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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

将棋界ニュース

ここ1週間くらい将棋界に関するニュースが多かったような気がする。とりあえず順不同で確認&私見を述べてみる。

・「将棋文化検定」の休止
2012年からスタートした「将棋文化検定」。(以前も書いたが)自分は第1回を受検して4級に合格した。昨年は受検できず、今年(こそ)はAコース(1・2級)を目指すぞ、と思っていた矢先の休止
「まさかたった2回で自然消滅?」
なんて思ったが、連盟の発表では
・今年(平成26年度)は12月に外国人将棋ファンを対象とした『国際将棋検定』を行う
第3回将棋文化検定は来年(平成27年度)に実施予定
とあるので、どうやら「自然消滅」ではないようである。
…とりあえず受検会場はもっと増やすべき、特に過去2回無かった「北海道」は絶対に必要だと思う。自分はたまたまこっちにいたから受検できたが、そうでなかったら(地元にいたら)暴れていたかも知れない(笑)。

里見香奈女流二冠の休場の延長
不思議な事に(?)このニュースはYahoo!JAPANのトップページにも載っていた
今年4月から(9月末まで)体調不良で女流棋戦・奨励会三段リーグの両方を休場している里見女流二冠の休場延長が発表される。
それに伴ういくつかの棋戦の休場(もしくは不戦敗)も発表されたが、その中に「第4期リコー杯女流王座戦五番勝負」が含まれているこれについては「女流王座を返上」として本戦トーナメントを勝ち上がった加藤桃子女王と西山朋佳奨励会初段による五番勝負の勝者が第4期の女流王座となる事となった。
…「タイトルの返上」は男女通じても将棋界初の事態である(と週刊将棋の記事にはあった)。だから将棋と縁遠そうなYahoo!までが取り扱ったのかも知れない。三段リーグの年齢制限は待ってくれない焦らずに回復に努めてほしい、くらいしか言葉が思いつかない。

・第4回電王戦=「将棋電王戦FINAL」
…やはり世間の耳目はここに集中するんでしょうね。
第2回、第3回のような「5vs5の団体戦」形式は来年で終了となる。基本的なルール(出場ソフトの選出方法、持ち時間、ソフトの事前貸与など)は第3回と同じようである。
自分は記者会見を見ていないのだが、「タイトルホルダーは出場しない(※1)」という発表に対する批判が画面の右から左に流れまくるシーンが容易に想像できる(笑)。

…とりあえず「あと1回は」やるわけだが、自分はその「あと1回」も別にやる必要はないのでは? と思う。
この電王戦によって将棋界では「生態系の破壊」とでも言うべき状態が起きつつある「生態系の破壊」を一応簡単に説明すると人間の行為によって既存の生態系が壊される事。よくある話としては
①宅地開発などによって自然環境が破壊されて既存の生物が住めなくなる
②人間が無造作に捨てたペット(特に外来種)によって既存の生物(生態系)が食い荒らされる
があるが、これらに共通する事として「一部の人間のエゴで」「意図的(生態系の破壊を目的とした行為)ではない」というのがある。
電王戦で次々とプロ棋士が敗れている状態はまさにこれと同じで、「一部の人間(開発者)のエゴ(というか興味というか)によって、またその「一部の人間」には「今の将棋界(日本将棋連盟)を潰そう」といった確固たる意志があったわけでもないのだが、結果として電王戦のせいで将棋界が揺らいでいる(?)のである。これを「生態系の破壊」と言わずして何と言うのか
無論「FINAL」でプロが全勝でもすれば「生態系の破壊」は(ある程度は)食い止められそうだが、昨今のCOMを見るにそれは(不可能ではないにせよ)かなり難しい話であることは否定できない。それを考えると今度の「電王戦FINAL」も下手をすれば「火に油」になる可能性もあるし、
「2007年(渡辺竜王・当時vsBonanza)の時点で終わりにすべきだった」
という意見(プロ棋士にはそう考えている人が多いそうである)ももっともだと思う。しかし今後は後述する電王戦タッグマッチなどによって新たな共存共栄の道(それが将棋界にとって正しい道であるかはともかく)が開かれそうなので、これも世襲制名人の廃止→実力制名人の制定、などのような将棋界の一大革命だと前向きに考えるべきなのかも知れない。個人的にはそこに至るまでに相当遠回りをした&血を流しすぎたような気もするのだが…

・「電王戦タッグマッチ」の本格開催
昨年開催した同イベントが殊の外(?)好評だった、という事で2016年からはこれまでの団体戦に替えてこちらがメインイベント(?)となる。
公式戦の扱いではないが(人vs人と同列に扱えるわけが無い)、竜王戦名人戦に次ぐ賞金総額の棋戦という位置づけになるようである(※2)。具体的な話(出場棋士、持ち時間、その他諸々)はまだ未定だが、そのプレマッチとして『電王戦タッグマッチ2014』が開催される事が決定している。
出場棋士は第2回・第3回電王戦出場棋士(全員ではない)と加藤一二三九段・高橋道雄九段・久保利明九段・西尾明六段・中村太地六段、使用ソフトは第3回電王戦に登場した5ソフト。
久保九段(たぶんA級棋士という理由)と佐藤慎一四段(前回タッグマッチの優勝者)がシード、残り10名をAブロック(9月20日)・Bブロック(9月23日)に振り分けてそれぞれの勝者とシード2名の4名で10月12日のFinal Roundが争われる。

前回のタッグマッチに関しては本番(第2回電王戦)同様ほとんど興味が無かったので、どういう対局(棋譜)になるのかよくわかっていない。今回に関しても森下九段が出場するから興味がわいた、と言っても過言ではない(笑)。しかし今後はこのスタイルが新しいスタンダード(の一つ)になる(かも知れない)、となるとあまり無関心でもいられない。
とは言え観戦方法は現地観戦(抽選)かニコ生、携帯中継はあっても一部(ブロック決勝とFinalくらい)だろうから結局は「結果が分かればいいや」と参加(観戦)には消極的になりそうである(笑)。
ちなみにチェスの世界では「アドバンスド・チェス(Advanced Chess)」という人間とCOMのタッグマッチ形式の対局(大会)が将棋よりも前に行われている(※3)ので、皮肉な言い方をすれば「ようやく将棋(の歴史)がチェスに追いついた」なんて事にもなるのかも知れないし、将棋とチェス(の文化・歴史など)を同列に扱うな、という意見もあるかも知れないし。
これが将棋界にとって正しい道なのかは自分ごときにはわからないしその道の先がどうなっているかも想像できない。

スマホゲーム「モリシタ集め」
「…何やねん、それ」(笑)

動くゲージに合わせタイミングよくボタンを押して、より多くの「モリシタ」(森下九段)を集めていきます。
まれに、加藤一二三九段や電王手くんなどをレアキャラとして獲得できます(連盟HPより抜粋)。

全然意味(というか意義)が理解できない。それ以前に多くの人が「何故森下九段なの?」と疑問に思うかも知れない。業界には「持駒の歩が5枚=『1モリシタ』」という単位(?)がある、という話(と理由)はここでも書いたが、そこから「何かをたくさん集める」というイメージにマッチしているのが森下卓九段、という発想だと思われる。…どちらにせよ業界の事を知らないと理解できないネタである。
自分はスマホ持ちではないのでこのゲームはできないし、いくら森下九段のファンだからといってこのゲームの為だけにスマホに切り替えるのもハッキリ言って馬鹿馬鹿しい会合に行ったら「持っている」「やったことがある」という人に会えるかも知れないので、その時にでも感想を聞けたらいいかな、と思う。

個人的にはプロ棋士をこういう事に使った(使おうとした)ドワンゴに好意的ではいられないのだが、それ以上に森下九段がこういうゲーム(のキャラに使われる事)に許可を出した事がとても信じ難い話ある(笑)。森下九段はこういう「いじられキャラ(?)」からは程遠いイメージしかないので…

他にも会見では「年末に向けていろいろな企画を用意している」とあるが、その中に「電王戦森下ルール(仮)でツツカナにリベンジマッチ」なんてのがあったら住之江(※4)に行っている場合ではない、と思った(笑)。既に交通手段・ホテルを確保しているというのに…

・その肝心の森下九段は…
8月27日の順位戦B2、阿部隆八段戦は横歩取りの将棋。夕食休憩直後のやり取りから次第に先手の駒損が大きくなり、最後は攻防共に見込みなしと見て森下九段が投了。
調子の維持に苦労したのか(6月後半からは公式戦が3局しかない)「モリシタ集め」(自分の扱い)を見てモチベーションが落ちたのか(笑)年度勝率も5割に逆戻りしてしまった順位戦は1勝1敗)。今後もしばらく対局数は少なそうなので(棋聖戦王座戦は2次予選から、王位戦も2回戦からなのでもう少し先)心配である。

最後に自分で言うのもなんだが、電王戦を「生態系の破壊」と考える(喩える)人は非常に珍しいかも知れない。「電王戦 生態系の破壊」とかで検索してもまともな記事がヒットしないので、
「もしかしたら自分が元祖?」
なんてくだらない事を考えてしまう(笑)。さすがにそんなわけはないだろうけど…


※1…PVを広義に解釈すれば
「来年の電王戦FINALには出場しないが、今後何らかの形で(タイトルホルダーvsCOMが)実現する可能性はある」
わけで、今後どうなるかは現時点では誰にも分からない。

※2…こういう言い方(書き方)をされると
「本音では竜王戦を超える賞金設定にしたかったが、ドワンゴ(と言うより川上会長)が相当譲歩した」
ようにも見える… のは単なる皮肉でしょうかね(笑)。

※3…考案者は1996,1997年とコンピュータ「ディープ・ブルー」とやり合った世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏、というのは何か因縁めいたものを感じる。

※4…12月28日~31日に(2014年は)ボートレース住之江で行われる「第3回賞金女王決定戦(クイーンズクライマックス)」の事。
住之江は「ボートレースのメッカ」と言われる場所(これに対して平和島は「東のメッカ」と呼ばれる事もある)なので一度は行ってみたいと思っているのだが…