「太鼓の達人」というゲームは登場から20年以上経過しているそうだ。登場した当初は「すぐに消えそうなゲーム」という印象だったので意外にしぶとい(?)。
ゲームそのものは画面に流れてくる「面を叩く赤いノーツ」と「縁を叩く青緑色のノーツ」に合わせてそこを叩く(「強く叩く」とか「連打する」なんてのもあるが基本はこの2つ)、というシンプルなルールであるが、
色盲・色弱の人だとこの2種類のノーツ(色)の判別が困難である。
つまりこのゲーム(の開発者)は
「色盲などという下劣な人間はこの高貴なゲームに触るんじゃねえ!」
と主張している、つまり
…と主張する人を(少なくとも自分は)見た事がない(笑)。
昨今はやたらと「差別(発言)」という単語を見かけるような気もするが、その数多ある「差別」の何%かはこれと同レベルの「屁理屈」じゃないか、と思えるものもある。無論到底看過しえない「差別」も少なくないが。
今は色盲とか色弱とか言わずに(そもそも前者は放送禁止用語)「色覚異常」と呼ぶそうだが、「異常」という単語を使っていたらかえって対象者を馬鹿にしている(差別用語である)ような気がする。なのでここでは便宜上「色弱」あるいは「色盲・色弱」という表記をする。大体呼び方を変えたからと言って症状が軽くなるわけでもないし、昨今では「肌色」という名称までもが差別用語のような扱い(使用の自粛)を受けており、ここまで来ると色弱の人のほうがよっぽど「健常者」ではないかと思いたくなる。そしてそうやって「臭い物に蓋をする」人のほとんどは「大便器の表面と同レベルで菌が付着している」とも言われるスマホの画面を平気で触りまくっているのだから不思議である。
先ほどの太鼓の達人の話について、通常の色覚(と言っていいのか?)を持っている人には分かりにくい(あるいは全く分からない)感覚かも知れないが、色盲・色弱の人というのは「異なる2種類の色を識別するのに時間がかかる」のである。例えば信号機の黄色と赤色が瞬時に判別できなかったり【*1】、パトライトの黄色と赤色が瞬時に判別できなかったり。「瞬時に」なので落ち着いて(時間をかけて)見れば色の違いは判別できる(どのくらいの時間を要するかは「色の近さ」が近いほど長くなるし、色弱の度合いに因ると思う)のだが、「赤いノーツ」と「青緑のノーツ」も同様に普通の人と比べると瞬時の認識が難しい。初心者向けの簡単な譜面だったらまだ確認する余裕がある(ノーツと一緒に「ドン」「カッ」の文字も流れてくるのでそれで判別する手もある)が、上級向けの高密度譜面でそんな余裕などあるわけがなく、言ってみればもはや「死刑宣告」である。
…これらは屁理屈などではなく、色弱である自分の経験則【*2】。故に自分は太鼓の達人というゲームを極める(?)のはやる気とかの以前に「先天的に不可能」だという事を「初期型」をプレイした時点で悟った【*3】。同様の理屈で「SOUND VOLTEX」のアナログデバイス(左右に1つずつある「ツマミ」のようなものを回して演奏?する。ノーツの色は「青」と「赤紫」で結構近い色)もアウトだし【*4】、「ぷよぷよ」なんかもダメ。実際「赤ぷよ」と「綠ぷよ」を見(置き)間違えて全てが崩壊した瞬間に「俺にはこのゲームをプレイする資格がない」とスパッと引退(?)したものである。…そう考えると最近のゲームは色盲・色弱者に対する配慮が全くと言っていいほどないよな、と感じてしまう。
…と、ここまでは「無理矢理言葉を絞り出した屁理屈」なのだが(笑)、太鼓の達人についてはそういった笑い話(?)では済まない要素(ローカルルール)もある、という事を最近知った。それはゲームの内容ではなく、簡単に書くと
上級者には非上級者からプレイの順番を強奪する権利がある
のだと言う(参照元)。
…ハッキリ言って悍ましさしか感じない。例えばどこぞのラーメン屋に行って行列ができていた時に、「俺はこの界隈のラーメン屋を全店制覇した玄人だ。だからてめぇら素人は俺に順番を譲れ」なんて主張を認める客がいるだろうか。そしてそのような言い分(わがままでしかない)が通用するラーメン屋があるだろうか。
音ゲーをする人には時折「おかしな奴」がいたりするが、これは「おかしい」なんてレベルではない。しかもそういう奴は1人や2人ではないというから凄まじい。少し前に「身長170未満に人権はない」とかほざいて叩かれたアホがいたが【*5】、それと同様でこいつらは自分が「選ばれた人間」だとでも思っているのだろうか。こういう人たちの事は太鼓の達人ならぬ
サイコの達人
とでも呼んであげたい【*6】。
もしBNE(バンダイナムコエンターテインメント)がこの事を「知っていて何も手を打っていない」のであればこれは最早「差別の容認【*7】」と言ってもいいだろう。…そうなると結果として「太鼓の達人は人種差別ゲームだ!」という主張は正しい、という事になってしまう。それこそ裁判を起こされているアレみたいに「さっさとこの世から消えてしまえ」と騒ぐ人が出てくるかも?
一応言い訳(?)をしておくと自分は「そっち側」の人間ではない。後ろで誰か待っていたら間違いなくその人に順番を譲るし、誰もいない場合でも周りを見渡して「よし、(待っている人は)いない!」という事を声を出して確認した上で連続プレイをするように心がけている(ただし「その場にいなかった人間」を待ってやるほどお人好しではない)。
*1:昼間だと「点灯している場所」で判断できるがそれができない夜間や「一灯式信号」の判別が困難である。最近だと赤の灯火に「×」が入っている信号機もあるらしいが、自分は実物を見た事はない。
*2:運転免許は持っているので程度はそれほど重くはないが、運転中に黄色のパトライトを見ても(赤ライトだと思って)「俺何かやらかしたか?」と思って焦ってしまう(笑)。
*3:「カッ」のノーツを菱形に(色以外の要素で認識できるように)してくれればまだ何とかやりそうだが、そういう変更は「自称上級者」どもに反対されてほぼ100%実現しないだろう。
*4:実際「反対側のツマミを回す」という「中~上級者には想像もつかないミス」を普通にやらかす。一応ゲームオプションで色を変える事はできるが、自分の場合「何色であっても大して変わらん」という自信(?)がある(笑)。
*5:そいつはその後しれっと「現場に復帰」したっぽい。どこで何をやっているのかは知らない(知りたくもない)が…
*6:ここでのサイコは「サイコパス(psychopath)」の省略形(「サイコ」と略す言葉は他にもいくつかあるので)。反社会的人格の持ち主を表す言葉で、日本では法律で精神障害者と定義されている。フィクションだと「異常犯罪者」として扱われる事が多いが、実際は犯罪を起こすかどうかは定義の要素ではない。日本語だと「精神病質者」。その主な特徴的性格は「冷酷(無慈悲)」「尊大(自己正当化)」「慢性的な嘘つき」「無責任」「ナルシスト」「良心の欠如」「罪悪感の欠如」など。ちなみに現在では「確立された治療法は存在しない」。