DJカートン.mmix

他人に完璧を要求するのは質の悪い潔癖症のようなものだ。

9月の香龍会、など

9月16日は当初両国イベントの為にキープ(?)していたが、当日(あるいは前後)のイベントがなくなったので(※1)、香龍会に参加する時間ができた次第。

その前日に映画「泣き虫しょったんの奇跡」を見に行ってきた。…「聖の青春」もそうだったが、「全国ロードショー」とか言っておきながら浜松市での上演がないとは何事だ!(笑)
仕方ないので(?)隣の磐田市ららぽーと磐田)のTOHOシネマズへ。…1日1回上映とは何事だ!(笑)
今回も原作は読んでいないが、気合の入った将棋ファンだったらおおよそのあらすじは原作を読まなくても大体知っている。…なので、自分は約2時間強の上映時間のうち9割くらいは「ダウト探し」をしていた(笑)。…のだが、今作の監督・脚本を担当したのが「元奨」とあってか、1回見ただけでハッキリとダウトだと言える(≒明らかに知識不足と言われても仕方ない)箇所は見受けられなかった。…ちょっと残念(?)。強いて言うなら時々駒音に「ドスッ」という感じの重低音が混じっているが、これは(同じカットの中で着手の場所によって駒音が違ったので)影技術上どうにもならない事なのかも知れない(※2)。また役名は瀬川五段以外は一部を除いて実際の名前を少し変えたもの(※3)になっている(のはダウトとは言えない)。
その代わりというのも変だが、「何故そうなるの?」という場面はあった。ネタバレになりそうな話なので「注釈」という形で文末に記す(ので読む際は自己責任でお願いします)。
他に気づいた事と言えば作品中に出てきた詰パラの表紙(作品の作者名)に香龍会で見かける(でも最近は来場されていない気がする)大先生の名前があったり、スタッフロールの中にも見覚えのある詰将棋作家の名前が何人か(こちらはどういう役で出てきたのか分からなかったが、翌日の香龍会で「撮影中にエキストラを探していたらしい」という話を聞いたので、「例会のカットで対局している奨励会員(のエキストラ)」だったのかも知れない)。

作品全体の感想としては、近年の将棋を題材をした作品の中では非常に完成度が高い(ダウトらしいダウトが見受けられない)作品だと思った(脚本については「ノンフィクション」だからどう評価していいものか…)。とりあえず冒頭の方で瀬川少年に将棋で負かされた時に駒をばら撒いて(当然「負けました」も言わず)「将棋なんてつまらねえ、プロレスやろうぜ」と言ったガキ「間違いなく将来はロクでもない『クズ』になっただろうな」と思った(笑)。


明けて16日。香龍会に向かう前にいくつか寄り道の予定があったので出発は8時頃。将棋の時間はおろかプリキュア仮面ライダー(※4)も見られない。…録画はしているけど(笑)。
当初の予定では13時くらい(開場直後)に到着する予定だったが、想定外のタイムロスで中村生涯学習センター到着は13時45分頃に。本陣駅から地上に出たところで信号待ちをしていた岡本氏と会う(これまでこういう事ってほとんどなかったと思う)。
自分が到着した時に来場していたのは7人(岡本氏はカウントしていない)。前回できなかった「フィッシャールール」で1局指そうと思っていた「他1名」氏はいなかった。
…だからというわけでもないが、参加者名簿に普段使っている「参加者A」ではない他の名前を使おうと思った。周りは「少年A」とか「少女A」とか言いたい事(?)を言っていたが、しばし考えて

松本留五郎(DJカートン)

と記入した。この名前の「意味(出典)」がすぐに分かった人はなかなかの上方落語です(意味は後で書きます。ちなみに自分の住所は「大阪市浪速区日本橋3丁目26番地」ではありません)。

自分が来る前に行われていた事は分からない(卓上に詰将棋が並んでいたのでそれの検討と思われる)が、自分が到着した(しばらくして堀内氏も来場した)後はチェスクロック品評会」が始まった。関氏が「家にあった古いのを持ってきた」との事で、会場には自分が持参した──先月渋谷に行った時に「デラックス将棋」の駒と一緒に衝動買いした!!──チェスクロックと合わせて4種類のチェスクロックが。…どうでもいいけどチェスクロック(税込みで11,880円)って衝動買いするものなのか?(笑)

衝動買いの件はどうでもいいとして(笑)、珍しいチェスクロックの1つ目。右にある参加者名簿には「松本留五郎」と書かれている(…どーでもええって)。
イメージ 1

一見普通の(?)アナログ式チェスクロックに見えるが、

文字盤が通常の時計になっていない(「分」が書かれている)
時計の針が分針しかない(時計前面の「つまみ」で時間を合わせる)
「旗」(分針によって持ち上げられ、分針が12の所に来ると落ちて「時間切れ」を知らせる仕掛け)の形が違う

という違いがある。第76期(平成2年下半期)塚田賞受賞の記念品との事(時計の裏に書かれていた)。

この時計の特徴は「アナログ式でありながら秒読みができる」という点(※5)。久々に使ったという事で皆で設定に苦労したが(笑)、いざ動かすと分針が真上に到達した(右の時計のようになった=持ち時間を使い切った)時点から音声による秒読みが始まる(切れたらNHK杯のようなブザー音が鳴る)。秒読みは30秒と60秒があり、時計裏面に切り替えスイッチがある。ただし60秒の秒読みでも「10秒」から声がかかる(以前も書いたが1手60秒の場合「30秒」から秒読みが入るのが正式)。音量も調整できるが、スピーカーの経年劣化なのか、音量を大きくすると音(声)が割れて逆に聞き取りづらくなくなってしまった。ちなみにデジタル式の対局時計が初めて登場したのは1989年(平成元年、シチズン製)らしいので、「通常計時+秒読みができる対局時計」としては登場時期が近いと思われる。

2つ目。いかにも「クラシック」という感じがありありと出ている。
イメージ 2

聞くと「昭和40年代に作られた西ドイツ製(のチェスクロック)」との事。電池式ではなく「ゼンマイ式」(裏にゼンマイがついている)。チェスプレイヤーには馴染みのあるものらしい(「他1名」氏も「使った事がある」と仰っている)。自分も写真とかで(似たものを)見た事はあるが、実物を見たのは初めて。実は意外に小さいものである事もこの時知った(左に置いてある将棋盤の厚さが約32mm、ほぼ1寸盤)。
ただ残念な事に上のボタンが固着してしまって押せない=使えない。CRCか何かを使えば直るかも知れない、という声もあったが、自分は「迂闊な事をすると再起不能になる可能性がある」と思った。もっとも現在この時計を直せる人がいるのかわからないが…

残りの時計は一般的?なアナログ式(実はもう生産してない?)、自分が持参したのは(多分)現行の最新モデル(シチズンの「ザ・名人戦」DIT-40)なので説明は割愛(…単に写真を撮っていないだけ)。

その最新モデルには計時方法が「切れ負け」「秒読み」「フィッシャー」「カナダ式」「シャンチー象棋)国際」の5種類があるのだが、後ろ2つは全く馴染みがない=分からないので、実際に使うのは残り3つだろう。ただし「秒読み」は通常の「持ち時間○分→切れたら1手△秒」と少し違い、「持ち時間○分→切れたら1手△秒が◇回」となっている。
…ちょっと意味が分かりにくいが、NHK杯や銀河戦日本シリーズで使われている「考慮時間」の仕組みに近い。例えば「1手30秒が3回」だったとしたら、

最初の秒読みで30秒を使ったら「2回目の秒読み30秒」に入る(勿論次の手番以降も「2回目の秒読み」からスタート)。
同様に「2回目」を使い切ったら「3回目」・・・と続き、最後の1回(今回の例だと3回目)で30秒使ったら「時間切れ」になる。秒読みの「残り回数」は(小さい文字であるが)ちゃんと時計に表示されている。

もう少しわかりやすく(?)言うなら「秒読みと同じ時間の考慮時間」をつける事ができる、となるだろうか。しかしNHK杯などのように「秒読みの時間(1手30秒)と考慮時間1回当たりの時間(60秒)を別に設定する」事はできないので、思ったほど用途がある機能ではないかも知れない。なので通常は「秒読み回数を1回」に設定する事で通常の「持ち時間○分→切れたら1手△秒」として使う事になるだろう。
あるいは「持ち時間0分→切れたら1手60秒を◇回」と設定する事で擬似的に「ストップウォッチ計時」として使用する事もできるが、最大で99分までしか設定できない上に常に「30秒」からの秒読みが入るので少し(かなり?)鬱陶しいと思われる(※6)。

…せっかくなので(?)「フィッシャールール」で指してみよう、という事になり、堀内氏と指す事になった。盤は自作の物(※7)、駒は関氏が持参した彫駒を拝借。「将棋を強くなりたいなら良い道具を持て」とは大山康晴十五世名人の有名な(?)言葉だが、実際いい駒を使うと自分が少し強くなったような気になる(笑)。駒音もプラ駒やデラックス将棋の駒と比べたら差は歴然である。
松本留五郎(笑)の先手で始まった将棋はゴキゲン中飛車vs丸山ワクチン。ルールがルールなのでどんどん手が進むが、自分が不用意に陣形を盛り上げたため迂闊に動けず(自陣に角を打たれる隙が生ずる)千日手に。…何をやっているのだか(笑)。

1局(?)指してみて、玉を固く囲う戦法この対局もお互いが銀冠になっただとその手順がおおよそ決まっている(ノータイムで指せる)ので時間を稼げるが(AbemaTVで対局した棋士にも「穴熊を目指すと(囲いが完成するまでの)手をほぼノータイムで指せるので時間を稼げる」と言った人がいるそうだ)、一方で角換わりや横歩取りのような玉が固くなく、一気に終盤になりかねない将棋はよほどの研究がないとフィッシャールールで指すのは怖い、という話にもなった。…それなのに千日手指し直し局(今のチェスクロックには「持ち時間を入れ替える」という千日手に対応した機能が付いている)横歩取り(青野流)になったのはどういう事だろう(笑)。

15時過ぎに2名が先に帰られ、16時ちょっと前に所用を済ませた桃燈氏が来場された。「フィッシャールールと穴熊」の話にもなったが、24とかでもフィッシャールール(24だと「早指3」)で穴熊を指す人は多いようである(フィッシャールールでなくとも穴熊のような「王手のかからない囲い」は持ち時間の短い将棋では強みである)。…しかし「生兵法は大怪我の元」とはよく言ったもので、「時間を稼げる」というところ(囲い終わった頃には大体「6分」くらいにはなっている)だけを真似て将棋そのもの(そこからの攻め)は滅茶苦茶、最終的に「姿焼き」にされて終了、なんて本末転倒な輩も結構いるとか。

…結局「他1名」氏は来場せず、しかし以前のような「2次会から参加」はあるかも、という事でいつものファミレスへ向かう。店の前にいるかな、と思ったがいない。まぁ仕事だったら仕方ない、と思っていたら席についてしばらくしてから(17時ちょっと前に)「他1名」氏が参上。将棋の話やらアニメの話やらスポーツの話やらでいろいろ盛り上がる。
会計を済ませて(※8)18時過ぎに解散。その帰路で「他1名」氏と

「根津飛車」(詳細は詰パラ8月号を参照)に対抗?した「根津角」はゲームとして成立するか?

なんて話に。来月の香龍会で実証実験するので研究してこい、と言われた。…そんな時間取れるかなぁ(笑)。


先ほど書いた「松本留五郎」について。上方落語「代書」で『履歴書を書いて(代筆して)ほしい』と代書屋にやってきた男(この噺が作られた昭和初期はまだ字を書ける人が多くなかった。先ほど書いた「住所」はこの噺でのこの男の本籍地・現住所)、この男の名前は演者によって名前が異なる。

・太田藤助…4代目桂米團治(「代書」の作者)など
・田中彦次郎…3代目桂米朝など
・河合浅治郎…3代目桂春団治(※9)など、「河合浅治郎」は2代目春団治(3代目の師匠で実父)の本名

他に東京落語で演じられるときは「湯川秀樹」などの「偉人と同姓同名」になる事もある。
そんな中で2代目桂枝雀はこの男に松本留五郎という名前を付けた(枝雀門下の噺家もこの名前を使う事が多い)。ちなみに現在「代書」の主流(?)になっている「ポン」のサゲや「生年月日を言って下さい」の質問に対し大声で「セーネンガッピ!」と答える部分(それまでは「(生年月日は)なかったと思う」という返答が多かった)を考えたのも桂枝雀
2代目桂枝雀は本名を「前田 達(まえだ とおる)」と言うが、その曽祖父が元は「松本」姓だった(前田家に養子に入って前田姓になった)事、留五郎」は「いかにも笑いを取れそうな響きのある名前」という事で松本留五郎という名前が生まれたそうである。その後「代書」以外にもこの名前が度々登場している(基本的に「あまり賢くない人間」の名前に使われる事が多いように思う。…そう考えると何故名簿に書く名前をこの名前にしたのだろう、という後悔の念が)。


※1…先月両国に行った時に「谷口由紀女流二段(9月イベントのコーディネーター、「泣き虫しょったん~」にも出演している)の結婚披露宴の関係で延期されるかも知れない」との話だった(そして実際そうなった)ので、11月の鈴木環那女流二段コーディネートと時期が近くなる可能性がある。交通費が…(笑)

※2…もし今後「りゅうおうのおしごと!」が実写化されたら(ありそうで怖い)このような「撮影技術上どうにもならない事」であってもいちゃもんをつけるに違いない(笑)。

※3…おそらくこの映画を見た人に「実名が出てきた棋士は何人?」と聞いたらほとんどの人は「3人」(ただし瀬川五段以外はテレビや将棋新聞の「記事」の中に出てくるだけだが)と答えると思う。…しかしよ~く見るともう一人「実名が出ている棋士」がいるのに気づきませんでしたか?

※4…今月から始まった新シリーズ「仮面ライダージオウ」は仮面(の複眼のあたり)に「ライダー」の文字を象っている、という斬新な(?)デザインである。それに加えて使用する武器に「ケン(剣)」「ジュウ(銃)」と書いてあったり、必殺技(どんなに凄そうな武器を持っていても「最強の必殺技」はライダーキック(便宜上そう呼ぶ)、というのは初代仮面ライダーからの伝統っぽい)を繰り出す時に足の裏に「キック」と書かれているとか、いろいろな意味でアヴァンギャルドな(笑)シリーズである。

※5…Wikipediaの「対局時計」のページには

アナログ式では、秒単位のカウントはできない。「1手30秒以内」などの設定は、機種によらず不可能である。

と書かれているが、実はそうではない事が判明した。…だから何だ、と言われそうだが(笑)。

※6…故・佐藤大五郎九段は「相手の名前をわざと間違える」「初形の駒を並べる位置を故意に間違える(「金⇔銀」とか「飛⇔角」とか)」といったお茶目な盤外戦術(?)をしていた、という話は有名だが、それらの中に「長い時間(持ち時間6時間とか)の将棋で初手から秒読みさせた」──つまり午前10時から対局室に「30秒、残り6時間です」という声が響き渡る──という逸話がある事を以前森下九段が仰っていた。…どちらかというと記録係に対する嫌がらせのようにも見えるが(笑)。

※7…「デラックス将棋」の駒の箱が内側に収納できる形状、かつ(駒台として使う)駒箱の高さ(約30mm)と釣り合う厚さで作成した。前回作ったものとは別物。

※8…会計の時にクーポン券とか株主優待券を大量に使うので「嫌な客だ」という自虐(?)が入る。もっとも「自分で自分たちの事を『嫌な客だ』と言っている(自覚している)」分だけマシだ、という話に(本当の『嫌な客』は自覚症状がない事がほとんどだから)。

※9…桂春団治という名跡は現在は「4代目(今年2月に襲名した)」となっているが、実際は一般的に「初代」と呼ばれている桂春団治の前にもう一人「桂春団治」という名前の落語家(本名や生没年は分かっていない。姓は「松本」だとも言われるが不明)がいたので、厳密に言うと今の4代目は「5代目」という事になる。ただ早世した(らしい)上に噺家としての活動の記録もほとんど残っていない(むしろ寄席の席亭のほうが本業だったとも言われる)ため、現在では一番最初の春団治は「零代目桂春団治」として扱われる事が多い。


…この先映画のネタバレになりそうな話。先ほども書きましたがこの先を読む場合は自己責任でお願いします。




























★「何故そうなるの?」…別の場面(アマチュア時代に出場した銀河戦久保利明王将が出演しているのに、「本人役編入試験の第3局の試験官)」であるべきところで別の出演者(豊川孝弘七段)になっているのはどういう事なのだろう、と思った。その1局前(つまり第2局)では神吉宏充七段(当時は六段)が「本人役」として出演しているのに、である(もっとも神吉七段については「彼を演じる事ができる人間が本人以外にいないから」という見方もあるかも知れないが)。
しかもその場面で久保王将が演じていたのは「別の棋士(大徳健二という名前になっている、おそらくモデルは飯野健二七段)」である。同年度の銀河戦で久保八段(当時)とも対戦しているのに、何故このような意味不明な(?)配役をしたのだろう、と思った(つまり「配役」を知らないと「1回目だけ本人役で出演した」ように見えてしまうのである)

ちなみに久保八段(当時)は前述の銀河戦で敗れている事から試験官になるのを断り続けたといい、当時の米長会長の必死の説得で何とか試験官を引き受けてもらったが、対局当日久保八段の知人に控室に待機してもらい、

「もしも久保君が負けたら、24時間彼を一人きりにしないでもらいたい。酒を飲んでも何を食べても何をしてもいい。一人きりになると枝ぶりの良い松の木を探さんとも限らんからな」

と言ったそうである(米長邦雄永世棋聖の著書「将棋の天才たち」より引用。同著では瀬川五段が「今までで一番印象に残る一局」として久保八段に勝った将棋を挙げている)。