DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

バラエティナンプレあれこれ・1

前回の更新から2週間近く過ぎてしまった。
私的な事情と今回の題材(問題)を集めるため(※1)に時間がかかってしまったのがその理由である。
 
このブログを知っている・読んでいる(パズル誌の)関係者なんて現時点では「0」と言い切ってもいいかも知れないが、だからと言ってブログの更新(≒宣伝活動?)をやたら不定期にしていると
「DJカートンは連載(今は当然連載など持っていないが、仮に将来どこかでそれをもらえたとして)にも穴を開けてしまうのでは
という危惧をこのブログを偶然目にした関係者に与えかねない。
そうなると今後の創作活動に影響が出てしまう可能性もあるので、一見他愛のないブログ(?)であっても手抜きは出来ない。以前も書いたが、ブログってのは誰も見ていないだろう、と油断している時に限って見られていたりするから。
 
さて、今回のお題は久々に本業(?)のナンプレに立ち返って、「バラエティナンプレに触れたいと思う。
バラエティナンプレというのは一言で言えば通常のナンプレに特殊なルールを追加したもの
「変則ナンプレ」と呼ばれることも多いが、ここでは「バラエティナンプレ」(通常の9×9のナンプレは「スタンダードナンプレ」)と呼ぶことにする。
 
ではこのバラエティナンプレにはどういうものがあるのか。
…一口にバラエティナンプレと言っても、比較的メジャーな(大抵のパズル誌で扱っている)ものから特定の雑誌のみで扱っているマイナーなもの(まだ世に出ていない「DJカートン謹製バラエティナンプレ」もないことはない)まで様々であり、よほどのナンプレマニア(全てのナンプレ誌を欠かさず購読している人)でもない限りその全てを把握するのは不可能と言える。
自分もその全てを把握しているわけではないので、ここでは比較的メジャーな、つまりパズル誌でよく見かけるものを紹介しようと思う。
 
…いちいち断る必要もないと思って今までは書かなかったが、
当ブログの作品の無断転用・転載は厳禁です。
一応書いておかないと何が起こるかわからないので。
なお、「答え」を載せる予定はないので自力で解いて答え合わせしてください(笑)。
 
①対角線ナンプレ
これは数あるバラエティナンプレの中でももっともメジャーなものと言える(これを作れる・解けるソフトがあるくらいだから)。実際ほとんどのナンプレ誌にこの作品のコーナーがある。
ルールを一言で説明するなら(一言で説明が済んでしまうが)スタンダードナンプレのルールに加えて問題図の対角線上にも1~9までの数字がひとつずつ入るのが対角線ナンプレである。
対角線ナンプレであることが分かりやすいように、下図のように2本の対角線が実線あるいは破線で引かれている事が多い。
 
イメージ 1
 
作り手側のルールとしては、
対角線のルール無しでも解けてしまう(たまたま対角線上に1~9が並んだ)作品は対角線ナンプレとしては成立しないどちらか片方はなくても解ける、というのはセーフ。
・初期配置の数字を対角線上に置く・置かないは自由(個人的には置かないほうが好み)。
ちなみに対角線ナンプレにすると初期配置を12個まで減らす事が可能なようである(※2)。
 
②変則ブロックナンプレ
バラエティナンプレの中では対角線ナンプレと同じくらいメジャーな部類になるナンプレ
だが前者は呼称が「対角線ナンプレ」の1種類しかないのに対し、こちらはナンプレ誌によって呼称が様々
自分が知っているだけでも
・変則ブロックナンプレ
・凸凹ナンプレ
・ジグザグナンプレ
・ジグソーナンプレ
と5種類もあるが、言葉の意味で考えて一番ピッタリな呼称は「変則ブロックナンプレ」だと思うので、ここではその呼称で呼ぶことにする。
 
スタンダードナンプレのルールの中に「3×3のブロック内に1~9までの数字が1つずつ入る」というのがあるが、この「3×3のブロック」の形を正方形でなくしたのが変則ブロックナンプレである。
 
イメージ 2
 
このナンプレの利点(?)に「サイズを9×9に限定する必要がない」というのがある。
例えば5×5くらいの初心者向けの小さいサイズの問題も作れるし、反対に12×12とか15×15という大きいサイズ(ブロックが長方形)のナンプレもこの変則ブロックナンプレの一種と言える。
 
作り手側のルールとしては、
・初期配置のヒントだけでなく、ブロックの形も対称形である事(絶対ではない)。
例えば上図の例題はブロックの形(区切り)が点対称になっているのがお分かりいただけると思う。
 
…ルールはともかく、このナンプレは作るのが大変である。
何故なら全ての条件を満たすように1~9の数字を入れるのが想像以上に難しいからである。
暇な方がいたら上図の問題から初期配置を全て取り払って、思うままに1~9の数字を入れてみていただきたい。できれば訂正が出来ないように鉛筆ではなくペンで。
おそらくどこかで詰む(入れる数字がなくなるマスが出てくる)と思う。
理屈を説明するのは難しいのだが、理論的に潰せるマスがスタンダードと比べて多いので、1つマスを埋めるだけでも相当先を読まないとすぐに「詰んで」しまう。
逆に言うと、一見確定するマスがなさそうに見えても読みを入れると確定するマスがある、という事も多く、ブロックや初期配置の形を非限定にすると初期配置を8個(サイズを問わず使用数字-1個)まで減らす事が出来るようである。
 
③不等号ナンプレ
マスとマスの間に不等号がある場合はその不等号の向きを満たすように数字を入れないといけない
…前述の2種類と比べると少ないが、それでも現在流通しているナンプレ誌の半分くらいで掲載(出題)されている。ただ、こちらは同じ名称でも、
 
・スタンダードナンプレのように3×3のブロックが存在する問題
 
イメージ 3
 
・ブロックが存在しない問題
 
イメージ 4
 
2種類に大別できる(基本的に両パターンを掲載しているナンプレ誌はない)。
ブロック無しだと変則ブロックナンプレのようにサイズを自由(1~9以外)に設定できる。
 
このナンプレの特徴として、(どちらのパターンでも)初期配置がひとつもないノーヒントにできる、というのがある(もちろん初期配置がないとどうやっても解けない問題もある)。
御覧のように例題に挙げた2題(※3)はどちらもノーヒントで、一見して
「これどうやって解くんだ?」
と思われた方もいるかも知れないが、不等号の向きから推理して数字を当てはめる事が出来る
(というよりそれがこのナンプレを解く基本)。
例えば「1」は最小数字なので、不等号が1つでも外側を向いている(隣のマスの方が小さい)マスに入れることはできない(最大数字についても同様に考える)、という具合に。
 
作る側のルールとしては、
不等号のルール無しでも解けてしまう作品は不等号ナンプレとしては成立しない
これは「ブロックあり」で不等号の数が少ないと起こってしまう事があるが、例題のように初期配置が少ない問題だとそういう事はありえない。
・不等号を意図的に消去する(どちらが大きいかわからない場所を作る)事も可能。その場合全体の不等号の配置箇所は対称形が望ましい(個人的には必須条件だと思っている)が、そうでない作品もよく見かけるので自由だと思われる。
・ブロック有りの不等号ナンプレについて、ブロックをまたぐように不等号を配置しても構わない
(前出の例題では意図的にブロックの境界線上に不等号を配していない)。
不等号の向きまで対称形にするのはかなり困難(ただ作る事自体は可能)なので不問。
と言ったところか。
 
…他にも紹介したいバラエティナンプレはあるのだが、投稿可能文字数の関係で続きは次回にさせていただく。


(※1)…このブログに載せているナンプレの作品の大半は「自分が過去にどこかに送って没になった作品(笑)」(ブログバナーの作品も同様)。
そういう意味では見る目のない(?)雑誌編集者によって葬られた作品を「集めて」、これらに再び命を与えられる(日の目を見せられる)のもこのブログの存在意義といえる。
中には新作やどこかで発表済のもの、必要とあれば自作でない作品を載せる場合もある(もちろんその時は作者名・掲載場所を掲載します)ので御了承を。
 
(※2)…スタンダードナンプレだと18個(日本独自の「初形の制限」を取っ払えば17個)が限界。
こちらは作成・解析ソフトによって証明されている。
 
(※3)…前者(ブロックあり)はナンプレマガジン2009年8月号(アイア出版)に掲載された拙作から初期配置を撤去したもの(もちろんそれでも解けるという前提で)。