例えば競馬の3連複なり3連単でたくさんの買い目で購入した時、オッズを照らし合わせて「一番払戻が高い当たり方」を探る人は少なくないと思う。…自分もそうだし(笑)、自分の周りの競馬ファンで「それをしない人」はほとんどいなかったように思う。
その「一番払戻が高い当たり方」を「ハイマックス(Hi-max)」なんて言う事がある。…よくよく考えるとすごく矛盾した言葉(特定の集合体の中で「マックス」、つまり「最大」に相当するものは1つしかないはずなのでマックスに「ハイ」だの「ミドル」だの、なんてものは存在しないはず)であるが、何となく「言葉の響きがいい(?)」のでいろんなところで聞く(ついつい使ってしまう)言葉だと思う【*1】。もっとも捕らぬ狸の・・・ではないがそのハイマックスが当たるなんて事はそうそうない、というよりそもそも的中すらしない事の方が圧倒的に多いのだが。自分も競馬で「ハイマックス」が来た記憶がない(笑)【*2】。
過日の台風19号では東日本を中心に甚大な被害が発生してしまった。これを書いている(14日19時)時点で死者行方不明者合わせておよそ50人、河川(堤防)は全国で21の河川で24ヶ所が決壊、場所によっては1m以上の浸水被害が出ており、一体被害総額はどれほどになるのだろう、と思ってしまう【*3】。こういう時に「法人税を1円も納めていない」とかいう某企業がポンと1000億円くらいの義援金を出したら世間の見る目も少しは変わりそうな(もしかしたら携帯電話のシェア率も上がる?)気もするが…
前回の記事で「今回の台風により最大で4000人くらいの死者が出る可能性がある」と言った人がいた、という話を書いた(誰がどの番組で言っていたかは忘れてしまいました…)。しかし現時点での犠牲者はその1%くらいである。この「4000人」というのは予想される最悪の状況をいくつも掛け合わせて算出された、いわばこれも「ハイマックス」の一種なんだと思う。
全ての人がそうではないだろうが先ほどの馬券の例といい、どうやら「人間はハイマックスで話を進めるのが好き」なのかも知れない。…別にそれがダメな事とは思わない。特に経営者はマイナス方向の「ハイマックス」を想定した経営方針を立てられないと話にならない【*4】。しかしマスコミや専門家がこういう時に掲げるハイマックスは「所詮は他人事」「ゲーム感覚」にしか見えない。ましてや「ゲームのネタ」にしているのは「何の罪もない人の命」である。ラグビーW杯の予選プールの勝ち点予想(こちらはアイルランド戦勝利後の「ハイマックス」で予選通過を果たした)とはわけが違う。…やはり見ていて気分のいいものではなかった。
自分が評論家(や週刊誌)を好きになれないのはそういうところが原因なのだろうな…