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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

バラエティナンプレあれこれ・2

早速だが今回は前回の続き。
 
④1差ナンプレ・ジョイントナンプレ
呼称が2種類あるが、ルールの根幹は同じなので同一のバラエティナンプレとして説明する。
「1差ナンプレ」の場合は
・2つのマスを区切る線が二重線の場合は2つのマスには連続する数字が入る。
・2つのマスを区切る線が通常の線の場合は2つのマスには連続しない数字が入る。
 
例えば下の例題の場合
・「6」の左右のマスは二重線で区切られているので、この2つのマスには6に連続する数字、つまり「5」か「7」が入る。
・「6」の上下のマスは通常の線で区切られているので、この2つのマスには6と連続しない数字、つまり「1,2,3,4,8,9」のいずれかが入る。
…という感じで数字を埋めていく。
 
1差ナンプレの場合はスタンダードナンプレの追加ルールであることが多く、そのため3×3のブロックが存在する事がほとんど。
 
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一方の「ジョイントナンプレ」の場合は
・2つのマスが線で繋がっている場合は2つのマスには連続する数字が入る。
・2つのマスが線で繋がっていない場合は2つのマスには連続しない数字が入る。
マスが線で繋がっている=ジョイントしている、というところからジョイントナンプレと呼ばれる。
 
下図の例題の中央にある「5」のマスで考えた場合、
・5にジョイントしている上のマスには5に連続する数字、つまり「4」か「6」のどちらかが入る。
・5にジョイントしていない左右と下のマスには5と連続しない数字、つまり「1,2,3,7」のいずれかが入る。
 
…という感じで数字を埋めていく。
ジョイントナンプレの場合、3×3のブロックは存在しない事が多い(※1)。そのためサイズは9×9以外にする事ができる。
 
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このパズルの初期配置数だが、0(ノーヒント)にする事は出来ない。
少し考えると分かる事なのだが、最初にヒントがないと作意のミラー、つまり作意の数字の並びを反対にしたもの(例えば左から「1234567」だったら「7654321」)も答えとして成立してしまうからである。
同様に初期配置が真ん中の数字(使用数字が1~9だったら5)のみの作品も不可能である(そこを軸に数字の並びを反転できるから)。
なので、上記例題(1差ナンプレ)のように最低1個かつ真ん中の数字以外が配されている、というのがこのパズルの最小初期配置数である。
 
作り手側のルールとしては、
接続状況(数字が連続するのかしないのか)がわからないマスを設けるのは不可
…不可能というよりは視覚的に分かりにくくなるのでやめましょう、と言ったところ。
・二重線(ジョイント線)の配置箇所が対称形である必要はない(不等号ナンプレと同様でそういう問題を作るのが難しい)。
・二重線(ジョイント線)を1本も存在しない「全てのマスで数字が連続してはいけないナンプレ」というのはあり。ただ、解いて面白いかは全く別の問題だが…
 
⑤偶数ナンプレ
スタンダードナンプレのルールに加えて、色のついたマスには偶数(2,4,6,8のいずれか)を入れないといけない色のついていないマスに入る数字は奇数でも偶数でも構わない。
 
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雑誌によっては「色のついていないマスは奇数を入れないといけない」場合もあるが、そうすると押しなべて難易度が下がってしまう(見栄えもあまり良くない)ので、個人的には奇数側の縛りはないほうが適当だと思う。
さほど掲載比率(≒知名度)の高いナンプレではないので、どこまで初期配置を減らせるかという検証はなされていないようである。
 
作り手側のルールとしては、
偶数のルール無しでも解けてしまう作品は偶数ナンプレとしては成立しない
・偶数マスの配置は対称形が望ましい。
・偶数マスには最初から数字を入れないほうが望ましい。
 
⑥カラーナンプレ
スタンダードナンプレのルールに加えて、同色に塗られた9つのマス(3×3のブロックになっているとは限らない)にも1~9の数字が一つずつ入る
下図の例題の場合は通常の3×3ブロックに加えて、オレンジの9マス、黄色の9マスにも1~9の数字を一つずつ入れることになる。
 
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ちなみに色つきのマスで「太陽(オレンジ)」と「三日月(黄色)」を表現しているのだが、言われてもそうは見えないところに自分の美術センスのなさを感じる(笑)。
最小初期配置数の検討は聞いた事がないが、色つきブロックの数を増やすと変則ブロックナンプレに酷似した条件になるので、やりようによっては「8」まで減らす事は可能と思われる。
 
作り手側のルールとしては、
カラーナンプレのルール無しでも解けてしまう作品はカラーナンプレとしては成立しない
・同色のブロックは連結している必要はない(例えば「四隅+中央に5マス」や「各ブロックの中央に1マスずつ」なども可)。
・色つきブロックの配置は対称形が望ましい。
・色つきブロックには最初から数字を置かないほうが望ましい。
ごく稀に不等号ナンプレやジョイントナンプレ(「ブロック」が存在しないナンプレ)にカラーナンプレのルールも追加したものもある。
 
⑦ジョイント不等号ナンプレ
文字通り(?)ジョイントナンプレと不等号ナンプレのコラボナンプレ
不等号のあるマスに関しては不等号ナンプレのルールを適用し、そうでないマスにはジョイントナンプレのルールを適用する。
 
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上図の例題(ナンプレマガジン2011年4・5月号(アイア出版)に掲載された拙作)の場合、横方向には不等号ナンプレのルールを適用し、縦方向にはジョイントナンプレのルールで解くことになる。
 
作り手側のルールは両方のルールに準ずる。つまり、
・不等号の配置箇所は対称形。
上図例題は綺麗に縦横に分かれているが、ここまで厳密に区分する必要はない。
・不等号の向き・ジョイント線の箇所まで対称形にする必要はない。
・ジョイント線なし(不等号のない箇所は数字が2以上離れている)も可能。
その場合は「ジョイント不等号ナンプレ」と明記しておかないと混乱する可能性がある。
不等号の存在によって数字の反転は不可能なのでノーヒントも可能
 
このナンプレは自分の知る限り「ナンプレマガジン」「ナンプレジャンプ」(ともにアイア出版)でしか見た事がないが、個人的に(作るのも解くのも)非常に好きなナンプレなので、あえて紹介させていただいた
 
世の中には他にも様々なバラエティナンプレがあるのだが、大事なのはタイトル(作品名)と問題図を見ただけでルールが(何となくでも)わかることだと思う。
例えば対角線ナンプレは問題図に対角線が引いてある事で「あ、これは対角線にも1~9を入れろ、という事なんだな」と容易に推測できるし、不等号を見れば「ここは数字の大小関係が成立するんだな」とすぐわかる。
一方でマスにただ○印が打っていたり矢印が引いてあるだけだと、どういうルールが付加されているかがわからない。中にはルールを読んでもいまいちルールが掴みにくいナンプレも多い
そういうナンプレは作って(載せて)も作家(出版社)の自己満足・自己陶酔で終わる(読者がついてこない)のではないか、と思う。問題によっては「ややこしいから解きたくないけど、懸賞問題なので仕方なく解いている」という人も多そうである(※2)。
 
ナンプレ誌の応募ハガキにバラエティナンプレに関するアンケート(各種ナンプレの難易度と面白さを5段階評価で回答)でもあれば読者の目線がわかって今後の参考になりそうなものだが、自分はそういうのを見た事はない。かと言って読者がほとんどいないこのブログでそういうアンケートを実施しても正確な数値(評価)が出るとは思えないし…(笑)


(※1)…前回出てきた「変則ブロックナンプレ」とコラボした問題を作る場合は、1差ナンプレのような二重線を用いるとどこがブロックの境界線か分からなくなるので、下図例題のようにジョイント線(ブロックは色分け)で作ることになる。
 
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この問題はナンプレマガジン2011年12月・2012年1月号(アイア出版)に掲載された拙作
 
(※2)…これがアニメ業界だったら俗に言う「アニオタ」という人が食いついてくるかも知れないし、詰将棋だったらアマプロ問わずどんな難問奇問でも解こうとする人は結構いるのだが。
例えばプロ棋士は「詰将棋を見ると本能的に解こうとする(解かないと気が済まない)」らしく、対局やイベントを目前に控えた人に難しい詰将棋を見せてはいけない、というのが暗黙の了解のようである(出番までに解けなかった場合、その問題の事が気になって仕事に集中できなく恐れがあるから)。