DJカートン.mmix

他人に完璧を要求するのは質の悪い潔癖症のようなものだ。

雪辱

ワールドカップのGL(グループリーグ)H組第3戦日本vsポーランド戦(※1)の戦い方に非難が集中しているようだが、自分は「定められたルールに則った戦い方」である以上、これを非難する人間の思考が理解できない

長期的な展望(つまり今回のW杯以降の日本代表のレベルとか)で見た時に今回のような姑息な戦術──「正しい意味で」読んで下さい──がプラスになるのか、という考えはともかく、

「どんなにおかしなルールであっても決まった以上はそれに合わせて準備する・それに合わせたプレーをするのがアスリート(や監督)の務め」

という考え(最近だとボートレーサーの松井繫選手がそう言っていた記憶がある)は非難されるものではない──非難されるべきはそういうルールを定めた側である──、むしろ「結果」を求められるプロのアスリートとしては当然の思考・行動(※2)だと思う。そして何より重要なのは

今回の作戦を非難した人はもし(ポーランド戦で)引き分けを狙いに行って反対に0-2で(得失点差によって)敗退していたとしたら
「あそこで守りに入って0-1で終わらせていたらGL突破していただろ!」
という非難を『絶対に』していただろう

という事。そんな──他人を非難する事を生きがいとするような──輩を信用してはいけない(…と言ったのはニーチェだったっけ?)。

…6月29日は第31期竜王戦決勝トーナメント、増田康宏六段(4組優勝)-藤井聡太七段(5組優勝)戦が行われた。昨年も同棋戦の決勝トーナメントで対戦、しかも「29連勝」の記録がかかった「因縁の対局」である。
ちなみに竜王戦決勝トーナメントでは「勝ち上がったクラスの順位が序列」という決まり──つまり上から「1組優勝」→「1組2位」→「1組3位」→・・(中略)・・→「4組優勝」→「5組優勝」→「6組優勝」──があるらしい(いつぞやの中継コメントにそう書いてあった記憶がある)ので、藤井聡太七段を差し置いて「増田康宏六段が上座に座っている」「増田康宏六段の振り歩先で振り駒が行われた」のは誤りではない…はず(そもそも「本来なら上座」の棋士が何らかの理由で下座に座る、という事はそれこそ1年に何度もある)。もっとも実際は「実際の序列≠竜王戦の序列」になる事はそう多くないのでファンはともかく棋士でもその辺りをよく知らない、という人がいるかも知れない。

将棋は先手となった増田康宏六段が▲7六歩△8四歩▲6八銀と矢倉の出だしに。増田康宏六段というと「矢倉は終わった」発言が有名(?)であるが、後日「終わったは言い過ぎでした」と発言撤回している(※3)。…将棋は数日前に出た結論が180度ひっくり返る事が珍しくないゲームですから、と擁護(?)してみたり(笑)。
それでも一度7七に上がった銀を6八に引く、という手順はなかなか斬新である。
イメージ 1
増田康宏六段はこの直近の対局でも同様の構想(高見泰地叡王戦、この時は後手番だったので3三銀を△4二銀)を見せている。対矢倉中飛車の定跡に一度上がった銀を引くというのはあるが、この対局も直近の対局も相手は居飛車である。こういう将棋を見ているとそれこそ現代将棋は「何でもあり」という感じである。
局面は常に先手ペース、という感じだったが、▲9五角のタダ捨てを経た下図の局面は後手にチャンスがあったという。
イメージ 2
本譜は単に△7五角だったが、△7七桂▲5九玉(▲5八玉は△6九角)を決めてから△7五角なら「後手優勢」だったという。本譜は△7五角に▲5三歩が厳しく(そこで△7七桂は「▲同金」△同歩成に▲5二歩成△同玉▲5三歩から詰んでしまう)、以下藤井聡太七段が粘りを見せるも最後は即詰みに討ち取り1年前の雪辱に成功した。最後▲3五龍に対し△2七(3七)玉と逃げれば即詰みこそなかったものの、▲4七銀以下雁字搦めにされた「哀れな(?)投了図」になるのを嫌ったのかも知れない。

前述のGL突破の瞬間は全国のPV(パブリックビューイング)会場で大騒ぎ、しまいにはどこかの川に飛び込んだ、なんて人もいるらしい。さすがに自分は(将棋の勝った負けたで)そこまで騒いだりは(多分)しないが、翌日の食卓に「100g当たり1,280円」の国産黒毛和牛霜降りステーキが並んだ(笑)。…昨年藤井聡太四段(当時)が竜王戦で敗れた時にステーキ肉を購入したのは完全な偶然(100g200円くらいのセールをやっていた)だが、さすがに100g当たり1,280円の肉を「偶然買っていた」なんて事はない(笑)。

藤井聡太七段は昨年に続き決勝トーナメントの2回戦(と言うのかなぁ…)で敗退となったが、その藤井聡太七段をもってしても「5組優勝のジンクス(以前も書いた『5組優勝だけ挑決三番勝負まで到達できない』)」を崩す事ができなかった。彼等(昨年の増田康宏六段も含含む)をもってしても崩せないとしたら未来永劫このジンクスは残るのではないか? と思うが…

この対局と同日に第12回朝日杯将棋オープン戦が開幕、初日と2日目(29日と30日)は「シャトーアメーバ(AbemaTVの収録スタジオ)」での対局・中継という新しい試みが
行われている。その対局の中には森下卓九段の対局もあった…のだが、仕事の為見れず。仕方ないので携帯中継で我慢(笑)。その対局は長岡五段の四間飛車に対し「天守閣美濃→米長玉銀冠(正式名称わかりません)」という今では滅多に見られない囲いで対抗、攻め駒をうまくさばいて快勝。解説の飯島七段が言うところの「このまま勝ったら森下九段の会心譜」になった…と思いたい(笑)。

7月1日の23時から美の壺・選(Eテレでの再放送)」で「将棋」の回が放送される。BSでの放送が2月下旬だったので、およそ4か月後に「ようやく」の放送である(通常は1~2か月後に再放送されている)。
…自分はこの回が「美の壺・選」での再放送が行われない事に対し「かなりきつい口調で」NHKに「問い合わせ」を送ったが、どうやら自分以外にも同様の不満を抱いている人は多かった(その声が届いた)…と思いたい(笑)。


※1…この1戦を(正確には対戦する事が決まった直後から)カロリーナ・ステチェンスカ女流1級はどういう心境で見ていたのだろう、というどーでもいい心配をしてしまう(笑)。

※2…もっともこの方法でも2位争いの対象であるセネガルが0-1か2点差以上で負ける、という条件付き(1-2では総得点差でアウト)だったので、諸々の条件(今から同点に追いつく可能性など)を考慮して「もっともGL突破の確率が高い方法」として今回の戦術を取ったのかも知れない、というのは素人の野暮な推測です(笑)。

※3…同じ花村一門で最近は雁木を多く用いている深浦康市九段は最初から「矢倉は終わったとは思っていません」と仰っている。