DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

別に読みたくもない週刊誌を読んで…

10月20日に発売された週刊文春10月27日号に今回の「三浦弘行九段のスマホ使用不正疑惑?」についての暴露記事(?)が書かれていた。タイトルは

将棋「スマホ不正」全真相

「全真相」とは実に御大層なタイトルである。週刊誌の見出しにはこういう大仰な言葉を使わないといけないという伝統あるいは不文律でもあるのだろうか、と思う。

前回も書いたように今回の件に関しては「確固たる情報・物証が少なすぎる」のでこの手の情報も何らかの判断材料になる…のかも知れないが、
如何せん「週刊誌の記事」だから何をどれだけ信用していいものか。
例えばこの記事は

「限りなく”黒に近い灰色”だと思います」
十月十一日朝、かつて竜王のタイトルを保持した日本将棋連盟理事の島朗九段(53)に届いたメールにはこう書かれていた。差出人は将棋界の第一人者・羽生善治三冠(46)だった──。

という書き出しで始まっているが、これに対し当の羽生三冠が

「──(前略)本日、一部報道で誤解を招くような表現が表現がありましたのでこの場を借りて説明をさせて頂きます」と切り出すと「まず、灰色に近いと発言したのは事実です」と報じられたメールの内容について説明。──(後略)

自身の見解を披露されている。しかも「妻で元タレントの理恵さんのツイッターを通じてコメント」している──つまり「一刻でも早くコメントを発表しないといけない」と羽生三冠が考えた──あたりが尋常ではないと思う。また翌21日には当の三浦九段からも「一部マスコミで事実と異なる内容が報道されている」と文書が発表されている。
…ともあれ、この時点で「全真相とは片腹痛いわ」感がなくもない。例えば記事には「10日の午後7時半から島九段の自宅でトップ棋士ら7人による”極秘会合”が行われた」とあるが、その会合の内容もさることながら(※2)、下手をすれば「本当にそんな会合あったの?」と会合の存在からして疑えてしまう。こういう時に週刊誌を読み慣れている人だったら書いてある内容を「翻訳」してより真実に近いものを読み取れるのかも知れないが、週刊誌を読むという習慣が全くない自分(※1)にそれは無理というものである。
…そんな自分だからか不意に

「正しい週刊誌の読み方」みたいな本があれば地味に売れそうかも

なんて事を考えてしまった(後述の理由からこれまでにそういう本は出ていないと思う)。例えば冒頭のような表現の「翻訳」の仕方とか、「近隣の住民」とか「とある関係者」などと言った記事内でコメントしている人物(前者は今回の記事中に出てきた)は何%の確率で実在するのかとか。
関係者(現役あるいは退いてからあまり時間の過ぎていない人)の協力・監修があれば書けそうな気がしなくもないが(あくまで「協力してくれれば」の話だが)、少なくとも自分はそんなものを書く気はないし(そもそも時間がない)、それ以前にそんな本は「出版したいと思う出版社がない(完成品で持ち込んでもほとんどの出版社から出版を拒否される)ように思われる。
想像ではあるが仮にそういう本を書き上げたとしてその内容は「業界の内側」や「記事の作る過程」なんかを説明するところから必要になる(そうしないと「説得力がない」)だろうから結果として「週刊誌業界(ライターや編集部など)の暴露本」という色合いが強くなりそう、つまり言うなれば「自分たちの暴露本」を出版するようなものである。
…果たして彼らにそんな本を出版する度胸はあるだろうか? という事になる。 …まぁ普通に考えれば「あるわけない」でしょうね(笑)。

…なんて事を考えている間にも今回の件に関しての説明会(外部に向けたものではない)が行われたり顧問弁護士らによる調査委員会が発足するなど少しずつ事態が進行している。とりあえず現状のままでは誰も幸せになれないので真っ当な将棋ファン(…自分で言うか?)としては少しずつでも事態がいい方向に進むことを願うばかりである。


※1…この記事のために「生まれて初めて自分で金を出して週刊誌を買った」くらいである。ちなみにこの記事のページだけ切り取って残りは捨てた。1ページ100円也(笑)。

※2…例えば記事中に

ある棋士「これは99.9%やっていますね」と断言していたという。

とあるが、「そんな発言は99.9%なかったでしょうね」と断言してもいいと思う(笑)。