昨日、一昨日の記事を書いていてふと思った疑問。
安南将棋(安南詰)で下図の局面から5三の歩を取った時の符号は?
安南将棋(安南詰)のルールは
ある駒Aの直後に味方の駒Bがあるとき、AはBの動きになる。
…すごくマニアックなイメージがプンプンしているが、自分が子供の頃に読んだ子供向けの将棋入門書(詳細は文末にて)に安南将棋が載っていたので、「名前を聞いた事がある」「指した事がある」という人は(自分と近い世代の人だと)結構いたものである【*1】。
…そういう話ではなく(笑)、上図における4五と6五の銀は直後にある桂の動きとなるので5三に動ける(4四と6四の銀は直後にいるのが銀なので銀の動きのまま)、つまり4枚の銀はいずれも5三の歩を取る事ができる。そこで例えば6五の銀で歩を取ったとする。その時の符号は
5三銀左・・・???
左右の表記は問題ないが、「左」には6四にも銀がいて、どちらが動いたとしても前方に進んでいるので「上」である(この銀が5三に行けないのであればこんな疑問は生じない)。以前「根津飛車将棋の棋譜の書き方」に疑問を呈した事があるが、それと同じような事態が起きてしまう。…その時は元M先生が「前」「後」でいいんじゃないの? と仰っていたので、それに倣うならば
5三銀左後不成(53・ぎん・ひだり・うしろ・ならず)
…空前絶後の符号ができてしまった(笑)。もしこれにAndernachルール(玉以外の駒は駒取りを行うとその地点で向きが変わって相手の駒になる。符号上では最後に「転」とつける)も複合していたら
5三銀左後不成転
ここまで長いと「寿限無」か「たらちね」である(笑)。もしかしたら古いパラにはこういう形がある安南詰があって、符号の書き方も載っているのかも知れないが、あまり古いバックナンバーは持っていないので確認できない。
…ただ、今はこうして疑問に思っているが、1ヶ月後にはそんな事はキレイサッパリ忘れているんだろうなぁ(笑)。
「安南将棋を紹介していた将棋入門書」というのは(記憶を頼りに調べたところ)小学館入門百科シリーズ40「早わかり将棋なんでも入門」という本。このシリーズには将棋の本が4冊あり、他にシリーズ88「詰め将棋100問(付録?として将棋図巧第99番「煙詰」が載っている)」、シリーズ92「将棋つぎの一手」、シリーズ118「将棋初段への道」(いずれも原田九段と観戦記者の田辺忠幸氏の共著)がある。中でも「将棋初段への道」には原田泰夫九段と羽生善治少年(当時小5)の二枚落ちの対局が載っているので「ああ、あの本か」と膝を叩いた人もいるかも知れない。ちなみに自分は全部持っていたがもうありません…
*1:通常の初形から大駒の前にある歩をそれぞれ1マス進めた形から対局を開始する。そうしておかないと初手「☗4三歩成」や「☗2三歩成」と指せるのでゲーム性が崩壊してしまう。