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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

フィッシャールールの「最適な持ち時間」を考えた

最近は「フィッシャールール」が将棋界にも浸透している(と思う)。…無論そのきっかけはあの棋戦なのだが、今は将棋倶楽部24にも同様の持ち時間(5分+5秒)があるし、他のネット将棋にもあるかも知れない【*1】。また「対局アプリ」や「チェスクロックのアプリ」にもフィッシャー対応のものがあるのでアマチュアや「俄」でもフィッシャールールで指す機会は少なくない。もっともアプリだと「持ち時間の見やすさ」「ボタンの押しやすさ」あたりに難がある(持ち時間がなくなってきた時に困る)が。

 

…ここでふと思った。

「最適な」フィッシャールールの持ち時間はいくつだろう。

今更説明するまでもない話だが、フィッシャールールの持ち時間は

持ち時間α分(の切れ負け)、1手指すごとにβ秒が持ち時間に加算される

である(理論上は「持ち時間6時間、1手指すごとに1加算」なんてのもあり得るがここでは便宜上「α」「β」とする)。この「α」と「β」の最適な数字はいくつか、という話。

 

1局の手数をγとした場合、その対局の所要時間(正確には「双方の持ち時間の合計」)は

2α+βγ÷60(単位:分)

となる。計算しやすい所でγ=120とすると

2(α+β)(単位:分)

となる。

そして幸運な事に(?)γ=120は将棋における1局あたりの平均手数に近いので【*2】、想定(あるいは希望)する対局時間から持ち時間を逆算する事が難しくない。例えば大会などで「1局30分」を想定(希望)するなら「α+β=15」となるような時間設定にすればほとんどの対局は1局30分以内で終局できる。

 

…とは言え、同じ「2(α+β)=ω(想定・希望する対局時間)」でも意味合いはかなり変わってくる。大雑把に言うと

α>β序中盤で使える時間は多い終盤(長手数になった時)にハプニングが起きやすい長手数でも対局時間が長くなりにくい

α<β序中盤で使える時間は少ない終盤で(1手に使える時間が多くなるので)ハプニングが起きにくい長手数になると対局時間が長くなりやすい

という傾向になるので、同じ30分想定でも「15分+0秒(早い話が『切れ負け』)「10分+5秒」「5分+10秒」「0分+15秒*3ではそれぞれ性質が随分と違う。仮に中盤の開始を41手目と想定すると【*4】、その時点での残り時間は

「15分+0秒」…最大で15分

「10分+5秒」…最大で11分40秒

「5分+10秒」…最大で8分20秒

「0分+15秒」…最大で5分

となるので、中盤に使える時間に差がある≒将棋の「出来」にも影響が出そうである。

 

…これらの観点から個人的な見解としては

・対局時間が長すぎず、かつ短すぎない

・最終盤で全てをぶち壊すようなハプニングが起きにくい

という意味で

「5分+10秒」あるいは「7分+7秒」

くらいが我々アマチュアが嗜む上でもっともちょうどいいフィッシャールールの持ち時間設定ではないか、と愚考した次第である。…これまで香龍会や彩棋会で指し将棋を指した時は「10分+10秒」設定としていたが、今後は「5分+10秒」にするかも知れない【*5】。

…だからと言って24の「5分+5秒」がダメだとは言わない。少なくとも「早指(1分→1手30秒)」や「早指2(1手30秒→考慮時間計60秒)」と違って「序中盤で分単位の少考を複数回行える【*6のは自分にとって非常に有難い事なので(持ち時間15分を希望する人よりは早指3を希望する人の方が多い…ように感じている)。

勿論じっくりと将棋を指したいというのであればもっと時間を増やしてもいい(例えば「15分+15秒」で1時間想定になる)わけだし、一時流行った(?)「1分切れ負け将棋」の進化版(?)として「1分+1秒」という設定もあり得ると思う*7】。

 

本将棋以外の話をすると、以前香龍会で実験(?)した「香龍会妖精二盤勝負(すげー怪しいタイトルだ…)「10分+10秒」で行ったが、あまりに特殊なルールだった事もあって「持ち時間が短過ぎた」一方で単独の変則将棋(例えば「有限王手将棋」)だと「10分+10秒」でちょうどいい、という感じだった【*8】。また「桑名七盤勝負」は公式ルールが「45分切れ負け」となっているが、「45分あっても実際は切れ負けが珍しくない」そうなので、「40分+10秒」とか*9でやったらどうなのかな(持ち時間が1分を切る頃には「盤の数」が減っているだろうから切れ負けは減りそう)、と思ったり。

*1:以前にも書いたが自分は将棋倶楽部24以外のネット将棋を使った事がない(というより「使えない)ので詳しい事情がわからない(「将棋ウォーズ」にはフィッシャールールの設定がないようだ)。またかつて存在した「Yahoo!将棋」も持ち時間はフィッシャールール(ホストが時間を自由に決められる)だった。

*2:つまり「Abemaトーナメントの対局」が概ね1局20分前後で終わっているのは「このルールの仕組み上そうなるから」なのである。

*3:理論的にあり得ない設定(開始時点で時間切れ)であるが、便宜上「αが非常に少なくβが最大限に大きい」という意味で捉えて下さい。

*4:例えば「角換わり腰掛け銀同型」で☗4五歩と仕掛ける手は39手目。

*5:会合は文字通り「詰キストの集い」なので終盤に使える時間が多いほう(α<β)がいいでしょう。

*6:早指は実質「初手から1手30秒」のようなものだし、早指2でも理論上「90秒未満で1回」しか考慮できない

*7:もっともこういう「超早指し将棋」でアプリを用いるのは力が入り過ぎて「機器(タッチパネル)の破損」の可能性が高まるのであまりおススメはできない。

*8:これらの検証結果(?)から、立案したが実現しなかった「香龍会妖精三盤勝負」は「15分+15秒」~「20分+20秒」くらいがベストではないか、と思う。

*9:何と言っても最初は「七盤」もあるので、αをこのくらいにしておかないと多分ゲームにならないと思う。