DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

ボウリングの漫画

 普段ドラマは見なくても、将棋をテーマにした回があるとつい興味を引いて見てしまうのだが、どうにも歯痒い思いをするのは記者だけだろうか。
 一番違和感があるのは、俳優が棋士を演じて将棋を指すシーンで、どんなに名優が事前に練習しても、駒を持つ手が素人丸出しで痛々しい。普段から棋士の美しい所作を見ているだけに強く感じてしまうが、共感していただける週将読者も多いのではなかろうか。演技は本職に敵わなくとも、いっそ棋士が演じたほうがリアル感があって良いと思う。
 また棋具なども駒台が逆に置かれていたり、駒が盛り上げではなく市販品だったり、盤上の局面もプロではまず現れないだろう怪しい形だったりと、突っ込みどころが満載。
 大多数の視聴者が将棋を知らないだけに仕方ないが、将棋の世界が間違ったイメージで浸透していないか、余計な心配をしてしまう今日この頃。(康史)

週刊将棋7月22号(勿論今年の)の「茶柱」の記事(9ページ)をそのまま引用した。
大丈夫です、そのような心配(歯痒い思い)をしているのは康史記者だけではありませんから(笑)。
「自分が好きな世界が間違ったイメージで浸透する」事を危惧するというのはそれこそ「自分の好きなものがけなされるとキレる」人がいるの同じ(でよくある話)である。

今回はこれと関係があるようなないような話を。
先日探し物のために書店を巡っていた時の事、とある書店で平積みにされていた本が自分の目に留まった。
イメージ 1

※本をそのままスキャナーで取り込んだため、微妙な汚れや曲がりがあるのは御勘弁を。ちなみに絵のピクセルが荒く見えるのは自分のスキャナーのせいではなく(笑)、元からそういうタッチで描かれているから(嘘だと思った方は実際にこの本を手にとって見て下さい。肉眼でも「ドット」がハッキリ見えます)。

一目見て「ボウリングを題材にした漫画」であることがわかる。先ほどの話ではないが、ボウリングが身近にある自分だからこそつい目に留まってしまう(笑)。
これを見た第一感は

「ボウリングを題材にした漫画って珍しいよなぁ」

…後で調べてみたが実際ボウリングを題材にした漫画はそれほど多くない。しかも4コマ漫画なんて更に希少(?)である。気にはなったが、これが欲しくて書店巡りをしていたわけではない(そもそもその時にはじめてこの漫画の存在を知った)のでそのまま歩き出す…のだが、気になって気になって仕方なかったのであろう、気がつくとこの本を手にとってお会計をしている自分がいた(笑)。
自分は新しい本を買うと「最初に表紙カバーを外してその中を見る」という妙な癖がある(笑)。最近は表紙カバーの内側(つまり「本体の」表紙・裏表紙)に趣向を凝らしているものが(主に漫画に)多いせいか、気がつくとそういう習慣?がついてしまっている。ちなみにそういう趣向がまずありえない本、例えば将棋関連の本でも自分はまず最初に表紙カバーを外す。そしてやっぱり(?)何もない事を確認してガッカリしている(笑)。ちなみにこの「ボウリングッド!!(1巻)」の表紙裏には登場人物の初期稿が(最近は第1巻のここに登場人物の設定なんかが書かれる事が頓に多い気がする)。
物語は高校に進学したボウリング大好き少女(の割にはハイスコア100も行かない上に「ルールもほとんど理解していない」のだがそこは置いておきましょう「中山直(なかやま なお)が1つ年上の幼馴染である「須田琴音(すだ ことね)を巻き込んで(という表現がピッタリである)学校にボウリング部を作ろう、というところから始まる。…ボウリング漫画でこの苗字はそれこそ「間違いなくセブンテンが残るようなど直球」だと思うが、まぁそれはそれって事で(笑)。

冒頭の話ではないが、こういう漫画(に限らず)を見ると

「その業界に対する間違ったイメージを浸透させるような内容になっていないか?」

という心配をしてしまうのは最早どうにもできない「性癖」のようなものである(※1)。ぶっちゃけ書いてしまうと一部スコアの付け方がおかしかったり(10フレームでスペアもストライクも取っていないのに3投目を投げている)、直のキャラ設定があまりに非現実的──何故かスプリットのカバーは大得意、それこそセブンテンを「いとも簡単に」カバーしてしまう(※2)──などといった突っ込みどころはいくつかあるけど、一方で「4歩助走」「振り子スイング」「スパットボウリング」といった「ボウリングの基本中の基本」とも言うべき事に触れている時点作者に「ボウリングの基礎知識がある(思いつきで描いているわけではない)」事がわかるし、「靴裏パーツをカスタマイズできるマイシューズ」や「スカッチダブルス(※3)」などを扱っているところなどは「かなりの知識がある」事が窺える。それどころか後に部員になる「名和静香(なわ しずか)「普段は左利きだけどボウリングは右投げ」という設定は「狙ってやった」としか思えないマニアックな設定である(※4)。それに「ボクと同じ”ボウリング大好きで臭”がする(直)」「直とはまたベクトルの違うボウリングバカ(静香)」の「姫路鈴(ひめじ すず)を加えてボウリング部が始動する。
どちらかと言うと(?)この作品はボウリングを「スポーツ」よりも「レジャー」として捉えている感じである(今後どう展開していくかはわからないが)。ただレジャーだからと言って「マナー」を疎かにしているわけではなく、(ボウリング場でアルバイトをしている)が「ファウル」や「ロフトボール」に対してイラつくシーンが描かれているのは「グッド!!」だと思う(笑)。最近は「演出が派手なばかりでよく見るとダウトだらけ」な作品が多い(気がする)中、こういった「土台(その業界における基本)がしっかりしている作品」は安心して読めると思う。自分はあまり人に物を薦めるタイプではないが、これはオススメしたくなる本の一つである。…ボクっ娘(先ほどもチラッと書いたが、直は自分のことを「ボク」と言う)」に拒絶反応を持っている人以外には(笑)。

この1巻のあとがきには

読み終えた後に、
『久し振りにボウリングやりたくなったなぁ』
なんて思って下されば嬉しいです。

とある。…そう言えば最近自分はボウリングをしていない!(笑) 本当は投げに行きたいんだけど、ここ2ヶ月くらいいろいろと立て込んでいてボウリングに行けていない。ようやく少し落ち着いたかな、と思いきや世間が夏休みに突入=平日でも混むシーズンになってしまった。つらいわぁ…


※1…ちなみに自分がそういう考え方を抱くようになったきっかけはハッキリしている。マリオカート」シリーズの存在である。それについての話は…しだすとややこしくなるのでしません(笑)。

※2…「セブンテン」とは両端の7・10番ピンの2本だけ残ってしまうスプリット。これをカバーするには
「思いっきり速い球を投げてどちらかのピンを飛ばし、そのピンがキックバック(レーン横や後方の壁)で跳ね返って来てもう片方のピンを倒す」
という方法しかない。それこそ「プロでも基本的には『取れない』」と言われるスプリットで、プロ公式戦でこれをカバーすると「7-10スプリットメイド公認第○号」という記録が残る(くらい珍しい出来事である)。ちなみに「公認パーフェクト(300点)」と比較すると、パーフェクトの回数が『1303/244(男子/女子)に対し、7-10スプリットメイドは『119/15』(2015年7月25日現在)。…いかにセブンテン攻略が難しい(を通り越している)かがわかる数字である。

※3…通常のダブルス戦は1フレームごとに投球者を交代する(つまり奇数フレームを投球者A、偶数フレームを投球者Bが受け持つ)が、スカッチダブルスは「1球ごとに投球者を交代する」。つまり1投目を投球者Aが投げ、2投目を投球者Bが投げる。Aがストライクを出したら次フレームからはBが1投目、Aが2投目を投げる(以下同様にストライクが出るごとに投球順を交代する)。

※4…彼女の苗字のモデル(と思われる)「名和秋(なわ あき)」プロが「普段は左利きだけどボウリングは右投げ」である(そういう人はプロアマ問わずたまにいる)。ちなみにプロボウラーは「利き腕(投球する手)」を登録するので、その日の気分で投げる手を変える、なんて事はできない(それ以前にボールもシューズもハウスものでない限り「右投げ用」「左投げ用」を兼用することはできないのだが)。