DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

Prejudice against BOATRACE

月見バーガー」が発売されている。
この時期になると1日平均1個以上はこれ(バリエーションの「チーズ月見バーガー」などを含む)を食べている気がするのだが、一昔前と比べるとかなり高くなったなぁ、と思う。
2013年の価格は1個310円だが、自分の記憶の中で最も安い時は1個190円だった気がする。それこそ1日3食全て月見バーガー(1食2個、×3)、なんて事が出来たくらいである。
この月見バーガーに関する思い出(?)として、以前連盟(東京千駄ヶ谷の「将棋会館」)の道場に行った時、持ち込んだ月見バーガー(もしかしたら他の玉子系のハンバーガーだったかも…)を食べ始めた時に対局がついたため、これを食べながら対局するという、丸山忠久九段みたいな事(※1)をやった事がある。一応相手が「食べながらでもいいですよ」と言ってくれたのでそうしたのだが、何だがバツが悪かったのを覚えている。

その丸山九段は先日(1日)放送のNHK杯に登場したが、自分は対局の内容・結果よりも解説の渡辺明NHK杯選手権者が
「1四歩と貼れば一応受けている事にはなるんですけど…」
と持駒を「貼る」という言葉を使った事が耳に残って離れなくてしようがない(笑)。

…さて、今回の本題は前回予告(?)したように「ボートレース」について書こうと思う。
自分がこの世界に足を踏み入れたのは会社の人間に誘われたから、ではあるが、元々モータースポーツが好きな(レーシングカート国際ライセンスを持っている)人間なのでまるきり興味がなかったわけでもない。ちなみに昨年の九州旅行も主目的はレース観戦(ボートレース若松、第26回女子王座決定戦)でした…(苦笑)

世間一般には「競艇」という呼称のほうが有名(?)で今でも「競艇」と言う人は多いが、2010年から統一呼称として「ボートレース」と呼ぶようになっている。自分はこの業界に興味を持つようになったのは「ボートレース」になった後なので、ボートレースという呼称に対して何の違和感も感じないが。
これまでの流れ(?)で行くと「ボートレースとは何ぞや?」というタイトルの元でボーレースの話を進めるのだが、この世界に足を踏み入れて1年少々の自分がそういう事をするのも何なので、今回はちょっと違う視点からボートレースの話をしようと考えている。

自分が生まれ育った北海道にはボートレース場は無論のことボートピア(※2)もないため(かつては釧路にあったそうだが1999年に閉鎖されている。なお東北には本場はないがボートピアはいくつかある)、北海道の人間が直接ボートレースに触れる機会はほぼ皆無と言っていい(※3)。最近ではすすきのにアンテナショップが出来たり札幌でボートレーサー募集セミナーを開催したりと、少しずつ北海道にボートレースを浸透させようという動きはあるようだが、やはり実際にレースを見れる・舟券を買える場所=ボートピアが出来ない事にはあまり状況は変わらないと思う(さすがにレース場を作るのは無理であろう。法律云々の問題もあるだろうが、それ以前に水面が凍結するので冬季の開催は無理そうだし)。
この状況を屋敷伸之九段(棋界きってのボートレースファンとして有名。「日本モーターボート選手会」の外部理事、「ボートレースの未来を考える会」の委員も務められている。北海道札幌市出身はどう考えておられるのだろうか…(笑)

そんな北海道だからか、道民の中にはボートレースに対する偏見(今回のタイトルはこれの英訳)みたいなものを持っている人を時折見かける。北海道の公営ギャンブルと言えばほぼ100%競馬なので(一応北海道には競輪場もサテライト=場外車券売場もあるが)、ついそれと比較してしまうのかもしれない。
そこで、(一部の)道民がボートレースに抱いているイメージ、というより偏見をいくつか挙げてみたい。ただし、今回の記事の為に道民に質問をしたわけではない(今までの会話の中で出てきたボートレースの話をまとめただけ)ので、かなり古い話も混じっているかも知れないので御了承を。

1.6艇しかいないので配当が安い(のでつまらない)
最大18頭立ての競馬(競輪は9車、オートレースは8車)と比べるのはある意味かわいそうとも言えるが、ボートレースという競技の性質上6艇が精一杯(あまり増やしても外枠の選手が上位に来る確率はほぼ0と言える)なので仕方ないと思う。
それに伴い投票券の組み合わせ数≒配当に差が出るのも仕方ない。ボートレースの3連単は120通りの組み合わせに対し、競馬の3連単は最大(18頭立て)で4896通り、実に40倍以上の差がある。競馬では1000万を超える払戻が稀に飛び出すが(※4)、ボートレースの3連単の歴代最高払戻は682,760円(※5)。…比較にもならない。

しかし、である。JRAで3連単の馬券が導入されたのはつい最近(2004年)の話。しかも言ってしまえば「競艇のパクリ(当時は競艇が公式呼称)」である(公営ギャンブル全体で3連単3連複を最初に導入したのは競艇。…と言ってもこちらも導入は2000年10月なのでそれほど古くはないが)。
その2年前に馬単3連複が導入され、それ以前は馬連」が最も組み合わせの多い時代が10年以上続いていた。…で、この馬連の組み合わせ数は18頭立てで153通り、16頭立てで120通り
…おや、ボートレースの3連単と同じではないか。つまり少し前の競馬ファンは今のボートレースに近い条件(投票券の組み合わせ数)で楽しんでいた…はずなのである。その時代を知らない競馬ファンならともかく、馬連すらなかった時代(1991年以前)からのファン(?)がこのような偏見を持っているのはいささかおかしいような気もするのだが…
それに組み合わせが多い、という事は当然ながらその分当てるのが難しい。16頭立てを例にすると馬連120通りに対し3連単は3360通り、どちらも的中の組み合わせは1通りのみなのでその差は28倍である。よく競馬新聞などで「3連単推奨買い目・36点」などと書かれているが、組み合わせの比率で考えると3連単36点というのは馬連1点勝負と大して変わりないのである。真の競馬ファン(?)はそのあたりを弁えているので勝負レースは(3連単全盛となった今でも)馬連をメインで馬券を買う、という話を聞いたことがある。だったらボートレースでも十分に勝負(ギャンブル)できると思うのだが(そう言いつつ先日の札幌記念3連単で勝負したのですが…)。

2.1号艇が圧倒的に有利(なのでつまらない)
中には「競艇は1から買ってりゃ儲かる」などと放言している人までいた。しかし、ボートレースの世界を知るにつれて上記の発言が文字通り「何も知らない人の放言」である事に気づく。
この件を考察するに当たって便宜上レースを「記念レース(GⅡ以上のレース)」と「一般競走(GⅢとグレードなし)」の2種類に分けると、前者は出場するレーサーのレベル(※6)が高い上にレーサー間の実力差があまりないので、ボートレースの構造上(イン側のほうが走行距離が短い分)インの勝率が高くなるのは仕方のないことである。例えば自分が先日香川県(丸亀)に見に行った「モーターボート記念(SG競走)」は6日間72レースで1号艇1着のレースは43レース、勝率59.7%であった。
しかし後者の場合出場(同一レースに出走)するレーサー間のレベルに差があることが多く、例えば1号艇B級・2号艇A級というレースだと1号艇の勝率は2割程度(2号艇1着率は5割前後)にまで落ち込む(※7)。これらをあわせた1号艇1着率全国平均はおよそ47%…って、これだって相当高いか(苦笑)。
世間の目に留まる(スポーツ新聞などに大きく載る)のは(他の競技でもグレードレースが脚光を浴びるように)基本的に前者なので、そこだけを見て「競艇はインが圧倒的に有利(1から買ってりゃ儲かる)」というイメージに直結するのだろうが、では実際に前述のモーターボート記念の全レースで「1-○-○」を全通り(1レースあたり2,000円、6日間で144,000円)購入したらどうなっていたのか?
…その払戻総額は121,260円(フライングによる返還を含む)。これのどこが「1から買ってりゃ儲かる」のだろうか
ボートレース(舟券)と言うのはそんなに単純なものではないと思い知らされる。自分もこれまでの中で1日トータルの収支がプラスだった日は数えるほどしかない。もっとも自分の場合ボートレースは「モータースポーツ9:ギャンブル1」くらいの感覚で見ているので「儲かったらラッキー」くらいの感覚でしか舟券を購入していない(舟券で勝つ事を目的として本気で研究すると本業に障る可能性が高いと考えている)…と書くと言い訳にしか見えない(苦笑)。
…そう言えば某プロ棋士は一時期競艇にはまって「将棋の勉強時間は1日1分」なんてコメントを残していたような気がするが、もしかしたら北海道の人間は案外ボートレースとの相性が良いのかも知れない(笑)。

他にも偏見的発言はあったのだが文字数制限に引っかかるので割愛。

自分はボートレースの関係者ではないのでボートレースファンを増やす為の活動をする義務も義理もないのだが、運悪く(?)このブログを見てしまった人は前述の偏見をひとまず忘れて一度くらいは「スポーツ観戦のつもりで」レース場に赴いてみてはどうだろう(レース場は「鉄火場」というイメージを持たれている方も多いかも知れないが、週末などは家族連れも結構見かけます)。もしかしたらいい事があるかも知れませんよ…って、これじゃ完全に日本モーターボート競走会の回し者みたいだ(笑)。


※1…2008年3月の「将棋界の一番長い日(A級順位戦終戦・TV中継がある)」で夕食休憩後にカロリーメイトを食べながら対局をしていた。

※2…場外舟券売場の愛称。その規模や立地条件によって「ボートピア」「ミニボートピア」「オラレ(スペイン語で『さあ、行こう』の意味)」という名称がついているが、これら全てを一くくりとして「ボートピア」と呼ぶことも多い。

※3…だからと言って北海道出身のボートレーサーが皆無というわけではなく、SG(スペシャルグレード、GⅠの更に上の競走)を2勝、GⅠを8勝している熊谷直樹選手や文中のボートレーサー募集セミナーに招かれた三浦敬太選手北海道旭川市の出身である。

※4…最高記録は2012年8月にあった「29,832,950円」。しかもこれは2着同着により当初の半分の数字なので、同着でなかったら5900万円超という(3連単では)空前絶後と言える払戻になっていた。

※5…フライングによる返還欠場(フライングをした艇が絡む舟券を全て返還・差し引いた上でオッズが再計算される。当然返還が出ると配当は当初の数字より安くなる)があっての数字で、返還前の同組み合わせの倍率は28001.6倍(払戻額で言うと2,800,160円)だった。

※6…レーサーは成績によって半年毎に「A1級」「A2級」「B1級」「B2級」の4ランクに分けられ、このランクがそのままレーサーのレベルの差、と考えても差し支えない(B1級は全体の50%を占めるため、同じB1級でも上と下では相当な差があるが)。
GⅡは原則A1級とA2級の選手、GⅠとSGは原則A1級の選手のみ出場できる。

※7…専門誌「BOATBoy」2013年3月号に載っていたデータを援用させていただきました。