶揄)があるそうである。
…自分はそういうカルトな世界がよくわからないので、自分のペースで初~中級向けの作品をぼつぼつ作っていければ、と考えている(将来はどうなっているか、はわからないが…)。


※1…「たちまち」=中国地方で「とりあえず」とか「一応」を意味する方言。そっちの方に住んでいた事があるのでたま~に使いたくなってしまう(笑)。

※2…玉方がこの駒を取る事は当然可能だが、これを「透明駒で取った時」は「△+3六」と書いていいのかはよくわからなかった詰パラではその点に言及されていなかった)。