疾如風徐如林侵掠如火不動如山
其疾如風 其徐如林 侵掠如火 不動如山 難知如陰 動如雷霆
(文献によっては「不動如山」と「難知如陰」の順番が逆になっている事もあるようだ)
疾如風…疾(と)き事風の如し
徐如林…徐(しず)かなる事林の如し
侵掠如火…侵掠(しんりゃく)する事火の如し
不動如山…動かざる事山の如し
難知如陰…知りがたき事陰(=闇)の如し
動如雷霆…動く事雷霆(らいてい、「霆」=激しい雷の事)の如し
つまり正確には(?)「風林火山陰雷」となるところであるが、「林」と「陰」、「火」と「雷霆」は意味が被るところが多いので旗印から省かれた、と言われる。
…しかし、「徐如林」は「何が有っても林のように整然としている事」、「難知如陰」は「こちらの姿(陣容や作戦)は闇に潜むように容易に相手に知れ(見え)てはいけない事」、という意味に解釈できるので「意味は被っていない」と思う。寧ろ「徐如林」と「不動如山(相手の奇策などには山のように動じず構える)」の方が意味が被っているように思うのだが…
…今回の話のメインは孫子の講釈ではなく(笑)、「難知如陰」について、つまり「作戦(本当の目的)は簡単に相手に知られてはいけない」、という話。
…と言ってもこの事はわざわざ孫子に学ばなくても自然に実践している人も多いと思う。つまり人は「自分の本当の目的は伏せて行動する」事をほぼ無意識にやっている、と思う。例えば…
・ボートレース場爆破未遂事件
今年の3月にボートレース丸亀(3月12日)、ボートレース鳴門(3月26日)で相次いで「レース場を爆破する」という予告電話があってその日のレースが打ち切り(翌日以降に順延)になる、という事件があった。
幸いにして爆発はなく、来場者や関係者にけが人は出なかったようだが、丸亀ではこの直後に行われたGⅠ「京極賞(開設65周年記念競走)」では「入り待ち」「出待ち」が中止、また初日の選手紹介の時に「直接選手にプレゼントを渡す事」も中止される事態にもなっている。
…ここで「犯人」の立場になって考えてみる。
…少なくとも自分だったら「絶対に予告なんてしない」。予告なんてしたら「どうぞ対策して下さい」と言うのと同義である。まして今回の2つの事件には
・四国のレース場
・予告があったのが日曜日
・オール女子戦(両方のレースに出場していた選手も結構いた)
という共通項が多くあり、また「ボートレース場」である事から予告電話をした犯人の「ボートで負けた腹いせ」である可能性が極めて高い(女子戦は人気がある=他の一般戦より売り上げが多い一方で極端に嫌う人も時折いる)。
…まるで癇癪を起こす子供のわがままみたいな話だが、こういった「ギャンブルで負けた客の腹いせ」というのは昔からある話で、公営ギャンブルだけでなくパチンコ(パチスロ)や市井の雀荘でも聞く話である(※1)。…かと言って端からそうだと決めつけて本当に爆破があったら洒落にならない(刑事ドラマのワンシーンではないが一種の「デモンストレーション」としての爆破はあるかも知れない)ので、これらの日の「レース打ち切り(後日順延)」は致し方ないと言える。なお、この事件の犯人はまだ逮捕されていない模様。
8月4日~8月6日の日程でbeatmaniaIIDXの最新作「CANNON BALLERS」のロケテストが川崎のゲーセンで行われたのだが、5日未明に「来訪者の安全を害する事を示唆する旨がWEB上の書き込みにて確認」された、という事でロケテストが中止される、という騒ぎがあった。ちなみに自分の知る限り音ゲーのロケテストがこういう理由で中止になるのは史上初めて。
「来訪者の安全を害する・・・」とあるが、実際のところは「特定の個人に対する殺害予告」であったそうである。
この事件の経緯を推測すると
・ロケテスト開催場所が1箇所だけ、期間が3日間(以前は複数の場所で1週間くらい行われていたものである)
・開催の発表が直前である(以前は1週間くらい前には告知されていた)
・…そういった事情からロケテストの「待ち時間」がとんでもない事になった。自分も「様子見」で現地に行ったが「待ち時間12時間くらい(!)」であった(ちなみに「行列」ではなく「整理券配布」)
・その結果「行ったはいいがプレイできなかった」という人が多かったと思われる
・そういう人の一人が「腹いせ」として今回の事件を画策した
…というのが考えられる図式である。これも前述のボートレース場爆破未遂事件のように「特定の個人の殺害が真の目的」だったらわざわざ殺害予告を出すメリットがない(そもそもその人がロケテストに来るという保証すらないと言うのに)。つまり「その人」をダシとしたロケテストの妨害が主目的であった、と思われる(…と言うより自分にはこれ以外の理由が思い浮かばない)。あるいは今回のロケテストが中止になった原因は「その人」のせいである、と世間に思わせるつもりだったのかも知れない。
…そう考えるとダシにされた人にしてみればこの上なく「いい迷惑」な話だが、未遂とは言え「命を狙われる」のはちょっと尋常ではない。そこでいろいろ調べてその人のサイト(があった)を見てみた。
…
「こりゃ命を狙われても不思議ではないかも」
と思った。つまり発言が度々人の反感を買うような内容になっている。主に「上から目線」「自分の能力の自慢」。
…もっともそういう人はネット上にはいくらでもいる(自分も偉そうな事を言えた口ではない…)が、大抵の事は聞き流せる温厚な自分(…自分で言うな)が読んでいて負の感情を抱いた箇所が結構あったので(「人を怒らせるツボ」でも心得ているのかな…?)、気の短い人だったらどうなる事だろう。もしこのサイトに掲示板・ツイッター・Facebookなどがあったら(ないらしい)どれだけ荒れていた事か…(もしかしたら「以前はあったけどそういった理由で閉鎖した」のかも知れないが)
情報収集(?)したところ、今回狙われた人は「音ゲー界隈では結構有名人」らしく、それが故に(本人も気づかぬうちに)「図に乗った発言」をするようになった→殺したいくらいに嫌う人が出てきた、という事かも知れないが、だからと言ってそれが「命を狙ってもいい理由」には断じてなりえない。そもそもそんなに腹が立つのなら「見なけりゃいい」だけの話であるから。
…ただ、そうやって「殺したい」と思うのは見方を変えると「まだ若い証拠」と言えなくもない。自分もかつては嫌いなタレント等を「殺したい」と思う事もあったが(…さすがに実名は書けません)、年を取って「達観」したのか(笑)今では「(他人に危害・迷惑を加えない限りは)勝手にやってろ」という境地に達したものである。
…実際は「何にでも反応していたら時間がいくらあっても足りない」という事に気づいただけだろうけど(笑)。
…話が思いっきりそれてしまった(笑)。ともあれロケテストは6日も含めて中止となってしまった(再テストの予定はないらしい)。自分ははじめから「様子見」のつもりだったし、交通費も青春18きっぷ(それも「予定が決まらず浮いていた」1回分)なのでダメージはほとんどなかったが、遠方から参加した人にしてみればとんでもない災難である。
ちなみにこの事件の顛末は…どうなったのでしょう?(個人的にはどうでもいい話だけど…)
・DPRKの委員長に対する「斬首作戦」
「DPRK」は造語ではなく「国際的な公称(Democratic People’s Republic of Korea.の略称)」である。…書く(キーボード入力する)時はこっちの表記の方がはるかに楽である(笑)。
ニュースで度々見かける「斬首作戦」という四字熟語(?)。つまり「標的」を暗殺あるいは拘束する事で国自体の機能を失わせようという作戦だが、公でこの単語を沢山使っていると当の標的に警戒されるだけではないか、と考える人は沢山いると思う(もっとも公言しなくても当の標的は「一発撃った時点で」自分が暗殺される可能性を悟っているだろうけど)。
別に今回に限った事ではないが、今回の事態を解決する方法は相手に対策を立てられないように「誰にも知られることなくヒッソリと計画が進行している」べきではないか、と思う。つまり「難知如陰」である。…この話の場合どちらかと言うと「敵を欺くにはまず味方から」かも知れないが(笑)。
…「誰にも知られてはいけない」のだから、実際に何らかの作戦の検討が進んでいたとしても傍目には「何も手を打たずに手をこまねいている」よう見えてしまう(…と言うよりそうとしか見えない)。つまり検討期間中は「無能」だの「ごくつぶし」だのという批判を受けまくる事になる。しかしある日突然作戦が発動し一定の戦果を上げる事が出来たらその態度(評価)は一変する。…人と言うのは実に勝手な生き物である(笑)。
それに立案中の作戦が事前に知られるのは「敵に対策を講じられる」以上に「味方からの批判や妨害を受ける」可能性がある。例として適当かどうかは微妙だが、
「禁煙」や「禁酒」を宣言すると必ずと言っていいほど「お前には無理だ」と批判する人、あるいは意図的に妨害する(目の前で嫌味のように喫煙したり飲酒したりする、あるいは誘う)人っていませんか?
…これと同じ事である。完全に無視すればいい事ではあるが、なかなかそうもいかないのでやはり「雑音」はあるよりない方がいいに決まっている。自分もこの手の「雑音」がデメリットにしかならないと理解しているので、いつの頃からか重要な計画は人に(それこそ家族にも)話さないようになった。以前書いた「目標はむやみに人に話してはならない」というのもこういう理由からである。
このように「難知如陰」は日常生活の様々な場所で役立つ教訓(?)だと思うが、惜しむらくは(?)この「難知如陰」は使えないジャンルが少なくない、という事か。例えば将棋とか囲碁は「全ての情報が盤上に見えている」ので、「理論上は」こちらの作戦を隠すことができないのである。藤井システムのように一人でコッソリと(?)研究を重ねてきた奇想天外な作戦、というのもあるが、こういうのは例外中の例外と言えるだろう。
あと、「難知如陰」とは少し違うが、時折軍事評論家っぽい人が米軍が行いそうな「攻撃方法」(使用する兵器など)を予想して詳しく解説している事があるが、そういう事を公の場で話すのは「敵」にその作戦を知られる(実際にその作戦を実行しよう、となった時に既に対策を立てられている)可能性があるので
「そういう事を公の場で言うのはやめといたほうがいいんじゃないの?」
と思うのだが…