DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

脱線前提の(笑)将棋の話

…「脱線前提」としておくと心置きなく話を脱線させられる、かも知れない(笑)。

「第3回将棋文化検定」の会場が当初より増えている。当初発表されていた東京・名古屋・大阪・福岡に「札幌」と広島が加わっている。
…ついにと言うかようやくと言うか、北海道で将棋文化検定を受けられるようになったのは同じ道民としてとても喜ばしい事と思う。
各クラスとも12分野から計60問(第1回はクラスによって出題数・満点が違った)、問題は三択問題(Aクラスのみ一部に四択や筆記問題がある)、連盟HPで各クラスの「出題傾向」と「模擬試験」が掲載されている。
…Aクラスの「模試」を見ると過去2回よりも難しい(マニアな)ような気がした(※1)。問題を読んで自分がパッと答えが出てきた問題記憶をたどれば答えが出てきそうな問題(例えば「タイトル10期以上の棋士数」とか)もあったが、半分くらいは「わからない(運任せ)。…どうせ今年は受検できないからどうでもいいけど(笑)。

それにしても昔から北海道は内地の人間から「軽視されている」「馬鹿にされている」ように感じるのは自分だけではないと思う。「全国ツアー」とか銘打っておいて北海道には来ない、なんて事はざらにあるし、書籍(主に月刊誌)は内地の2日遅れ(週末や祝日が絡むともっと遅れる)の発売自分は内地で働いている期間がそこそこ長いが、行く先々で北海道に対する意味不明な偏見を持っている人に出会う時には「後ろから鉄パイプでぶん殴ってやりたい」と思うくらい北海道&道民に対し無礼な事を言う奴がいたりする。今の時期にピッタリな(?)話だと、「全国高校野球選手権(要は『甲子園』」の組み合わせ抽選で初戦が北海道代表(南北問わず)と当たった時点で
「よしっ、2回戦進出決定!」
なんて事を言うチーム(または地元)の関係者。…今でもいるのかはよくわからないが、一昔前(駒大苫小牧が優勝するまで)は本当にそういう輩をよく見かけたものである(地元局のアナウンサーでそんな事を言っていた奴もいたような…)。
他には自分が直接言われた話ではないが、バラエティ番組のロケが行われることもある有名なカートコースで全日本選手権」が行われた時(その名称から日本最高峰のレースである事は想像できると思う)、そのコースのオーナーが地元のチームの人に
「北海道の○○(チーム名)? どうせ来ないって」
その「北海道の○○」がすぐ後ろに来ている事に気付かず言い放ったそうである(「地元のチームの人」に言われて振り向いたそのオーナーは「北海道の○○」の姿を見て真っ青になったとか)。
「北海道は日本ではない」とでも思っているのだろうか…

先月19日に放映された「日本の話芸」は桂ざこば師匠演じる「笠碁」だった。その「枕(前置き)」で電王戦について少し触れている(※2)。

・・・(前略)将棋でも碁でも盤の上へパッと手を置いて「負けました」ってこう一言言うのん辛いでしょうね。辛いけど負けたんやからしゃあない。何とも言えん。「負けました」。
勝ったほうは「勝ちました」そんなん言えへんね。…ってこう頭下げてええもんです。
これ人間対人間やから。今ロボット、コンピューターでやってるん。今年3勝2敗ですわ、将棋の部は。ええ。
コンピューターはいけまへんわ、ええ。負けたって「負けました」言えへんもん。あれはいかんわ。やっぱりロボットでもこんなアームみたいなやつでこうやってビャ~って打ってきよんねん、あんなあかん。
やっぱりコンピューターも負けだすと何か震えがきてねガリガリッ ガリガリッ ガリガリッ言うて、この辺から煙がパ~っと出てきてね。ええ最後ドバ~ンと倒れるとかなんとかならないかんのやないか思いますが。

…「最後ドバ~ンと倒れる」という発想はなかった(笑)。いかにも「芸人らしい」発想だと思う。実際にそんな事(震えたり煙を吹いたり倒れたり)が起きたらそれこそ「コント」の世界になってしまいそうだが、これはこれで「見てみたい」と思う。詰まされた時に「You Win!」と言いながらドバ~ンと倒れる電王手さん、なんて(笑)。
今の技術だったら電王手さんに「しゃべらせる」事は容易だろうセリフも「お願いします」「負けました」「ありがとうございました」くらいしかいらないし。
だけど、ざこば師匠の「コンピューターはいけまへんわ」と言うのは単に「負けました」言えへんから、だけではないように思う。現役のプロ棋士がどう感じているかは人それぞれだと思うが、もし自分がプロ棋士だったら(COMに負かされるのは仕方ない?としても)「アームみたいなやつ」に向かって「負けました」と頭を下げるなんて人生最大の屈辱(それくらいならまだ「チャラ男(※3)」に向かって頭を下げるほうがマシだ)、なんて思うかも。
ざこば師匠も似たように感じたのかも知れない。そこでせめてCOMも「見た目だけでも悔しさを表現させる」方法として「最後ドバ~ンと倒れる」事を提案されたのかも知れない。
今度の電王戦で是非実現してもらいたい、なんて思うのは自分だけではないと思う。「最後ドバ~ンと倒れる」姿を見て溜飲を下げる人はいそうなので(笑)。

8月7日、朝日杯将棋オープン戦森下卓九段と増田康宏四段の「師弟対決」。
携帯中継の(27手目)コメントから引用。

1週間ほど前、東京・将棋会館の中継室に姿を見せた森下は本局について、
「何か(抽選に)作為があるんじゃないかと。増田はアマチュアの方に勝ってですが、私はこれが1回戦ですよ。叡王戦もいきなり森内先生(森内俊之九段)でしたしね(※4)」、
・・・と冗談交じりに話して場を和ませていた。

…確かにデビュー1年未満、四段昇段後25局目で師弟戦なんてのは異様かも知れない。
抽選の作為なんてないとは思うが、極端な事を言うとこういう話(作為の有無)は最終的に水掛け論になってしまう可能性がある。主催者が「抽選に作為はない」と公の場でコメントしたとしても、例えばマイナビ女子オープンのような「公開抽選」にでもしない限りそれを証明できないので。
その最たる例(?)はネット麻雀かも知れない。自分はネット麻雀をやらないので詳しい事はよく分からないが、
「課金プレイヤーが有利になるように『牌操作』が行われている
なんて噂や主張──負けた言い訳にしか聞こえないけど──が絶える事はないと言う。サイトのほうでは「そのような事実(牌操作)は一切ありません」(中には牌山を生成するプログラムの存在を添えて)書かれているようだが、それとて「一般の人の目には見えない」のでその言葉を完全に鵜呑みにはできない(ましてや「プログラムを公開」されても一般の人には到底理解できない=『ユーザーの目を欺く為のダミーでは?』と思う人もいるだろう)。

閑話休題。先ほどの引用で「・・・」とした部分、話が大きく変わるので先ほどは省いたが、そこにあった文(森下九段のコメント)は

「『恩返し』とは書かないでくださいね。内藤先生(内藤國雄九段)は師匠が負けた相手に勝つことが恩返し青野先生(青野照市九段)は師匠の到達できなかったところまでいくのが恩返しだとおっしゃっています。私もこの二つが本当の恩返しだと思っていますので

…くどいようだが繰り返す。
師匠が負けた相手に勝つことが恩返し、
師匠の到達できなかったところまでいくのが恩返し。

…世話になった師匠(や兄弟子)に公式戦で勝つことが恩返し、と考えている人に森下九段について語る資格はない、というのはさすがに過言でしょうね(笑)。
それはともかく、この言葉から考えられる増田四段の最高の恩返しは
羽生善治○○を破って○○のタイトルを奪取する事」
となるのだろうか。年末に聞けたら聞いてみたいところである。

将棋は森下九段の先手で横歩取り。だが、17手目(定跡形なら▲3六飛と引くところ)で▲9六歩とほぼ前例のない形への変化。以下△5二玉▲7七桂△7六飛▲8四飛…と完全な力戦模様。増田四段が最近は横歩取りを多用している(当然研究もしているだろう)事を承知の上での力戦志向だと思う。
32手目の局面なんかは「…え? 相振り飛車?」と思ってしまいそうな局面である。
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以下先手から角交換を挑み、後手がそれを逆用して角金交換から7筋方面で動く。途中は(中継室の評価が)後手持ちだった局面だが、後手の攻めを丁寧に受け、そして79手目▲2五角が攻防の一着となって形勢が入れ替わったようだ。
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…それにしてもこの局面の先手玉は素人目には2枚の桂+飛車の睨みでいかにも危なっかしい感じだが、▲2五角で余せる(本譜は△5四飛、縦に逃げるのは▲4四桂)という森下九段の読みが的確だった。
対局は101手で師匠の森下九段が師弟対決を制した。師匠としての貫禄もあるだろうが、それ以上に「力勝負ではまだまだ若い者には負けん」ところを示したと言ったところだろうか?
この対局は将来出版されるであろう「森下卓名局集」に掲載されるに違いない(…前にも似たような事を書いたような)。
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※1…しかし自分の中で「一番インパクトがある問題」は第1回の4級に出てきた
棒銀戦法を英語で何と言う?」(選択肢は①クライミング・シルバー ②ストレート・シルバー ③ポール・シルバー)
だと思う。
「スティック・シルバー」でええやん!(笑)

※2…今年の3月にざこばの師匠である桂米朝が亡くなった、というところから始まり、内弟子時分に米朝と将棋を指した事、米朝の孫弟子にあたる桂九雀と指して負けそうになった時に「寝る!」とだけ言って立ち去った(「やっぱり悔しいもんがあるんでしょうね」)、いうところからこの話に(都合によりここだけ敬称略としました)。

※3…「相棒Eleven」で人間vsCOMを題材にした話で、COMの指し手の代理人が「サングラスをかけたチャラ男」だった(…という話は以前も書いた)。

※4…この時には触れていない(まだ決まっていなかったのかも知れない)が、これから始まる第57期王位戦の森下九段の初戦の相手は島朗九段(しかも同ブロックの反対側に増田四段の名前が)。
「…本当に抽選に作為はないの?」なんて気持ちになる(笑)。