…書いていて「何だ、このやけに気取ったヘッドライン(広告等の一番最初の見出し)は?」と思った(笑)。
…以下敬称略で。またレース名も略称で。
総理大臣杯(ボートレースクラシック)…BC
女子王座決定戦(レディースチャンピオン)…LC
ヤングダービー…YD
賞金女王決定戦(クイーンズクライマックス)…QC
レディースオールスター…LA
レディースチャレンジカップ…LCC
昨年1月のレースを最後に産休の為長期欠場中だった平山智加(2017年9月29日に男の子を出産した)が3月21日から始まる地元丸亀のレースで復帰する。その初日は浜名湖で行われているBCの(順延がなければ)最終日と同日。
「心を込めた女子レーサー」とは2012年12月に行われた第1回QC(第1回時点では通称は存在しなかったが便宜上そう呼ぶ)に出場する選手のキャッチコピーを作る、という企画でつけられた(正確には「公募で集まったコピーの中から本人が選んだ」)平山智加のキャッチコピー。本人の座右の銘「心を込めて」から付けられたものであることは想像に難くない。他にもこの時ついたニックネームが定着した選手(例えば山川美由紀「パワークイーン」など)もいればこの企画以前からのニックネームがある選手(例えば日高逸子「グレートマザー」など)もいる。当然ながら(?)男子レーサーもニックネームを持つ選手は多い(挙げていたらキリがないので割愛)。
昨年7月に浜名湖で実施されたトークショーでは「もう少し暖かくなってから復帰したい」と言っていたが、3月下旬というそれほど「暖かくない」時期で復帰する事になった。とにかくレースに出たくてウズウズしていたのか、あるいは来年の第3回LA(3月5日~10日、児島)に出場する為の逆算なのか、はわからない。
「LAへの逆算」というのは同レースの「被選挙権」を得る条件(の一つ)である「選考期間内(前々年の11月1日~前年の10月31日まで)に100走以上」を指している。つまり「10月31日までに100走以上レースに出る」為の逆算の結果が3月下旬復帰、という事なのかも知れない。第1回のLA(昨年3月、宮島)はファン投票1位で選出されながら産休の為出場辞退となったため「何としても出たい」という思いがあるのかも知れない(※1)。
産休などで長期の欠場をすると級別は最下級の「B2級」になり(※2)、復帰後のレースの斡旋数にも影響が出るが、2016年4月から産休に関しては「復帰から6か月間は産休前の級別に基づいた斡旋を受ける」というルールができたため、9月下旬くらいまでは産休前=A1級の選手の斡旋数(大雑把に言うと「1ヶ月に3節くらい」)が入る…はずである(「LAへの逆算」だったら当然それを考慮しての復帰時期だと思われる)。
出産から半年で復帰と聞くだけでもすごいと思う(自分は男なのでその苦労がよく分からない)が、さすがにぶっつけ本番なわけはないだろうから実際は出産から3ヶ月とか4ヶ月とかで練習やトレーニングを再開している事になる。「YAWARA!」に出てくる伊東富士子もそんな感じだったような気がするが(※3)、そういう話を聞くと「アスリートってのは凄いなぁ」と思ってしまう。
先のイベントでは「目指すは2代目グレートマザー」と言っていたが、個人的には「シンシアリーマザー」(sincerely、「心を込めて」に最も意味が近そうな単語)なんて愛称もいいんじゃないか… いや、やっぱり自分にはネーミングセンスがないようだ(笑)。本人が聞いたらそのセンスのなさに怒るかも知れない(笑)。
近年の女子戦は遠藤エミがビッグレース(昨年のLCCとQC)を連続優勝、先日のLA(3月6日~3月11日、びわこ)でもエースモーターを引き当てて予選トップ通過、まさに「絶対女王」への道をまっしぐらと思われていた矢先にまさかの準優勝戦F。前検の時点で「もし敗れるとしたら『出過ぎのF』だけ?」なんて言われていたそうだがその「もし」が現実になってしまって一気に大混戦に。それもLAと言うより「女子戦線そのもの」が。
遠藤は今回(女子戦&GⅡの準優勝戦)のフライングでF休み(5月28日~6月26日)に加えて休み明けから3ヶ月(6月27日~9月25日)は「GⅠ、GⅡ、女子戦への斡旋除外」のペナルティとなってしまった。このため今年のLC(7月31日~8月5日、桐生)は出場不可能(※4)、連覇がかかるQC(12月28日~31日、平和島)も出場(獲得賞金ベスト12)が黄色信号に(SGは今回のペナルティの対象外なのでそちらで挽回する事は可能ではある。ただしGCはF休み期間なのでアウト)。
同じレースでFをした大山千広も同様のペナルティによりLCは選出除外(期間にギリギリ引っかかってしまう。YD(9月19日~24日、浜名湖)はセーフ)、平高奈菜はまさかの「F3」でこのLAの後から「6ヶ月のF休み」になってしまう(それが終わった後にGⅠ、GⅡ、女子戦の斡旋除外期間が始まる。ちなみに来期は事故率オーバーでB2落ち)。
そんな状況下での平山智加(ちなみに先日のLAを優勝した中村桃佳の師匠である)の復帰。その勢力図がどう変わるか、現時点でそれがわかる者はいない(…はず)。
※1…ちなみに今年のLCは5月までのオールレディース(これを書いている時点で4月14日から行われる下関のオールレディースに斡旋されている)で優勝すれば優先出走で出場可能(優先出走以外の出場にはこちらも「選考期間内(前年6月1日~当年5月31日)に100走以上」が条件、3月復帰では絶対間に合わない)。そしてそこで優勝すれば年末のQCへの出場チャンスが出てくるかも知れない(ここでファイナリストになれば翌年のLAの優先出走権を得られる)。…あくまで「理論上は」の話(笑)。
ただしLC(とYD)は「選考期間内の事故率0.40以上(小数点第3位四捨五入なので計算上は0.395以上)」の選手は優先出走権があっても選出除外になる。3月下旬復帰だと選考期間内にそれほどレース数を走れないのでフライング1回(事故点20点)で事故率オーバーになってしまう可能性もある。またLAも選考期間内の事故率0.40以上(同上)の選手は「被選挙権」を失う。
※2…理由を問わず級別審査期間内(前期:5月1日~10月31日、後期:11月1日~翌年4月30日)で50走しないと自動的に来期はB2になる(平高奈菜はF休みが9月上旬まで→残りの審査期間内に50走はかなり厳しいので2019年前期は「出走回数不足でB2」が濃厚)。ちなみにLAは当日の級別(前年の前期級別審査期間で決まる1~6月の級別)がB2の選手には「被選挙権」がない。
※3…10月に出産、年末くらいからトレーニングを再開し、翌年4月の体重別選手権61kg以下級(バルセロナオリンピック選考会を兼ねる)で優勝、7月のバルセロナオリンピック同階級で銅メダル、…という流れだった(時期には多少の誤差があるかも知れません)。
※4…「YDもアウト」と書こうとしたが、遠藤は今年の2月で既に30歳(出場資格は開催年の9月1日時点で30歳未満)なので最初から出場資格がない。