夜勤明け、眠い目をこすりながらブログ(の下書き)を書く。
今回書く予定だった記事があらかた完成し、書いた内容の裏付け取り&ちょっとした息抜きを兼ねてネットをいじっていたら偶然「眠気が一発で覚める」記事(本の紹介)を見つける。
「…嘘でしょ?!」「…マジかい?!」
そう何度も叫ぶと(笑)すぐにブログを書くのを中断して書店に走る。何軒か回ってようやく手に入れたのが…
…スキャナーで撮ったので微妙な傾きや汚れなどはご愛嬌ということで。
「杉森建(※1)」というのはポケモンシリーズを開発したゲームフリークの取締役。世間には「ポケモンの絵を描いている人」と説明すると大体通用する(正確には自分を含めた複数のデザイナーが描いた絵をまとめる・仕上げる役、と言うべきか)。
しかし自分にとって杉森氏はそういう軽い(?)存在ではない。
以前自分のペンネーム「DJカートン」の由来を書いた。
もう一度書くと、「カートン」というのはゲームフリークのデビュー作「クインティ」に出てくるキャラクター(主人公、クインティの兄)の名前。その時に「ゲームの登場キャラを使ってコミック化された」とも書いた(以下その作品を「コミック・クインティ」と書きます)。
…で、この「コミック・クインティ」は「HIPPON SUPER!」連載中に単行本化の企画が動いていた。自分はこの作品を最初から読んでいたわけではないので、是非とも実現して欲しい話であった(その途中からの「HIPPON SUPER!」は今でも家にある)。しかし理由は定かではないが具体的な実現の目処がつく前に連載終了、企画は消滅してしまった(※2)。
…ところが! この度「ポケモン以前の作品」をまとめた作品集が発行される、という話が舞い込む(※3)。それがこの「杉森建の仕事」。しかも単行本化を諦めていた「コミック・クインティ」が実に20年の時を経て全話収録されるという!!
それを知って眠気が覚めないわけがない、それこそ2日連続の徹夜明けでもバッチリ目が覚めたに違いない(笑)。 …あくまで自分の場合ですよ。
前述の署名運動の折、「もし実現したら絶対2冊買う」なんて書いた記憶がある。1冊は購読用、1冊は保存用として。
「(単行本化を)実現してほしいという思いをオーバーに表現した」というパフォーマンスにも見えるが(確かにそういう意味も多少はあったが…)、これは自分の偽らざる本心である。何故なら自分は昔からコレクションに関して「同じものを2つ買う」事があるから(最近だと「S.H.フィギュアーツ・セーラーヴィーナス」を「展示用」「保存用」で2つ買った)。
以前も書いたが自らのペンネームに使うくらいだからこのクインティとその仲間達(?)、そしてのキャラデザインを担当した杉森先生は自分にとって特別な存在である。何と言っても「コミック・クインティ」連載中に杉森先生から直筆の手紙(ファンレターの返事)をいただいているので(それがなかったらとうの昔に自分の心の中の彼女達の存在は自然消滅していたと思う)。実物はお見せできないが、その葉書に貼ってある切手が「41円切手」であるところに時代の重み(?)を感じる(笑)。
…そんなわけで、自分の気持ちに忠実に従って(?)2冊購入。2冊目には遠い未来に杉森先生の直筆サインを頂けたらいいなぁ、という希望を込めて(笑)。少しわかりにくいが右側の本(「保存用」の予定)にはビニールと「補充注文カード」がついたまま(つまり未開封)。
同じ本が2冊並んでいるのはある意味不思議な光景かも知れないが、故・村山聖九段は同じ本を3冊買っていた、という逸話がある。
もちろん以前にその本(少女漫画が多かったそうである)を買っていた事を忘れていた、というボケではなく、「購読用(普段読む)」「展示用(本棚を飾る)」「保存用」と用途を分けるためだそうである。 …上には上がいる(?)んです。
本当はみっちりとレビューしたいのだけど(笑)、ここに来る人でそのレビューの内容を理解(共感)できる人が何人いるか、という話(苦笑)になりそうなので簡単に。
そういうイメージや期待(「先入観」と言ってもいいかも知れない)でこの本を買うとおそらく、いや、間違いなく失望します。
帯にもあるようにポケモンに関するイラストも載ってはいるがその比率は全体の1割もありません(これは「帯の書き方」にも問題があるのかも知れない)。酷い人だと「金返せ!」とか言うかも知れません(定価1,850円+税、と決して安くはない。世の中には平然とこれを2冊買う人もいたりするのだが…)。
この本を手に取るべきは「ポケモン以前の杉森キャラを知っている(愛している)人」。中でも前述のように結局単行本化が実現しなかった「コミック・クインティ」や他の雑誌で連載されていた「コミック・ジェリーボーイ」(※4)を待っていた、という人にとってこの本はそれこそ借金をしてでも買わなくてはいけない「バイブル」と言っても過言ではないでしょう(…あくまで「喩え」です)。その特殊性(?)を表すかのように、●mazonでのカスタマーレビューも「両極端」な点数の付けられ方をしています。
他にも「こんな仕事もやっていたんだ」という発見があったので、「ポケモン云々を抜きにした」、あるいは「ポケモン以前からの」杉森ファン、という人は必読の価値ありです(ロングインタビューも読んでいていろいろと感心させられました)。
もし自分がこの本に点数をつけるなら… 5段階評価で15点くらい(笑)。何せ「2冊欲しい」と思うくらいなので。
…自分の生涯でこの本以外で「2冊(以上)手元に置いておきたいと思う本」に出会うことはおそらくないかも知れませんね(そもそも「2冊欲しい」という本に出会える事の方が珍しいのかも知れないが…)。
※1…「すぎもり けん」。名前を「健(人偏つき)」と間違える人が多いせいか、「杉森健」で検索してもHITしてしまう。
※2…氏は自身のツイッターで単行本化が実現しなかった事を「事件」と言っている。
※3…この話は2ヶ月くらい前(4月初旬くらい)に発表されていたそうだが、自分はまさかそんな動きがあるなんて思ってもいなかったので、知ったのはつい先日(前述のようにネット上で偶然に)。
※4…こちらは単行本化されて徳間書店から発売された。…が、発行部数が少なかったのかファンの間では「レア本」扱いされている(ちなみに自分は運良く手に入れる事が出来た)。