藤井聡太「棋聖」の誕生を受けてとんだとばっちりを受けた業界がある、と書いてその業界がどこか即答できた人は多分すごい。
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(考慮タイム)
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答えは「落語」。その理由は
「藤井聡太棋聖の記念扇子作成で『扇子の在庫と生産』が追い付かず【*1】、それによって落語家が使用する扇子が壊滅的に不足しているから」
現役の落語家がそう嘆いている記事を読んだので間違いなかろうし、言われてみると実に理にかなった(?)話である。
「記念扇子」というのは読んで字のごとく「記念品」である。つまり「あろうがなかろうが生活には影響がない」のである。また棋士が日常的に(対局中に)使う扇子にしても「必需品」というほどでもない。しかし落語家にとって扇子というのは手ぬぐいと並んで「なくてはならない小道具」であり、いわば「商売道具」である。
…落語をちょっとかじった程度の人だと「どうせ使うのは1本だから関係ないだろ」と思いそうだが(自分も思った)、落語家は扇子を「自分の名刺代わり」として(隅に小さく自分の名前を入れて)使う事が多いそうなので、我々が想像している以上に落語家の「扇子消費量」は多いのである(長年使っていれば当然傷むし壊れるだろうし)。そして同じく扇子が必要不可欠な歌舞伎や狂言などの伝統芸能関係者も「扇子不足」で悩んでいる可能性は高い。しかもその記念扇子の何%かは「転売目的で買われていく」のだからたまったものではない【*2】。…いっその事「記念扇子なんて作るのやめたら?」とか思ってしまう。