去る人の話をいくつか。
・ボートレーサー今村豊が引退
「艇界のプリンス」「ミスターボートレース」などの愛称で長年業界を引っ張り、生涯獲得賞金29.4億は歴代2位(1位は松井繁の37億オーバー、こちらは今なお現役なのでこの記録は更に伸びる)、78期(=39年)連続でA級は歴代1位(そもそも現役期間39年以下で引退する選手の方が圧倒的に多い)、などの業績を残したスター選手が10月8日に引退を表明した。
引退会見前にその事を聞いていたのは家族と同支部の後輩くらいだったようで、突然の引退表明にファンや選手も驚きを隠せないでいる。その「同支部の後輩」にしても(結果として最後のレースとなった)徳山ダイヤモンドカップの4日目終了後に宿舎でその話を聞いた白井英治は「聞いてない!」とだけ残して自分の部屋に引きこもってしまったという。
引退を決めた理由がまた意外で、「体調管理(今年11月から最低体重が52kgに増える)に限界を感じた」、つまり「体重を増やすのが無理」という事である。世の中には減量に苦しんでいる人の方が圧倒的に多い(ボートレーサーもほとんどがそうである)中である意味羨ましい話(?)ではあるが、そういう人もいるんだな、と言う事で。
今村豊の残した言葉にこんなのがある。
「優勝する選手は決まっている」
…「日本語」を理解する能力を持っていないアホが聞いたら「やっぱり競艇には八百長があるんだ」と勝手に決めつけるであろう言葉だが、勿論そんな意味ではない。
出典は平山智加のYouTubeになるが、2013年のGⅠ近松賞(尼崎周年記念。翌年度から「尼崎センプルカップ」に名称変更)で優勝戦1号艇となった平山智加にかけた言葉だと言う(ちなみに今村豊はそのレースの優勝戦4号艇だった)。より正確に言うと
「結果は(未来を知る力を持った)神様しか知らないけど、優勝する選手はもう決まっているのだから今から緊張しても仕方ない」
平山智加はこの言葉でリラックスできた、いい感じの緊張感でレースに臨めた(結果として優勝できた)、と動画で話している(この話はどこかのトークショーでも聞いた記憶がある)。
…そういう考え方ってあるんだなぁ、と思った。そしてカートやっている時にこの言葉を知りたかったなぁ、とも思った。自分はこう見えて(どう見えているのかは知らんけど)かなり緊張しいなので(笑)。
・ホンダF1撤退
ホンダが2021年を持ってF1での活動を「終了」すると発表した。「終了」なので今後の再参加はない、という。世間では「またか」とか言いたい放題だが、正直なところ今のF1に今後5年10年20年と継続参加する意味と魅力があるのかと言えば「ない」と思うので、傷口が広がる(?)前のこの時期の終了宣言も有意義な選択だと思う。そもそも今の「パワーユニット(平たく言えば「ハイブリッドエンジン」)」制度には他のメーカーから1年遅れでの参戦なので「ハンデ」は生半可なものではない(実際最初の数年は酷い有様だった)にも関わらず今では勝利を狙えるだけのパワーユニットを作り上げたのだから、そのあたりはもっと評価されてもいいように思うのだが。
叡王戦に関してはその当初から「果たして10年後20年後も続いているのだろうか」と疑問に思っていたが、まさかこんなに早く主催者を降りるとは想像外であった。もっとも棋戦そのものは他の主催者によって継続されるから「8大タイトル」は維持されるが、序列(早い話が契約金、ドワンゴ時代は序列3位)はほぼ確実に下がると思われる。もしかしたら現在最下位の棋聖戦より下に行く可能性も…
新しい主催者は29日に発表されるとの事だが、もしこれが(ドワンゴ=ニコ生の客を奪っていった、と言ってもいい)Abemaだったりしたらものすごい皮肉だと思う(笑)。