DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

2月14日放送の「相棒22」にseason1以来21年ぶり(!)【*1】に登場した落語家・橘亭青楽(たちばなてい しょうらく)。前回登場から20年以上経っての再登場【*2】なんて他のドラマではまずあり得ない話(水戸黄門だったらあったかも知れない)。

話のタイトルは「子ほめ」。落語の演目の1つで、所謂前座噺ではある。この3日前の11日にNHKの「日本の話芸」で三遊亭歌武蔵(以前もここで少し書いたので略歴等は割愛)が「子ほめ」を演じていたのは単なる偶然なのかそれとも…

話の中の登場人物は落語に関係する単語を用いた人が多い。例えば主要人物の元妻の名前「高尾紺子(たかお こうこ)」なんてどう見ても「紺屋高尾」のアレンジだろうし、殺された「目黒」は多分「目黒のサンマ」。犯人の「瀬尾」は「速水」という偽名を名乗っており繋げると「せをはやみ」=「崇徳院」の歌の最初の5文字。もっともそういう命名手法は別に珍しくもないけど。

 

前回出場時では「元アイドルの妻の過去(薬物使用)をネタにゆすってきたヤクザを歩道橋から突き落として死なせてしまった」のを右京に突き止められる。観念した青楽は直後の高座をキャンセルして出頭しようとするが、この時右京は「お客様が待ってますよ」と「最後に1席演じてから」の自首を許しており、冷徹な右京にしてはやけに寛大だったものである。

その後どれだけの刑に服していたのか、そして出所後どういう生活を送っていたのかはよくわからない。状況的に殺人ではなく過失致死となったかも知れず、後のシリーズでCDが出てきた(…記憶がある)ので、自首である事も含めて案外早くに刑期を終えた(あるいは仮釈放された)可能性はある*3今回の話では刑務所でのボランティアを定期的に行っていた事が描かれており、他にもどこかの小さな落語会(居酒屋とかに小さい高座を作ってキャパ10人くらいで行われる落語会とか)で落語を演じていた可能性はあるが、本格的な定席には出演していなかったようだ。エンディングでは「復帰公演」となる高座で(放送になっていたのは断片的だが)「子ほめ」を演じている。

 

杉下右京は作品中でざっと見積もって400人以上の犯罪者*4と相対しており、そのほとんどに厳しい非難の言葉を浴びせているが、稀に温情みのある言葉や配慮を見せる事もある。…単なるイメージだが「殺した犯人より殺された人物の方が卑劣な存在(≒犯罪者)」である時に、言うなれば「義のある犯罪者」にそういう顔を見せる事があるように思う。

「義」というのは多分一般的な表現ではないと思うが、意味合いとしては「正義」や「大義」とほぼ同義語。しかし人を殺しておいて「正義」「大義」なんて言うのもさすがにおかしいし、「緊急避難」というのも(内容としては近い場合もあるけど)ちょっと違うようにも思うので、そういった「理由」を大雑把にまとめた意味合いの言葉としていつしか使いだした。…もう少し分かりやすく説明するなら「私欲」の対義語かも知れない。

そんな自分なので世の中で起きている様々な出来事の善悪は法律云々よりも「その行為に『義』はあるか?」で量る事の方が多い。無論当事者の主張は当てにならない*5ので、三者目線で見て「この人には『義』がある」と感じるようなら大体の場合義がある。例えば最近やけに目につく「飲食店の備品に対する不衛生ないたずら」、これなんかは(その行為には「閲覧数を稼ぎたい」などの「私欲」しかないので)ハッキリと「こいつらには1μの義もない」と断罪できる

ただそういう基準で行くと安倍晋三岸田文雄を襲撃した人は「義に満ち溢れている」とさえ言えるし、極論するならプーチンを抹殺するために核ミサイルをぶっ放す」事も「義のある行為」になってしまうかも知れないので、「義」というのはそれこそ核や遺伝子以上に扱うのが難しい技術(?)かも知れない*6

*1:一部メディアでは「22年ぶり」と書かれているが、厳密にカウントするなら「21年と4カ月弱ぶり(前回登場が2002年10月下旬、ちなみに度々登場する「ヒロコママ」の初登場回でもあった)」なのでここでは「21年」とした。

*2:ただし演者の小宮孝泰はその間に別役で相棒に出演している。

*3:同じSeason1で殺人で逮捕された別の犯人がSeason6に「仮釈放中」の身で再登場していたので。

*4:プレシーズンから数えてシリーズ400回突破、と少し前に言っていたので「1話あたり犯人1人」としても400人を超える計算になる。中には犯人がいない(被害者は自殺だった)話や犯人が沢山いる話もあるので正確な数字はよほどのマニアでないと把握していないだろう。

*5:プーチンや金の豚なんかは正に「己の正義を信じて疑っていない」典型例だが、あれの正義をどれだけの人が認めていると言うのか? と言えば分かりやすいだろう。

*6:それについて1000字近く記事を続けたが、日を置いて見直した時に「さすがにブログとかで書く事じゃないよな」と思って抹消した。…やはり「見直しは重要」(笑)。