ボートレースで通算１０００勝は史上１２００人目、女子では３３人目。もしレディースチャンピオン優勝戦（つまり自分が見ている目の前）で達成されたら「全俺が泣いた」という人でネット上が溢れ返っていた…かも知れないが、神とやらはそこまで劇的な結末は用意してくれなかったようだ【*1】。
ＧⅠやＳＧでの「初１着」の水神祭、あるいは同「初優勝」の水神祭はある意味風物詩であるが、ＧⅠやＳＧでのメモリアル勝利（大抵は１０００勝から５００勝ずつ）達成というのはなかなか見られない（単純に巡り合わせの問題だろうけど）。これに関する記事を読めばわかるが、レース前から本人にバレないように「仕込み」が用意され、レース終了直後から大騒ぎ。最終的に水神祭で「飛び込んだ」人数は歴代最多？と思わせるような水神祭。それもこれもそれだけ彼女が選手からも好かれている＆慕われている、という事なのだろう。
水神祭はこのような「節目」に行われるわけだが、中には「引退する時」とか「妻の出産祝い」で放り込まれる事もある。またちょっと変わった「節目」としては、１２日に江戸川で東京支部の桑原将光が「江戸川で２着２００回」を記念？した水神祭を行っている（ちなみに同選手の江戸川１着回数は１７９回と「２着の方が多い」のでそれが今回水神祭が行われた理由かも）。
将棋界で通算１０００勝を達成すると「特別将棋栄誉賞」で表彰される。達成者はこれまでに９人。そしてそろそろ達成されそうなのが４人。
丸山忠久…９８４勝（５９５敗）
森下 卓…９８２勝（７２３敗）
森内俊之…９６８勝（６１４敗）
郷田真隆…９４４勝（６１４敗）
成績は８月１日時点のもの。また桐山清澄は１０００勝を目前にして（９９６勝で）昨年に引退となってしまった【*2】。
この１３人の中で唯一、かつ異色な存在と言えるのは森下卓だろう。彼だけこの中で唯一タイトル獲得の経験がない（他の「９４０勝以上している」１３人は全員最低でも１期は獲得している）。そしておそらくは史上唯一の「無冠で１０００勝」棋士となりそうである【*3】。
その森下九段、若い頃は「３年間で１７１勝」するくらい勝ちまくり、「生涯の目標は１５００勝」という公言も本当にやってしまいそうな勢いだったのが、気が付くと「１０００勝で打ち止めです」と自虐？する現在になってしまったのは何故か？ …これでも一応いろいろな人（森下九段本人を含む）の話を見聞きしてきた自分の中では「森下九段が１５００勝に到達できなかった理由」に何となく「あたり」がついている。ただそれを軽々しく（特にＳＮＳ上で）語る事は避ける。…別に森下九段特有の理由ではなく、「目標を達成できない人」の一定数は「同じ理由」でその目標を達成できないというので、極端な話「誰にでも起きうる現象」だと言える。なので自分もその事を知ってからは目標の扱い方？が変わったと思う。
競技によって１０００勝という数字は「偉業」だったり「単なる通過点」だったり、最近の（対戦型）ゲームだと「これで初心者卒業」的な扱いを受ける事が多くなっているような気もする。公営競技の選手（騎手）だと「一流だとは思うがまだ通過点」的な印象が強く【*4】、将棋や囲碁だと「偉業」の部類（少なくとも単なる通過点とは思えない）。スポーツだと大抵の場合「偉業」、中には「不可能記録」に属するものもある（例えば野球の「投手の勝利数」とか）。…ただいずれにも共通しているのは「長い期間勝ち続けないと到達できない」という事。たとえ勝利の難易度が低い競技だとしても月間・年間で稼げる勝利数が少ないと勝利数は稼げない（例えば棋士だと多くても年間６０～７０局とかなので仮に全勝でも１５年からかかる計算になる）。その点ソシャゲは（ものにも因るが）その気になれば「１日に５０勝」とか稼ぐ事ができるから、マジで「１０００勝でもまだ初心者」扱いされる可能性すらある。
…ま、ベクトルの違う「１０００勝」を比較する意味自体が全くないのだけど。
*1:一方で「ああいう結末」「こういう舞台（永瀬王座の『名誉王座』をかけた対戦相手）」で「八冠のお膳立て」を用意するわけだから、神というのは「この上なく性格や性根が邪悪な存在」であるに違いない。
*2:ちなみに藤井聡太は「３３４勝」。…まぁ「その時まで日本将棋連盟が存続していれば」達成するでしょうな。
*3:森下に次ぐ無冠の最多勝は阿部隆の８４５勝。…無理と断言はしないが達成する可能性はあまり高くなさそう。
*4:平山智加は登録番号「４３８７」（つまり過去にそれだけ選手がいた）なので単純計算すると（彼女より登録番号が大きい＆先に１０００勝した選手もいるだろうが）「ボートレーサーの４人に１人くらいは１０００勝を達成する」事になる。
