DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

リレー詰将棋&リレーナンプレ&その他

今年の4月は将棋のイベント(?)が多い。
世間的には電王戦(第4局・第5局)なのかも知れないが、自分はやはり順位戦解説会」(笑)。名人戦の前夜祭もイベントといえばイベントである。
それに下旬には「岡崎将棋まつり」… あれ、例年は4月29日(昭和の日)で固定のはずだったのが、今年は4月27日(日)の開催である。29日だったら参加できたのだが、とちょっと悔しがる(笑)。石田和雄九段のトーク・解説も軽妙で面白いので楽しみにしていたのだが…

今回は実に3ヶ月ぶりとなる「リレー詰将棋」「リレーナンプレ」。
…だから(パズル作家として)こういう記事はもっと書かないと示しがつかないでしょうに(苦笑)。

まずはリレー詰将棋
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▲5一桂成(両王手)で1手詰め、と思った方はこのブログを一から読み直してください(笑)。
ついでに言うと3手詰めでもありません。
当初は両王手を含みとした7手詰めくらいで収めようとしたのだが、あれこれいじって(余詰を消して)いるうちに無駄に手が長くなってしまった…(苦笑)

リレーナンプレ
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今回は特にからくりはなし(笑)。☆と★を入れた上で解答、AとBを次回作に引継ぎ。

…このリレー詰将棋&リレーナンプレが最終的にどうなるか、は皆様の応援次第(笑)。何らかの形で還元(たとえば懸賞問題にするとか)できればいいのですが…

電王戦は豊島七段が期待に応えて(?)プロ側が1勝を返す。自分の目には今回の電王戦で「圧勝」という言葉が当てはまるのは(今のところ)この第3局だけだと思う。
もしこれがCOM側の圧勝だったら業界にとってこの先「お先真っ暗」だったかも知れないが、勝ったのはプロ棋士側、しかも至って自然な(?)指し回しでの快勝。…誰だろうね、「もう人間はCOMに勝てない」などと偉そうに宣っていたのは(笑)。
「(一見して)自然な指し回し」ではあるが、YSSの△6二玉(下図)への対策が研究されていたのも大きい  少なくともそうでなければここでノータイムで▲3三角成とは踏み込めないだろう  と思う(※1)。
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ちなみに自分(DJカートン)はこの△6二玉を「ありそうな手」だと思っていたので、(大会などの一発勝負で使えるかも、などと考えて)多少なりとも研究してみたものだが、どうも「掘り下げてもあまり脈はなさそうな手」なのかも知れない(※2)。

あるいは対局場(の環境)も多少は関係があるのかも知れない。
これまでの2局は「有明コロシアム」「両国国技館」と、だだっ広い空間の中央に対局施設を臨時設営、という極めて異例異質な環境での対局を強いられた。対局者(菅井五段、佐藤六段)はあまり意に介していないよう(なコメント)だったが、「自らの発する音(駒音など)以外の音」や「風景」の全くない環境というのはやはり異質(集中力などに何らかの影響をきたしそう)だと思う将棋会館は一応?都内にあるので何らかの音が聞こえてくるし対局室には窓がある)。
今回の「あべのハルカス」は現地を見たわけではないが、少なくとも前2局と比べたらはるかに「タイトル戦の舞台に近い(ほぼ同じと言ってもいい)環境」で行われたわけで(「風景」は言うに及ばないし、あの高さなので航空機の飛ぶ「音」が聞こえそう)、タイトル戦出場経験のある豊島七段としてはある意味「普段どおり指せる環境」だった  と言うより第1戦・第2戦の会場が酷すぎた(※3)  のかも知れない(そういう意味では小田原城で戦う森下九段に「環境面でのマイナス要素」はあまりなさそうだが…?)。

ともあれこれで俄然電王戦が面白くなった?のかも知れない…が、残る2人への勝敗予想は想像以上に酷いと思った(ニコ生のPVより、森下九段が34:66、屋敷九段が47:53)。
もっともああいうものを真に受けるのも間が抜けた話だし、自分は「勝負師とは世間の予想を覆すもの」だと思っているので、
「言いたい奴には言わしておけ」
以上の事はできるだけ言わない(考えない)ようにしている。それに何より当の本人(特に森下九段)が内心で
「何ふざけた事ぬかしとんねん!」
と闘志を燃やしているでしょうし(関西弁でそう叫んだかは別として…)。

最後に蛇足かも知れないが、第3局の最序盤(6手目)の局面について。
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先手が▲7七角と8六の地点を受けていないので△8六歩から一歩交換できそうにも見えるがこれは悪手。 …何故か。もしかしたらニコ生でも取り上げられていたのかも知れないが(見ていないのでわからない)、ここで△8六歩には▲同歩△同飛に▲2四歩と突く手がある(△8七飛成が嫌だからと▲7八金と受けるのは△3二金でチャンスを逃す)。
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これを△同歩と取ると▲2三歩(先ほどの折衝で一歩持っているのでこれが打てる)で角が死んでしまう一方の先手の角は△8七歩と打たれても▲7七角と飛車取りで逃げられる。序盤早々角を丸損しては勝負あり、森下九段の言葉を借りるなら「プロだったら対局料を没収される」局面である。
仕方ないので▲2四歩には△3四歩と角道を開けるのが最善?だが、▲2三歩成△8八角成▲同銀で「一歩+と金得」(次に▲2二歩で駒得を目指せる)なのでやはり先手優勢。そういうわけなので、6手目の局面では△8六歩ではなくYSSが指したように△3二金と備える(あるいは△3四歩と角道を開ける事で横歩取りの定跡に合流する)のが定跡である。
ちなみに▲7七角と受けずに▲2五歩と伸ばすのは昔(昭和50年代くらいまで?)の角換わり定跡で、以下△3二金にそこで▲7七角と受けていたのだが、この手順で角換わりを目指すと千日手になりやすい、という事で一時は角換わりそのものがプロ間で指されなくなった(具体的な理由は一言で説明できないので割愛させていただきます)。その後昭和60年代に入ってから▲2五歩を保留して先に▲7七角と受ける(後に▲2五桂と使う余地を残す)手順が発見されて再び角換わりがプロ間で指されるようになった経緯がある(故に5手目▲2五歩は現在ではまず見られない)。
それを豊島七段が指したのは△3二金に▲7八金とあくまで横歩取り(最悪でも相掛かり)に誘導しようという豊島七段の「対COM戦略」だと思われる(少なくともYSSを△8六歩以下の手順にハメるためではあるまい


※1…中継コメントによると「5%くらいは△6二玉としてくる可能性がありそう」という本人談がある。
…が、合理的な(?)思考の持ち主だと「5%くらい」の(≒滅多に起きない)事象に時間を割くのは非効率的と考えそうなものだが(特に昨今の若い世代はそう考える傾向が強いように思う)、「たかが5%」でも手を抜かずに研究するあたりはさすが「将来の名人候補」と言われるだけあると思う(例えば「羽生世代」の棋士「一目悪そう」と思える手でも「どこがどう悪いのか」を自分が納得できる答えが出るまで突き詰めて考える、という話を森下九段がされていた)。

※2…△7二銀~△7一玉と相手の飛車から遠ざかりつつ片美濃に入れそう(玉の堅さで勝負できそう)、というのが自分が「ありそうな手」だと思った理由なのだが、本譜(角交換から▲2一角以下)のような進行になるとその余裕があるとは思えないし、仮にそれで互角(かそれ以上)だったとしても自分の棋風には合わない(それだったらまだ△2三銀~△2四歩!と銀冠を作ってそっちに入るほうがマシかも知れない)と思った。

※3…ドラマ「相棒」で電王戦のようなものを題材とした話(相棒Eleven第8話「棋風」)ではどこか都内の寺の境内、つまり「屋外」に臨時の対局場が設営されていた(一応屋根はあったが「横殴りの雨」が降ったらどうするつもりなのだろう…)
これが夏ならまだしも、秋~冬の話(相棒は基本的に「放送日≒ドラマ内の日付」)なのでプロ棋士はくそ寒い中で対局している事になる。しかも寒さ対策(暖房器具や防寒具など)なしで。
それに加えてわけのわからない「絶叫」実況が飛び交っていたり、代理着手者(今回だと「電王手くん」の役目)が「グラサンをかけたチャラ男」だったり… あまりに劣悪な(今回の電王戦より酷いと思う)環境に「ありえな~い」と思ったものである(笑)。