DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

自分は本気で藤井聡太を殺そうと思った

全財産(現金+キャッシュカード+その他諸々)が入った財布を落とした。

財布を紛失する人はそんなに珍しくもないのかも知れないが、「翌日に東京に発つ予定」の人が財布を紛失、なんてのは人類史上に名前が残りそうなレベルのポカである(多分)。

単に財布を無くしただけならまだ諦めがつくのかも知れないが、今回の件に関してはどうにも諦めがつかない、というかハッキリと「怒り」を覚える事象である。というのは

自分が某ラーメン屋で落とした財布を拾ってそのまま店員とかに届けずパクっていった奴が防犯カメラに映っていた

から(店員に事情を話したら防犯カメラを見せてくれた)。

とりあえず近くの交番に(防犯カメラの件も含めて)届け出たが、前述のように「翌日に東京に発つ」ので「出てくるまで待つ」なんて呑気なことは言っていられない。上記の状況から「中の現金を抜き取って財布は捨てた」という可能性が高いと踏んだので、

紛失したラーメン屋近辺のコンビニとかのゴミ箱を片っ端から漁る

という行動にも出た(勿論店員に簡単に事情を話して許可を得たうえでゴミ箱を改めました)が結局見つからず。

諦めて帰宅(辛うじて小銭入れに帰りのバス賃は残っていた)、吉報(?)が届くのを待ったが来ず。結局内臓を全部吐き出すような思いで東京行きを断念、飛行機やホテルなどのキャンセル手続き。両国将棋センター(27日のイベントに参加予定だった)や向うで会う人にもキャンセルの連絡を入れる【*1】。

こういう事態が起きると(個人差はあるのかも知れないが)「考え得る最悪の事態」に気持ちが揺れる。今回の場合だと預金を(勿論不正手段で)全部引き出され文字通りの無一文になってしまうとか。そんな状態だから食欲など全くなく(無理に食べようとして吐きそうになった)、布団に入っても気持ちが落ち着くわけもない。それどころか「考え得る最悪の事態」はどんどん心に侵食していく。そして遂にこんな事まで考えてしまう。

このまま野垂れ死ぬくらいなら藤井聡太を殺して刑務所に行く

 

…この日は結局いつ、どのくらい眠れたのか全く分からない。次の日、朝一で北洋銀行へ。預金の安否(?)確認とキャッシュカードの再発行手続き。…預金は無事である事を確認できた事で「考え得る最悪の事態」は脱した。そしてそれと同時に藤井聡太への殺意も消えた。もっとも「理論上最悪の事態」を脱しただけ、言うなれば「-9999」が「-9900」くらいになった程度の話で、失った&帰ってこないものの大きさ・重さを考えるとこの先一生消えない心の傷を抱えて生きていく事になりそうだ、と考えると全く気が晴れない。

諸々の再発行手続きとかを一通り済ませ(免許証の交付番号の末尾が「1」になってしまった…)「理論上は」生活ができる状態にまで復帰はしたが気持ちは全く晴れない。とても仕事ができるような状態ではなかったので11月いっぱいまで休みにしてもらった。

 

大分気持ちが落ち着いてきたので今回の出来事をこうして記事にしてるわけだが、どう考えてもこの備忘録(?)で注目してしまうのは「このまま野垂れ死ぬくらいなら藤井聡太を殺す」という一文だろう。確かに自分は以前から「アンチ藤井」を公言しているし、「藤井聡太の存在は将棋界にとってマイナスにもなり得る」なんて事も言っているが、だからと言ってそれが殺意につながるなんて事はなかった。それが今回の出来事ではどうか。今振り返るとあの時の自分は「相当な殺意」を覚えていたと思う。

…今回の事から身に染みて分かった事。

人は追い詰められると何をする(考える)かわからない

仮に恐ろしい事を考え付いたとしても、平時だったらそれの善悪はつくはずである。こんな自分であっても「藤井聡太を殺す」なんて発想がまともでない事くらいわかっている。…のだが、

人は追い詰められると判断力が著しく失われる

だからあの時の自分は「藤井聡太への殺意」などという狂気に満ちた(?)思想の善悪の判断すらできなかったのだと思う(そもそも「無一文でどうやって殺しに行くのか?」という事にも思いが至っていなかったし)。

上記の2つの症状(?)は話としては結構聞くが、実際にどうなるのか、というのはなかなか文章とかでは説明しにくい。つまり

追い詰められた人間の心理は追い詰められた事のある人間にしか理解できない

のである。もしかしたらその手の専門家(犯罪心理学者とか)でもちゃんと理解できているのか怪しいものである。

 

今回の件でもう1つ分かった(かも知れない)事。

世の中の犯罪の何%かは追い詰められた人間が判断力を失ったがために引き起こされたものではないか

例えば「生活費に困ったのでコンビニ強盗をやった」という話、まともな(?)判断力を持った人ならそれがどれだけ愚かな事かを理解できるが、「追い詰められた人」はこの程度の判断力ですら失われている可能性が高い。だからと言ってその人の犯罪を肯定するものではないが、今回の件を経た後だと「追い詰められた理由」が自分の責に帰さないもの(詐欺とか窃盗とかの被害者)だったとしたら正直再考してしまう。つまり

世の中の犯罪の何%かは一部の「心無い人間の行為で追い詰められた」人間によって引き起こされたものではないか

何が「起爆装置」になるかは個人差があるかも知れないが、「金銭的なもの」はそのトリガーになる可能性は非常に高い。もしかしたら「落とした財布をパクられた(届けなかった)」事で引き起こされた犯罪もあったかも知れない、いや、あったと思う。

今回の件ももしかしたら「心無い人間が財布をパクった」一件が「将棋界の至宝が殺害される」という事件にまで発展した可能性もあったわけで、

拾った財布をそのままパクるとどんな悲劇が起こるかわかったものではない

自分のように(辛うじて崖っぷちで踏み止まる事ができたが)「特定の個人の殺害」かも知れないし、「無差別殺人」が起きるかも知れない。もしそれで財布をパクった奴の家族が犠牲になったら、そして「俺の財布がパクられていなかったらこんな事はしなかった」と主張されたら… どう考えても悲劇しか残らない。ちょっと話が飛躍し過ぎているかも知れないが、世の中には

「人の心」を見せていたら発生せずに済んだ犯罪もあったのではないか

と思ってしまう。

 

まぁ早い話が

財布を拾ったらすぐに届け出ましょう

という事。「財布を拾ったら1割もらえる」なんて俗説があるが、あれは俗説ではなく民法で「拾得物の価値の5%~20%を謝礼として請求できる」と定められている*2】。ついでに言うと「届け出にかかった費用(交番とかまでの交通費など)」も別途請求できる。もしかしたら

その善意(拾った財布を届ける→落とし主の手に戻る)によって悲劇的な犯罪を防ぐ事ができる

かも知れない。だとしたら「財布を届けない(中身をパクる)という選択肢はない」と思う。ちなみに謝礼を受け取る権利は財布を拾った日から7日以内に届けないと失効するし、「管理者のいる場所で拾った場合は24時間以内に届け出ないと失効」する*3】。また拾った財布の中の現金をネコババすると(今回の場合されている可能性は極めて高い)「遺失物等横領罪」という犯罪になる*4】。…やはり「拾った財布を届けないという選択肢はない」ようだ。

 

…この事が契機(?)となって拾った財布をパクる、という事件(前述のようにパクると犯罪です)がなくなれば、個人的な希望を言えば「財布と中身【*5】が戻ってくれば…」と思うが、財布と中身以上に「プライスレス」をたくさん失ったので、今更財布が戻ってきたところで(仮に現金がそのまま残っていたとしても)どれだけ気が晴れる事か… それに人間は愚かな生き物なので未遂では啓蒙にならないような気もするし。

*1:今思うと詰工房への参加取り消しの連絡をしていなかった(いろいろあり過ぎて詰工房の事を失念していたと思う)。無断で欠席して申し訳ありませんでした…

*2:ただし警察は関与しないので具体的な金額等は当事者同士の交渉で決める。また「権利の放棄」も可能である(場合によっては拾得者が住所や氏名を教える事になるのでそれを嫌う場合とか)。

*3:今回の自分の件の場合「ラーメン屋の店内で落とした」事がわかっているので後者に該当=謝礼を受け取る権利は既に消失している…はず。

*4:状況によってはより重い「窃盗罪」に問われる可能性もある。今回の場合財布を落とした=「もともとの占有者の占有を離れている」ので窃盗罪に問われる事はなさそうだが。

*5:現金は仕方ないとしても「もう手に入らないもの(記念TOICAとか)」がたくさん入っていた…