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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

母娘対決

8月20日放送の「おはよう日本」で艇界(ボートレース界)初となる大山博美(ひろみ)・千広(ちひろ)親子による「母娘直接対決」が特集されていた。
艇界での親子レーサーというのはそれほど珍しい例ではない(8月20日現在、「両方現役」という条件でも10組の親子レーサーがいる)が、「母」と「娘」というパターンは史上初らしい。娘の千広のほうは今年の5月にデビューしたばかりで、デビューからわずか3ヶ月で夢の(?)対戦が実現した事になる。
…が、艇界における親子対決というのは両方現役だからと言ってそうそう実現するものではない。それぞれのレースに出場する選手は一部を除いて「日本モーターボート競走会あっせん課」による「斡旋」で決まる(「例外」にあたるのはSGのような「選考順位」で出場選手が決まるレース)。そしてその斡旋に関して様々なルールがあり(以下「BoatBoy2015年5月号より引用)、

姻戚関係のある選手は基本的に同じ斡旋にしないただし施行者からの希望があり、これを競走会が「支障なし」と判断した場合はその限りではない
・同姓の選手は2名×3組まで(つまり同一レースに3人以上の「佐藤さん」が出場、なんて事はできない)
・同支部で同姓の選手は(姻戚関係になくても)同一レースに斡旋しない
・同姓同名の選手(「山下和彦」選手が2人いる)は同一レースに斡旋しない

…などがある。要は親子だけでなく「兄弟」や「夫婦」も基本は(施行者からの強い希望がない限りは)同じレースに斡旋されないまた斡旋されたとしても対戦カードを決めるのは各施行者(の番組編成委員)なので、意図的に親子(や兄弟・夫婦)対決を組むことも組まない事も可能である。実際過去に親子・兄弟・夫婦が同一レースに斡旋された例は多々あるが(主に地元GⅠとかタイトルで…※1)、両者が準優勝戦や優勝戦まで勝ち上がってきた場合はともかく(準優勝戦は予選の順位で対戦カード・枠番が自動的に決まるので)、予選や一般戦(※2)では姻戚関係者同士の「対決」は避けるケースのほうが多い(ように思われる)。見るほうは面白いかも知れないが、実際に戦うほうとしては(インタビューなどで「特に気にしていない」と言ってはいても)やっぱり「やりにくい」ところはあると思うただ過去には選手のほうから「親子対決を組んでくれ」と番組編成に掛け合った、なんて事もあったとか

かくして8月17日、福岡3R(一般戦)で艇界初となる「母娘対決」が行われた(レースに関しては31日くらいまでは公式HPの「ライブ中継」で見られる)。結果は母・博美が2着、娘・千広が6着。中継を見ると千広が滅茶苦茶スタートで出遅れているが、どうやら「プロペラが浮遊物を巻き込んでしまった」らしい(リプレイを見るとスリット前30mくらいで急に失速している)。通常は競走水面上に浮遊物があった場合は安全確保の為にピットアウト前に除去するのだが、よりによってせっかくの記念?のレースの時に…

そう言えば将棋界でも最近「母娘棋士」が誕生している。高群佐知子女流三段(母)と塚田恵梨花女流2級(娘)。プロ(女流2級)になったのは2014年10月、本当に「最近」である。しかもその父親(であり師匠)は塚田泰明九段と、まさに将棋界のサラブレッドである。
こちらはまだ(公式戦での)母娘対決は実現しておらず、艇界に先を越されて(?)しまった無理矢理(?)母娘対決を実現させるのなら予選2回戦で当たるように(※3)トーナメントを作ってしまう
(そして「抽選に作為はない」とすっとぼける)、なんて手もありそうだが…(笑)


※1…「タイトル」…各レース場で「年末年始」「GW」「お盆」に開催されるレース。グレードは一般でも他の一般競走より優勝賞金が少し高い(通常70~90万→タイトル100万)。
時に例外もあるが基本的に地元支部選手のみの斡旋になるので「オール○○」と呼ばれることも多い(例えば住之江のタイトルだったら「オール大阪」)。

※2…「一般戦」…準優勝戦・優勝戦(場合によっては準優進出戦≒準々決勝)が行われる日の前半に行われるレース。GⅡ以上では準優勝戦に進めなかった選手が出場するので「敗者戦」とか「負け戦」なんて呼ばれることもある。

※3…一次予選の1回戦で師弟・同門・肉親の対戦は組まない、という組み合わせ抽選のルールがあった…はず。今期朝日杯の森下卓九段-増田康宏四段の師弟戦は「増田四段は1回戦ではない(金内アマに勝っている)」ので問題ない、という事なのだろう。