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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

藤井聡太七段と「サファリ」の関係

検索で藤井聡太(七段)と入力するとサブワード(正式名称はよく分からないが、絞り込みの為に出てくるメインの単語と関連が深いと思われる単語「サファリ」と出てくる事があるという話を聞いた。そこで「藤井聡太」の後に「サ」と入力すると…

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…本当に出てきた(使用する検索エンジンにもよるようだが「昇段直後~20日くらいまで」は「藤井聡太」だけでも出てきたらしい)。
上から2番目に出てくるという事はよほど関連が深いキーワードのように見える。…しかし「サイン」や「サヴァン症候群(※1)」などと比べると2つの言葉がつながる理由(要素)が想像しにくい。実際開いてみても意味が分からない、と思った人は沢山いると思う。個人的な推測だが、将棋を嗜む人でこの2つの言葉がつながる理由(要素)が分かる、という人は全体の1%いるかいないか、だろうか。…ではプロ棋士だと? 多分「分かる人は0か1人か」というレベルだとと思う。

では何故藤井聡太という単語と「サファリ」という単語がつながるのか、その鍵は「音ゲー」にある
beatmaniaIIDXには「7th style(2002年登場)」から「段位認定モード」というモードが登場している。段級位(当時は「7級」~「十段」、後にその更に上の「中伝」「皆伝」が追加される)ごとに指定された4曲の楽曲(※2)を通しでプレイし、途中でグルーヴゲージが0になったら強制終了(不合格)最後までグルーヴゲージが2%でも残ればクリア、合格となる。

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…こんな感じ(自分のリザルト。ショボすぎるが手元にこれしか「素材」がなかった…)。

そんな中、SP(シングルプレー)の「七段」の4曲目(言うなれば「ボス」)の楽曲のタイトルが『THE SAFARI(ザ・サファリ、大抵の音ゲーマーは単に「サファリ」と呼んでいる)』。
…これで一応藤井聡太(七段)」と「サファリ」という2つの単語の「接点」が見つかったわけだが、これだけでは検索ワード(サブワード)の上位にくる理由がいまいち釈然としない人も多いと思う。だが、音ゲーマーにとってこの「THE SAFARI」という楽曲には特別な「意味」がある。

段位認定モードの課題曲はシリーズごとに入れ替わりがある(場合によっては総取替えされる)のだが、

段位認定モードが開始されて以来ただの一度も(曲順も含めて)その座を動いていない楽曲が1つだけある。それがこの「THE SAFARI」(※3)。

つまり

15年以上も変わることなく「SP七段のボス」として鎮座ましましておられる

のである(※4)。つまり一部のコアな(視野狭窄な?)音ゲーマーにとって

『七段(になる)と言えば『サファリ(を段位認定モードでクリアする事)

なのである。…もしかしたら普段から「七段」と書いて「サファリ」と読んでいるのかも知れない(笑)。

そしてこの「THE SAFARI」という楽曲、このゲームにおける「最初にぶち当たる大きな壁」となるプレイヤーが実に多い(自分もそうだった…)。つまり「難しい」。それこそ七段コースの3曲目まではほぼノーミスで来ながらこのサファリだけでゲージを全部持って行かれてアウト、なんてプレイヤーも珍しくない(そういうプレイヤーを俗に「サファリ難民」なんて呼んだりする)。中にはトラウマになったとか、この曲のせいでIIDXをやめた、なんて人も少なくはない

…そんな「中級者を食い殺しまくっている」THE SAFARIとはどういう楽曲(譜面)なのか。…百聞は一見に如かず、という事で動画でご覧下さい。画質があまり良くないので譜面が見にくいかも知れませんが御了承を。
…言っておきますがプレイ時に「あれ」は被っていません(笑)。そういうネタをかませるほど楽な譜面ではないので。

普段音ゲーをやらない人が見たら「何だこりゃ?」と思うかも知れない、というより何がどう難しいのかが分からないかも知れない。
…ざっくりと説明するとこの譜面は「同レベル帯の他の譜面にはほとんど見られない形の譜面が降ってくる」、つまり「それまでのやり方では通用しない(しにくい)譜面」になっているのである。例えば序盤の「鍵盤4~5個+スクラッチの同時押し」とか、そしてこの譜面の最大の難所とも言える
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(0:37~0:44のあたり)

「76767」や「54545」と交互に素早く(BPM150の16分音符で)弾く、という譜面も同レベル帯ではほとんど見られない、しかも「それをやりながら他の鍵盤も弾かないといけない」とかいうわけのわからない事を要求される。そして更にところどころにくっついている「2連打」がその難易度に拍車をかけている(動画ではわかりにくいが「つられて他の鍵盤も弾いてしまう→「余計なPOOR」でゲージを失う事が多い)。
七段で引っかかる人と言うのは大抵ここが弾けない(弾いているつもりなのだけど実際は合っていない)ためにここでごっそりゲージを持って行かれる、というパターンになる。このフレーズが1回だけだったら何とか持ちこたえられても何回も(しかも少しずつ変化しながら)やってくるためどんどんゲージがなくなってしまう→最後まで持たずに終わってしまうのである。

そしてこういう譜面の困ったところは難易度が高いだけではなく「癖が強い」という事。
…どういう事かと言うと「他の譜面にない特徴が多い」ので、「この譜面をクリアする事だけに特化した奇妙な運指になってしまう」という可能性がある、という事。かつて故・米長邦雄永世棋聖が「ボンクラーズ」との対局の「秘策?」として2手目に「△6二玉」という手を指したが、それに近い事が起こるのである。この手が通常の(対人の)対局で役に立つ可能性はほとんどない、つまり「使い捨て」と割り切っての採用ならまだいいが、こういうゲームの場合その手の癖が後々まで残ってしまう事は往々にしてある(スポーツにおける「変な癖」と同様で、「一度ついてしまうと非常に治りにくい」→その後のプレイ(上達)にも影響が出る)。

そして更に付け加えると、この曲は

左利きの方が有利である

という特徴がある。つまり前述の「76767」というシンプルな(?)動きを非利き手の右手に任せて残りの部分を利き手側で捌く、というプレイができる(これは「この譜面に特化した奇妙な運指」ではない)。この方法を右利きの人がすると非利き手で5つの鍵盤を(場合によってはスクラッチも)捌く事になり、とてもプレイにならない(もしそれができるのなら七段で躓いたりはしない)。

これらを総合して一言でまとめるなら「THE SAFARI」という曲(譜面)は

「課題曲」としては非常に向いていないタイプの譜面

なのである。しかしKONAMIの開発陣は一貫してこの曲を使い続けている(※5)。
「…KONAMIには『客観的にものを見る』事のできる人間はいないのか?」
とか思ったりしてしまう。

…左利きの人間がプレイするとどのくらい違うのか。その人の「利き手を(一瞬で)変える」事は生物学上多分不可能なので(笑)、譜面にMIRRORオプション(元々の譜面を鏡に映したような対称の譜面になる。ただしスクラッチは変化なし)を付ける事で「擬似的に利き手が反対になった(正確には左利きの人間が2Pサイド=スクラッチが右側にある、でプレイした)状態」でプレイした。本当は画像を反転させられたら良かったのだがその為の技術も時間もなかったので「鏡に映して動画を見る」とそれっぽく見える…かも(笑)。

…ほとんど変わりがないって? 確かに結果の数字だけ見るとそうかも知れませんが(それでも「右利きプレイ」よりは良くなっている)、やっている本人の感覚からすれば「絶対にこっち(左利き)のほうがプレイしやすい」(ただし個人差はあるだろうから決めつけはしない)。

…話が難しくなってしまったが(笑)、要は

藤井聡太「七段」昇段beatmaniaIIDXのSP「七段」(このゲームにおける大きな壁)合格とをかけた「ネタ」

が世間(音ゲーマー間)で──主にツイッターで──流行している、というだけの話なのである。…自分のように両方の業界が分かる人間としては「言いたい事は分かる」と同時に「何アホな事で盛り上がっとんねん」という気持ちでもある(※6)。

この調子だと今後「八段」に昇段した時に同じ原理で

藤井聡太 ギガデリ」

という検索ワード(タグ)が流行する可能性は極めて高い。むしろ既に「次はギガデリだ!」みたいに時代を先取り(?)したツイートが既に多数流れているらしい(「現時点では」まだサブワードには出てこない)。
「ギガデリ」とは同じくSP「八段」の4曲目(ボス)である「gigadelic(ギガデリック、略してギガデリ。こちらもやはり「大きな壁」である)」の事その時になって改めて説明するのも面倒なので今のうちに説明しておきます(笑)。


※1…簡単に言うなら「知的障害や発達障害「ごく特定の分野に限られた優れた能力」の両方を持ち合わせている人(の症状)。藤井聡太七段の規格外な業績から「藤井聡太サヴァン症候群なのではないか?」という疑問を抱く人が多いようである(藤井聡太七段の普段の言動からその可能性は限りなく低いと思われるが)。

※2…過去のシリーズには「指定された範囲内でランダム選曲される」ものもあった。またDP(ダブルプレー)は数年前まで課題曲が3曲だった。

※3…SP皆伝の4曲目も初登場以来「冥(ANOTHER)」で固定だが、皆伝クラスは7th時代にはなかったのでここでは対象外とした。また家庭用(PS2)のIIDXのうちTHE SAFARIが収録されていないシリーズ(9,10,12~15)に関しては別の曲に差し替えられている。

※4…敬語が重複している(の文法的におかしい可能性がある)が、何割かの皮肉を込めた表現(理由は本文の後半の方に)なのであえてこういう書き方をしています(「鎮座まします」という表現が「人などが場所を占有している事への皮肉」に使われる事があるため)。

※5…何年か前のイベントで当時のプロデューサーが

「beatmaniaIIDXが存続する限りここ(SP七段の4曲目は「THE SAFARI」)だけは絶対に変えない」

とまで宣言してしまっているらしい。…やはりどこかがおかしいぞ。

※6…beatmaniaIIDXの段位は純粋に(?)「スキル」に対する評価だが、プロ棋士の段位は基本的に「実績」に対する評価なので同じ段位でも「性質」からして全然違う(という事をツイッターとかで盛り上がっている音ゲーマーのほとんどは理解していないと思う)。
例えばプロ棋士が七段になる方法はいくつかあるが(そのうち最も「スキルを要しない」のは「六段昇段後150勝」だろうか)、IIDXでは「段位認定モードをクリアする」以外に段位を取得する方法がない(他にも方法を作れよ、と常から思っているのだがKONAMIは○○なのでそうする気は砂粒ほどもないようだ)。