DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

名ジャンパーの死去

2005~2007年の中山グランドジャンプを3連覇した「カラジ」が9月23日に加齢に伴う衰えから安楽死の処置が取られた、とのニュースがあった。29歳であった。

 

430kgという小柄な馬格中山グランドジャンプ出走時の馬体重は3年連続で430kgであった)から信じられない根性とスタミナを発揮した名馬で(平地競走でもメルボルンカップ*1】4着という実績がある)、馬自身もさることながら主戦であったブレット・スコット騎手(現在は調教師)の騎乗も語り草である。

2007年、4コーナー出口の最後のハードル障害を飛越後。

 

カラジ先頭、カラジ先頭、カラジ先頭です!

スコット騎手! 出ました水車ムチ!

 

水車ムチ(風車ムチとも)は腕を大きく回転させて勢いよく鞭を振るう(馬を叩く)技法。それに加えてスコット騎手はブーツにつけた拍車も使ってカラジを叱咤激励(?)している(このスタイルは初来日の2005年から変わらず)。…今宵の動物愛護団体が見たら発狂しかねない騎乗(今はどちらも使用不可能)だが、それに応えて日本のライバルに競り勝ってきたカラジを名馬と言わず何と言うのか。

2008年の同レースを引退レースと定めて4度目の来日をしたが(当時は「国際招待競走」だったので輸送負担はJRA持ち)、来日後に屈腱炎を発症してしまい出走せずに引退(自分はこの年の中山グランドジャンプを現地観戦しているので、順調だったらカラジの最後の雄姿を見る事ができたのだがそれは叶わなかった)帰国後は所属のエリック・マスグローブ厩舎で繋養されていた。その間2018年にはオーストラリア競馬の殿堂入りを果たしたという。今の競馬ファンだと障害の名馬=オジュウチョウサンなのかも知れないが、自分にとって障害の名馬はカラジ以外に考えられない(もっと古いファンだったらフジノオーとかグランドマーチスとかの名を挙げるのかも知れないが)。

 

障害競走というのがそもそもマニアックなせいか、カラジに関するニュースは日本国内ではほとんど見かけない。JRAでもカラジ死去に関するニュースは扱っている気配がない。一応2008年にはファンからのメッセージを募集してカラジの関係者に渡す、というセレモニーを行っているが、それ以降のコンタクトは全くと言っていいほど見かけない。個人的には贔屓目抜きでも顕彰馬として讃えるだけの功績を残していると思うので、今からでも彼を讃えるべきだと思う。…もっとも「死後の表彰」というのは「一時の人気稼ぎ」と言われる事が少なくないので本来ならカラジの生前に表彰するのが最善だったのだが。

 

ここにカラジの冥福をお祈り申し上げます。

*1:芝3200mのGⅠ競走。「オーストラリア最大の競馬競走」と言われ、開催当日(11月の第1火曜日)は「メルボルンカップデー」という祝日になるほど。日本からの遠征もたびたび見られ、2006年には菊花賞デルタブルースが優勝している。ちなみに「格付けはGⅠだがハンデキャップ競走」。1着賞金は360万濠ドル(今のレートだと3.5億円くらい)。