DJカートン.mmix

他人に完璧を要求するのは質の悪い潔癖症のようなものだ。

盛り上がる?競馬界(文中敬称略)

「何だそりゃ?」
と呟いてしまった。何しろセーラームーンにとって読売ジャイアンツという球団はたびたび自分の放送枠(土曜日の夜7時~)を奪い取った、それこそクイン・ベリルやデス・ファントムなどの歴代シリーズのボスをはるかに上回る「不倶戴天の敵」とも言える存在である(笑)。
…しかし20年もたてば情勢は変わるもの。「そんな相手とのコラボなど以ての外」なんてまるでどこかの国みたいに過去の出来事にいつまでもこだわり続けるのも大人げないというか「精神年齢が低すぎる」ので、そこはセーラームーンの底知れない包容力」、という事にしておきましょう(笑)。

にわかに競馬界が盛り上がっている。その原因は言うまでもなく(?)JRAに16年ぶりに誕生した女性騎手・藤田菜七子(ふじた ななこ)の存在である。他の同期より一足早いデビュー戦となった3月3日の川崎競馬場(での交流競走)は平日のデイ開催にも関わらず朝から多くのファンが現地に駆け付けたと言うし、競馬場の外でもプロ野球オープン戦(3月17日に鎌ヶ谷で行われる北海道日本ハムvs福岡ソフトバンク戦)の始球式に呼ばれるなど、まさに「菜七子フィーバー」である。そのうち同じ名前である電子マネー「nanaco」とのタイアップが実現するんじゃないか? とか思ってしまう。

とは言え、騎手になったからには競馬で結果を残さない事には何の意味もない。…のだが、騎手という職業は結果を出したくても競馬界は他の業界と比べて「自力ではどうにもできない部分」が多く、それがために若くして騎手をやめる事になった人も少なくない。
何と言っても騎手は「騎乗依頼」がない事にはレースに出走する事すらかなわない。他の公営ギャンブル、例えばボートレースは「斡旋」と言って、競走会の「あっせん課」によって全ての選手に最低限の出走機会が振り分けられるようになっている(競輪・オートレースも多分システムは同じだと思う)。もちろんF休みやその他の出場停止処分を受けている人、怪我や病気、出産育児などで斡旋を辞退している人には斡旋は来ないけど。斡旋されるレースの種類・数はクラスによって差はあるが、それは斡旋されたレースで結果を残してでクラスを上げる事で「自力で勝ち取る」事ができるのである。
…しかし、競馬にはそういうシステムはない。たとえ抜群の技量を持った騎手であっても、出走馬に乗せる騎手を最終的に決める(選ぶ)のは「調教師」である(「馬主の意向」というのは強力だが、それでも最終的にレースに登録するのは調教師である)。彼らにしてみれば少しでも上の着を取って(理想は勝って)1円でも多くの賞金を獲得したいわけだから(調教師は成績が今後の活動にも影響するので必死である)、好きな騎手を選べるのならば「少しでも勝つ可能性の高い=上手い騎手」を選ぶのも当然なので実力・実績のある騎手が有利な事には違いないが、その一方でたとえトップ騎手でも調教師やその馬の馬主と「過去に揉めた」「個人的にそりが合わない」という理由だけで(特定の馬主・調教師から)騎乗依頼が来ない、なんて事も珍しい事ではない
…こんな事を書くと「野球やサッカーの選手も同じようなものだろう」とか思う方もいるかも知れないが、競馬の騎手はそれらのスポーツ選手と比べると明らかに「業界内での立場が弱い」職業で、それこそ馬主の中には「騎手を人と思っていない(使い捨ての道具くらいにしか思っていない)」人も少なくない(※1)。
ましてや今は「エージェントの営業力」がその騎手の騎乗数や成績を左右する時代である。馬主や調教師との関係は「自力で何とかできる」可能性はあるかも知れないが(何とかなった、という話は聞いたことがないが…)、所属エージェントの営業力はさすがに「自力ではどうにもできない」
ただ、これでは新人騎手の騎乗機会自体がなくなってしまうので、JRAには「見習騎手」という制度がある。これは「デビューから5年以内の騎手(2016年2月までは「3年以内」だった)が一般競走(※2)に騎乗する場合、それまでの成績にしたがって負担重量が最大3㎏減される」、という制度(※3)。馬にしてみれば負担重量が軽い方が速く走れるに決まっているので(※4)これで技量の差を補おう、という事である。場合によっては「減量による変わり身を期待」して通常より軽い負担重量で走れる若手騎手を意図的に起用する(新聞を見ると時々そういうコメントが載っている)事もある(※5、※6)。
これを言い換えると「減量の恩恵があっても結果の残せない騎手が減量がなくなった後に活躍できる道理がない」という事になり、俗に
「騎手は最初の3年(減量がある期間、今だったら「最初の5年」となるのかな…?)で一生が決まる」
なんて言われる。そういうわけなので周りが騒ぐだけならともかく、競馬と関係のないイベント(前述の始球式とか)にあれこれと引っ張り出すのはどうかと思うのだが…

最後に、7日のレース後共同記者会見に武豊が「乱入」して藤田騎手に
「2日間乗っていかがでしたか?」
とマイクを向ける、なんておちゃめな(?)シーンがあったが、その武豊が実はキティちゃんの大ファンだった、という事が自分にとってはここ最近の競馬界における最大のニュースかも知れない(笑)。


※1…某馬主は自分の所有する馬がレースで故障し騎手が落馬した際、預託調教師に対し開口一番
「人(騎手)はどうでもいい、馬はどうなった?」
と言った事でその調教師がブチ切れた(管理馬は他の厩舎に転厩させてその後絶縁、乗っていた騎手もその後その馬主の馬に騎乗していない)、というのは業界の間では有名な?話である。

※2…「○○特別」とか「○○ステークス」などといった「レース名」のついていない競走を指す。反対に前述のようなレース名が付いているのは「特別競走」という。GⅠ以下の重賞競走も広義には特別競走である。

※3…デビューからの1着回数(JRA以外の競走で取った1着の回数も含む)が
30回以下…3kg減、騎手名に▲がつく
31回~50回…2kg減、騎手名に△がつく
51回~100回…1kg減、騎手名に☆がつく
101勝するとデビュー5年以内でも減量措置はなくなる。地方競馬にも同様のシステムがあるが主催者により勝利回数の区分けが異なり、また一部の地方競馬には「女性騎手は常に-1kg」というルール(JRAには存在しない)がある。

※4…俗に「1マイル1キロ1馬身」と言われる。読んで字のごとく負担重量が1kg軽いと1マイル(1600m)のレースで1馬身(約0.18秒)の差が出る、という意味。

※5…負担重量が重いせいで力を出し切れないことを業界用語で「カンカン泣き」と言う。「カンカン」とは負担重量の事(検量室をカンカン場…「貫(重量)」を「看」る「場」と呼ぶことに因む)。

※6…昭和50年代半ばまでは俗に「平場オープン」という競走があった。オープンなので当然ながらクラス制限なし(ただし獲得賞金に応じて負担重量が増える)、かつ一般競走なので減量が適用される。そこで有力馬の「ひと叩き」として平場オープンに見習騎手を乗せて(獲得賞金に応じて増える負担重量を見習騎手の減量分で相殺して)出走させる、という事もあった。若い騎手に強い馬の感触を覚えさせる、という目的で起用する事もあったというので、「次世代騎手の育成」という観点から「平場オープン」の復活があってもいいのではなかろうか。