DJカートン.mmix

他人に完璧を要求するのは質の悪い潔癖症のようなものだ。

ゲームの世界に○○を持ち込む人

先日ようやく(?)聖戦の系譜をクリアした。予備知識0から始めたのでいろいろと紆余曲折(?)があったし、「真・女神転生if...」をプレイしたり詰パラを読んでいる時間もあったのでプレイ開始から数えたら相当な日数を要してはいるが(ついでに言うと「寝落ち」した事も一度や二度ではない)。

…なお自分は最新のシリーズ(というか聖戦の系譜以降全て)をプレイしていないので、今と昔で事情が全然違う(改善ないし改悪された)箇所があるかも分からない(あってもほとんど知らない)のでご了承を。

 

…根性の悪い(≒倒すのが厄介な)敵が多いのはFEシリーズの伝統(?)だからいいとして、自分の中でこのゲームの評価を下げたポイントが1つ。

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エンディングで見れるいわば「プレイ評価」。ちなみにE評価(最低)をされたからこのゲームの評価を下げてやった、とかではなくて…(笑)

この画面にある4つの評価について。何となく言葉通りの意味ではあるが少し詳しく話した方がFEに詳しくない人にも話が通じやすいだろう。A評価の為の条件とかはその辺のサイトの情報を引用。

 

攻略評価…このゲームのクリアに要した総ターン数(序章~終章までの合計)。少ない(早い)ほど評価は高い。A評価を取るには「最速・最短距離」で進軍して何とかなる、というレベルっぽい

経験評価…プレイヤーキャラのレベルの合計。高いほど評価は高い。A評価には全キャラ平均で27(最大は30)くらい必要

生存評価…クリア時に何人生き残ったか。A評価は全員生存、戦死者を生き返らせてもOK。「ストーリー上死ぬ人」はその直前まで生きていれば生存にカウント、「味方になる人を味方にしなかった」は死亡扱いで減点

戦闘評価…戦闘で敗北した数。A評価にはトータルで3敗以下。敗北数は敗北(=戦死)が確定した時点でカウントされ、直近のセーブデータに敗北数が上書きされるので「リセットしても消せない」。そのため運否天賦に任せたプレイでA評価はまず無理

 

「ゲーム」に対して戦術論(?)を展開してもあまりいい事はない(というか最近流行?の「論破」みたいである意味アホらしい)のだが、自分はこういった戦術シミュレーションゲーム「攻略速度」を評価する意味はほとんどない、それどころか有害だと思っている。

何故か。戦術シミュレーションゲームで攻略速度を上げようとするとどうしても「綱渡りのような奇策」、あるいはそれこそ運否天賦(乱数でいい結果が出なかったら失敗)の戦術を取らなくてはいけなくなる場面が多くなる(FEも例外ではない)。…だが、戦いにおいてそういった奇計奇策で勝つというのは一言で言うと「最悪の勝ち方」である(断言してもいい)世の中には三国志演義諸葛亮みたいに)奇計奇策を駆使して勝つのが名将」と考えている輩が少なくないが、自分に言わせたら本気でそう考えている奴は「ただのアホ」でしかない。

…じゃあ「最善の勝ち方」は何だ、と聞かれたらその答えは

勝ち易きに勝つ

に尽きるだろう。

 

勝ち易きに勝つ、はこのブログでも度々登場(?)している孫子」の中の一文である。…つまり自分は「ゲームの世界に孫子を持ち込む人」なのである。世の中には意図的に難条件を課してプレイする、所謂「ドMプレイ」をする(好む)人が少なくない(最近は頓に多いような気がする)が、自分にはそういった孫子の精神に悖る(?)ようなプレイをしようという気が起きない(同様の理屈で「低レベルクリア」というのも専門外。「確固たる勝算がある前提の低レベルクリア」は別として)

…ただ、この「勝ち易きに勝つ」というのはどちらかと言うと戦術ではなく戦略について述べた言葉で、勝ち易き=「勝率が高い(理想は開戦前に『戦ったら100%勝てる』と確信の持てる)状況」を作ってから戦いを始めよという意味になる。具体的にそれを構成する要素は「戦う相手」「戦う時期」「戦う場所」「投入する戦力」などがある。

しかしこの手の戦術シミュレーションゲームというのは基本的にこれらの戦略的要素をプレイヤーが選択(構築)する権利がなく(「戦術」シミュレーションゲームだからある意味仕方ないのかも知れないが)、タイトル画面でスタートボタンを押したら(オープニングを挟んで)すぐに戦闘開始である。つまり誰か*1がやらかした「戦略的失策」の後始末をさせられるようなもので、ストーリー上では「侵攻」や「奪還」と言っていても実際は「防衛戦」を戦っている感覚に近い。

そういった戦略的に有利とは言えない(時には「ハッキリと不利」な)状況で真正面から戦いを挑んでも勝算は薄い(あるいは全くない)。それでも勝とうとするなら

・戦力を増強する

・戦い方を工夫する

のどちらかになる。だがFEの場合「味方の数を増やす」のは基本的に不可能だし、「強くする」のは「戦闘開始後に」敵を倒して経験値を稼ぐ必要がある(「訓練」みたいのは基本存在しない)ので、(ある意味不本意ではあるが)戦術を工夫するしかない(まぁそういうゲームだし)。…ではその基本方針は? これも孫子にある。

まず勝つべからざるを為して敵の勝つべきを待つ

勝つべからざる=不敗の態勢、敵の勝つべき=敵の弱点・隙

よくある戦い方は「こちらに有利な場所に敵を誘い込んで皆で叩く」。幸いこういうゲームの場合「敵が向うから攻め込んでくる事が多い」ので(専守防衛で動かない敵もいるが)、「勝つべからざるを為す」事ができれば勝率(前述の「生存評価」「戦闘評価」でAを取る可能性)はグッと高まる。

FEはお互いの能力値から「与える(受ける)ダメージを事前に計算できる」ので、「○発までなら攻撃を耐えられる」という前提条件で「勝つべからざるを為す」事が多くなる。なお攻撃は絶対当たるとも限らない(攻撃側の「命中」から防御側の「回避」を引いた値を%にしたものが命中率。100以上であれば絶対当たるし、マイナスになった場合命中率0=絶対当たらなくなる)が、このゲームでは「攻撃は全部喰らうという前提で戦術を練る」のが鉄則。「4発飛んでくる攻撃のうち1発かわせれば成功」みたいな戦術を平然と取る奴に未来はない(笑)。

0と100以外は信用するな

初代(FC版の「暗黒竜と光の剣」)から30年以上言われ続けるFEの有名な(?)格言である。わずか1%、でもその1%がここぞという時に限ってヒットする(そのせいでリセットする羽目になってしまう&戦闘評価を落としてしまう)のがFEというゲームなのである【*2】。

…それはともかくとしても、こちらに有利な場所で戦おうとすると「敵がやってくるまで待つ」事になるので時間がかかるのはどうにも避けられない。なので基本的に「不敗の戦い」と「攻略速度」とは非常に相性が悪いのである。しかもFEの場合「村や民が敵に襲われる(早く助けないと潰される・殺される)」という要素もあるので、彼等を救出しようとすると「勝つべからざるを為す」為の時間が取れない、なんて事も珍しくない*3

…こちらが「無双」できるくらいに強ければそんな戦術は必要ない(ぶっちゃけ「無双できるくらいに強い」時点で「勝つべからざるを為している」と言える)が、FEの場合「強くする(経験値を稼ぐ)時間が必要になる(攻略速度に含まれる)」のでやっぱり両立が困難である。その二律背反を解消する(オールAを取る)ためには…「奇計奇策」の出番になってしまう。

繰り返しになるが、奇計奇策というのは「最悪の勝ち方」である。時には奇計奇策を用いないといけない場面に遭遇する(FEは意図的にそういう場面を構築している事が多い)が、そういう場合でも奇計奇策は「最後の手段」であると弁え【*4】、可能な限りもっとスマートな勝ち方  言い換えるなら「ミスやハプニングが起きにくい勝ち方」  を考えるのが「名将」であろう。…もっとも「真の」名将は「そういう(奇計奇策が必要な)戦況を作らない(戦う前から有利な状況を構築できる)」人だと思うけど(繰り返しになるがFEでは「戦略」に関与する事ができない【*5】)。かなり妙な喩えになるが、「コンビニ強盗」で喩えるなら

凡将…強盗を力でねじ伏せる

名将…力の弱い人(女性とか)でも撃退できる方法を用意しておく

真の名将…強盗が入って来れない(入る気を失せさせるような)仕組みを用意しておく

と言ったところか。

 

…まぁFEは「所詮ゲーム」なのでどういう風に楽しもうと個人の勝手であるし、何と言っても前述のような「勝ち易きに勝つ」プレイというのはプレイしていて&見ていてつまらないと感じる人の方が多い(そして昨今流行りの「ゲーム実況」だったら絶対に評価されない)だろう。それは事実である。実際孫子にも書かれている。

善く戦う者は勝ち易きに勝つ。故に善く戦う者の勝や、智名もなく勇功もなし

善く戦う者=戦上手、智名=優れた智謀に対する評価・名声、勇功=派手な武勇伝

不敗の戦いというのは「智名もなく勇功もなし」、つまり一言で言えば「地味~」なのである。それを理解できる(そしてその「地味~な戦い」に退屈さを覚えない)事が名将の条件だと思う。

 

…相変わらず脱線が多くなってしまったが、上記の理由から自分はこのゲームの「評価に値しない項目を評価対象とした事」に対し減点をつけるものである。異論は認めない(それ以外の内容はおおむね評価しているつもり)。「攻略評価」については「ゲーム全体の攻略速度」ではなく、先ほども書いた「村や民の救出」を評価対象(救出できなかったら減点)としていたらまた違う採点となっていただろう(ゲームの中の話とは言え、最速でクリアするなどといった「個人的な名誉や勲章」のために平然と民を見捨てるような輩の何を評価しろと言うのか?)、と思うと何か勿体ない。

 

…こんな事を書くと一部のFEマニアが自分以上に拙い孫子の知識を持ちだして反論してくるかも知れない。

兵は拙速を聞くも未だ巧久を賭ざるなり

拙速=欠点のある素早い行動、巧久=隙はないが鈍重な行動、~を賭ざる(「みざる」と読む)=~が上手くいった例がない

「兵は拙速を尊ぶ」なんて言われる事もあるが、「速けりゃ何でもいい」「速い事は正義(あるいは神)」みたいに解釈する人がいそうな文句である。…が、これはそういう意味ではなく、「チャンス(相手の隙とか)を見つけたらあれこれ考えを巡らせずすぐに行動しろ(細かい修正は戦いながら行え)という意味である。「勝つべからざるを為している」敵に対し、攻略速度だけ考えて突撃するのは単なるアホである。また「巧久を賭ざる」と言うのも「戦闘が長く続くと兵の士気が続かない、戦費がかさむ=国力を損なう(のでダラダラと戦闘を続けるな)」、ひいては「長期戦必至な戦争ははじめからやるな」という意味であるが、幸いにして(?)FEには士気という概念も戦費という概念もないので人命を最優先するために超長期戦に持ち込んだって全然問題ないのである(もっとも長期戦は「プレイヤーの士気」に影響を及ぼしやすいが…)。そもそも「兵は拙速を聞くも・・・」というのも戦略について述べたものであるので、「戦略的失策」を押し付けられたプレイヤーにそんな事を言っている時点で意味がない。

 

聖戦の系譜「クリア回数(前出の画像の「CLEAR」の値)によってタイトルデモの種類が増える」らしく、気が向いたら2回目以降のプレイをしてる可能性は高い(登場キャラ同士の「組み合わせ」によって後半の攻略法や難易度に影響があるので複数回楽しめる作りになっている)。ただそういう場合でも自分は「攻略評価」を狙ったプレイは多分しない。…言っておくが「できない」のではなく「やらない」、つまり「やろうと思えば多分できる」。ただそのための戦術を考える&実行するのは非常に面倒だと思われる(下手すりゃ「まず勝つべからざるを為して敵の勝つべきを待つ」方がプレイ時間が短くて済むかも知れない)ので、特別な理由(「報酬」がもらえる、とか【*6】)でもない限りプレイスタイルを変える気はない。

*1:「メタ発言」するならゲーム制作者(笑)。

*2:シリーズの中には「0と100が存在しない(全ての確率が1~99%の中に丸め込まれる)」シリーズもあるそうな。…一体どーせーっちゅうねん(笑)。

*3:聖戦の系譜では「彼等を見殺しにしても減点対象にならない」ので(後のシリーズは知らん)、最速クリアの為には彼等を平然と見殺しにする「人でなし(笑)」にならないといけないようだ。…主人公シグルドがゲーム開始直後に「民を守ることはわれら騎士の義務だ」と言っているにも関わらず(笑)。

*4:それを弁えず奇計奇策を繰り返していると「どんな不利な状況でも勝てる」と思い込んで無謀な戦いを仕掛け凄惨な結果を迎える事が多い(旧日本軍なんかがいい例である)。なので奇計奇策は「最悪の勝ち方」なのである。

*5:今のゲーム(特にスマホゲー。もしかしたら最新のFEも?)はメインストーリー以外にサブストーリー(そこで経験値などを獲得できる)が充実?しているものが多いので(単純計算でゲームの容量が100~1000倍違うから「いくらでもイベント等を入れる事ができてしまう」)、ぶっちゃけ「戦略という概念を必要としない」のかも知れない。

*6:ゲームのデバッグでは「可能な限り最短最速でクリアする」、つまり「仕事で」最速プレイを「させられる」事もある(勿論プレイ中にバグがないか等の確認も行う)。自分も経験があるが、「ゲーム中の選択肢がほとんどない」ので精神的に結構辛い(笑)。