7月31日、「柳家さん喬 柳家権太楼 二人会」。ゴン様は何度か寄席で聴いているが、さん喬の落語を寄席で聴くのは意外にも(?)今回が初めて。
二人とも五代目柳家小さん門下【*1】の実力派で、分かりやすく(?)言うなら「静のさん喬、動の権太楼【*2】」という感じだろうか。タイプは違うが親交は深く、二人会は40年くらい(!)続いているそうである。
この日の演目は
猫と金魚 権之助(権太楼門下)
火焔太鼓 権太楼
船徳 さん喬
(中入り)
ちりとてちん さん喬
疝気の虫 権太楼
権太楼は今年の初めにコロナにかかって入院したそうで、その時のエピソードが一席目の枕。入院(≒隔離)時につらかった事として「トイレにも自由に行けなかった」事を挙げていた。トイレに行きたくなったらまずナースコールを使い、看護師が来たらまず名前を聞かれる【*3】。続いて「生年月日を言って下さい」と言われたので
「せーねんがっぴ!!」
…医療従事者に洒落は通じませんでした(笑)。別に「医療従事者だから」というわけではなく、単に「元ネタを知らないだけ」なんだろうけど【*4】。
この日はさん喬が「高座返し」を行うという非常にレアなシーンを見られた【*5】。どういう意図だったのかは分からないが会場からは笑いと拍手。
「疝気の虫」という噺はこの日初めて聴いた。「疝気(泌尿器系の病気の総称)」は虫が体内に入り込んで起こす病、というSFチックな?設定【*6】の噺なのだが、「内容的にTVとかでは放送しにくい」ので知っている人は少なそうな気が。
…やっぱり落語はええのぉ。
*1:権太楼は五代目柳家つばめ(こちらも五代目小さん門下)の門下だったが師匠の急逝により小さん門下に移った。
*2:さん喬は「人情噺をじっくり聴かせる」、権太楼は「滑稽噺で力技で笑わせる」スタイル。
*3:柳家権太楼の本名は「梅原健治」。…初めて知った時「同じ『うめはら』でもこうも違うのかねぇ…」と思った(姻戚関係はないらしいが…)。
*4:この日道新ホールにいた客のほとんどは「意味がわかっていた」と思う。
*5:次の演者のために座布団をひっくり返し「めくり」を次の演者のものにする、通常は前座(この日だったら権之助、前半は普通に高座返しをやっていた)のお仕事。
*6:かつては本当に「疝気が起きるのは虫のせい」と思われていた時代があったそうだ。