元ボートレーサーが現役時代に八百長に関与した疑いで逮捕された、というニュースを知った時は
「昭和の時代かよ」
とか思った。…そう思ったのは「公営ギャンブルと八百長」というと「九分九厘暴力団が絡んでいる」、そして「そういう事例は昭和の時代に沢山あったようなイメージがある」みたいな先入観?があったから。今回の事件で絡んでいたのはレーサーの親族だったようだが。
その元レーサー【*1】は開催期間中のレース場に不正にスマホを持ち込んで親族を連絡を取った、と言われている。そもそもレース場には通信機器の類は持ち込めない=前検日にレース場に預ける、という規則がある【*2】。これは過失(荷物の底に紛れ込んでいたとか)でもアウトであり、即刻帰郷&出場停止のペナルティを喰らう(過去にそういう事例があった)のだが、この件に関しては「意図的に持ち込んだ(2台所有していてレース場には1台だけ預けた)」わけだから話にならない。
無論八百長は忌むべき行為だが、今回の件で言うと「やり方が危なっかしい」というか「下手」と言える。疑惑のあるレースは「2号艇で4着」「1号艇で2着」という結果だったが、どちらの場合でもそんなに大きな払戻にはなりにくい(実際どちらも3連単5000円台だった)。変な言い方になるが「ハイリスクローリターン」である。
もっと変な言い方になるが、もし自分がボートレースで八百長しようとするなら依頼主(?)に対し
「自分が1号艇で乗る最初のレースで4着以下に負けるから『23456のBOX』で買っとけ」
と言う。『23456のBOX』は組み合わせにして60通り(全組み合わせの半分)もあるが、人気を背負った1号艇でコケたらかなりの高確率で万舟になるのでローリスクどころかほとんど「ノーリスク」である【*3】。しかもこの場合「レース場に不正にスマホを持ち込む必要がない」(レース場に入る前日くらいに伝えておけば済む)のでバレにくい(はず)。…ただし、仮にこの方法をやって結果(?)が出たとして、ほぼ間違いなく依頼主(?)はこれに味を占めて同じ事を要求してくるであろう。しかも「もし断ったら八百長した事を世間にばらす」という脅迫つきで。
「こんなのは氷山の一角だ」としたり顔でネットに書いている人も少なくないがそれらは放っておくとして、A1級にもなったレーサーが何故八百長に加担したのか、は気になる。ボートレーサーの「年収平均1600万円」という謳い文句(?)は有名だが、ことA1級の選手で言うなら「キリ」でも年収2500万くらいは稼いでいる(「ピン」は賞金王なので2億くらい)。…もっとも他の業界でも大金を手にするも後に破産とか借金まみれ、という人は少なくないのでこの元レーサーもその口なのかも知れない(一説には「競馬にはまって金に困っていた」とも言われている)。
また、加担した親族は
「舟券をインターネットで購入、配当金を受け取る専用の口座を設けていた【*4】。口座には多額の出入金記録があり、昨年秋ごろには数億円の預金があった」
というから「やった」回数は一度や二度では済まない、下手すりゃ3桁という可能性まである(実際その元選手は「不可解な負け」が多い、というファンの声が多いし、前述のような「脅されて止められなくなった」可能性も考えられる)。
…いずれにせよ「ファンの信頼を裏切る大変重大な事案(公式HPより)」であり、業界やファンにとってはやりきれない話である。こんな事は二度と起きるな、と願うしかない。とりあえず将棋界のように「金属探知機を使った所持品検査」くらいはやらなアカン、と思うのだが【*5】。