「…確かに言われてみるとそうだよなぁ~」と納得させられる理由である。
以前にカードゲームの「UNO」の話をチラッと書いた時に
「レッドリボンカード(以下『RR』と表記)」…手持ちの赤色のカードを全て一度に場に出せる
「チェンジカード(以下『CC』と表記)」…このカードが場に出たら全員が左隣の人と手持ちカード全てをチェンジする
という2種類のスペシャルカードが入っている
なんて事を書いたのだが、これ(公式サイトに書いてある文面)だけを読むと気になる点がいくつか。
・RRで出した赤色のカードの中に記号カード(SkipとかDraw Twoとか)があったらどうなる?
・手持ちがRRと赤色カードのみ(枚数問わず)の場合はそのままあがれるのか?
・CCであがったときのカードのやり取りは?
…気になって仕方なかったので、実物を買って(!)説明書を読んでみよう、と思った。
本体価格(1200円+税)は「経費(?)」と考えればいいとして、問題はどこに売っているか。発売が2011年(2年前)なので今でも店頭に並んでいるのか… と心配したものの、一番最初に行ったおもちゃ屋であっさり発見(笑)。
上段左がレッドリボンカード(そう言えば某有名漫画に「レッドリボン軍」なんてのがいたような…)、上段右がチェンジカード。ちなみに下段の左がワイルド、右がワイルドDraw Four。 …いずれもワイルドの効果(場の色を指定できる)を持っているからとは言え、ぼーっとしていると見間違えそうなデザインをしている(笑)。
…デザインの問題はさておき、早速説明書を読んでみると… なんと前述の場合についての記述がない(笑)。ただ、1つ目の疑問に関しては「手持ちの赤色のカードを下に重ね、一番上にRRを置いて出す」とあるので、途中に混じっている記号カードは「効力を発揮しない」、と解釈してよさそうである。
…2、3の疑問についてはそれこそ「何も書いていない」のだが、もしかしたらUNOをよくやっている(やっていた)人から
「どうせ記号カード(ワイルド系を含む)ではあがれないんだから関係ないんじゃねーか?」
なんて反論(?)があるかも知れない。
…この(記号カードではあがれない、という)ルール、どこに行っても聞くルールなのでこれが正式なルールだと勘違いしている人が多そうだが、UNOの「公式ルール」にそういう制限はない。
それこそ「ワイルドDraw Four」であがる事もルール上はOKであり(それだと面白くない、という考えから前述の「ローカルルール」が普及したものと考えられる)、しかもその場合「次のプレイヤーが強制的に4枚引いた上でゲーム終了(※1)」と、こちらは説明書に明記されている。なので、RR及びCCであがる(あがった)場合についても公式ルール(?)で定めておくべきだったと思うのだが、いずれにしてもハローキティという題材を考えるとかなり複雑なカードを導入してしまったような気がする。
このような「ルールが定められていない事例」や「ローカルルールがある事例」というのは厄介である。
本来ならゲームを始める前にルールの「擦り合わせ」をやっておくべきなのだが、世の中には「自分が普段用いているルールが正式な(あるいは世間一般でのメジャーな)ルール」だと思い込んでいる人、「滅多に起こる事でないのでその時考えればいい」などと楽観する人は多いので、それを行わずにゲームが始まると「そういう事例が出現した時に揉める事が多い」のである(時には「そんなローカルルールなんてあるの?」という事もある)。
特にそれが顕著なのが麻雀で、「卓の数だけハウスルールがある」と言われるほど細かいルールが多種多様である。ましてや麻雀は「金が賭けられる」事が多く、人間金がかかっていると何が起きるかわからない、というのは今更言う事ではない。
自分も麻雀を嗜む(?)ほうだが、この「ルールの擦り合わせ」(ルールによっては戦略戦術を普段と大きく変えないといけない)がとても面倒なので、自分は基本的に「会社の人間(それまでどういうルールで打って来たのかわからない人)と麻雀をする」という事をほとんどしない(誘われても大抵断る)。打つのは専ら雀荘(場所ごとにルールが決まっているので「擦り合わせ」が不要)である。
その点将棋はローカルルールが全くといっていいほどないのが優れた(?)ゲームである。これには「日本将棋連盟」というトップ組織がしっかりしていてトップダウンがスムーズにいっている、という面もあるのかも知れない(麻雀にはプロ組織が複数あってそれぞれで微妙にルールが違うので「統一ルール」が作れない、と言える)。
そんな中で唯一揉めそうなのが「トライルール」であろうか。一応説明すると「先手玉が5一(後手玉なら5九)の地点に到達したら勝ち」というルール(当然ながら「トライ」する時にその地点に相手の駒の利きがあってはいけない)。
本来(トライルールなし)なら即詰みの局面が5一(5九)を通過した為に結論が180度変わってしまうのではないか、という理由で揉める可能性がある(※2)。
しかし、前述のUNOのルールなどと比べたら圧倒的に「採用は少数派」のルールなので、特別に明記されていない限りは確認しなくても「トライルールはなし」と考えておいて問題ないと思う。
言うまでもなくプロ棋戦でトライルールは採用されていないが、もし先日の王座戦でトライルールが採用されていたら「中村太地王座」が誕生していたかも知れないわけで(※3)、もしそうなっていたら(妙なルールが原因で歴史が変わっていたら)羽生王座にとってはいい迷惑だったに違いない(笑)。
※1…これも案外知られていないルールだが、UNOの公式ルールは
「最初に誰かがあがった時点でゲーム終了」
であり、その時に他のプレイヤーが持っているカードの合計があがった人の得点となる(数字カード=表記の数字、記号カード=20点、ワイルド系・スペシャルカード=50点、で計算)。
…で、ここから更に「国際ルール」と「日本ルール」とに分かれ、
・国際ルール…あがれなかったプレイヤーの手持ちカードの点数はマイナス計上しない。あがったプレイヤーの得点のみを合算し、一番早く「500点」に達したプレイヤーの勝利。
・日本ルール…あがれなかったプレイヤーの手持ちカードの点数をマイナス計上する。ゲーム数をあらかじめ決めておき(5ゲームが一般的)、最終的に得点の最も多いプレイヤーの勝利。
他にも「最初の1枚目」に関するローカルルールや「1度にカードを複数枚出せる条件」など(ちなみに公式ルールではスペシャルカードを除きいかなる場合でも出せるカードは1枚)、UNOというのは「麻雀の次にローカルルールが多いゲーム」ではないか、と自分などは考えている。
※2…これを是正する為に「トライされてもそこから即詰みに討ち取れば勝ち」という補足ルールが採用される事がある。
※3…2013年9月18日の第61期王座戦5番勝負第2局で中村六段の玉が「トライ」。
ここからの指し手は「▲6八銀△5八玉▲4九香(王手でない=即詰みでない)△4八歩…」なので、トライルールで判定すると中村六段の勝ちとなり(実際の対局は羽生王座の勝ち)、中村六段の3連勝(新王座誕生)になる。
この事から、必ずしも「トライの形=勝利」とは言えない(極論するとトライルールそのものに無理がある)と言えそうである。