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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

事故と安全確保

去る11月2日、ボートレース下関にて死亡事故が発生した。
亡くなられたのは同場でのレースに出場予定だった鈴木詔子(しょうこ)選手(52)で、ボートレース公式HPやスポーツ紙などによると2日09時40分頃、揚降装置(ボートを地上から水面に、あるいはその逆へ移動する為のリフト)からボートを水面に降ろし、エンジンをかけたところ鈴木選手を乗せたまま突如全速状態になりそのまま岸壁へ衝突すぐに病院へ搬送されたが同日11時09分、脳挫傷により死亡が確認された。詳しい事故の原因は調査中との事(※1)。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

ボートレースでの死亡事故は今回で30件目、との事で、ボートレースの歴史が60年強なので大体2年に1件の割合で死亡事故が起きている計算になる(前回の死亡事故は平成22年5月)。
…と書くと随分頻繁に起きている印象があるかも知れないが、ボートレースは全国24のレース場のどこかでほぼ毎日開催されているため年間で相当な数のレースが行われている。例えば競馬(中央競馬)と比べると年間のレース数はおよそ15倍の差がある(※2)。しかし中央競馬での死亡事故は「30年に1件」では済まないような気がするのだが…(※3)

そういう議論はさておき、よく死亡事故が起こるたびに「○○なんかやめてしまえ」的な発言がネット上を飛び交う(※4)。
しかし参加者には可能な限りの安全対策(ヘルメットなどの防具の装着、など)をする義務がある(意図的な危険行動にはペナルティが科される)し、対策をしていてもなお事故が起きる可能性がある事も承知の上で競技に参加している。それに何をどうやっても安全を確保できない(ルールや施設などの不備で重大な事故が起きる可能性が高すぎる)と判断すれば競技への参加をボイコットする、なんて事もあったりする(つまり参加者も馬鹿ではない)自分もレーシングカートをやっていた時期があり、しかもそれで「死にかけた」事があるので、競技における安全確保の重要性については人並み以上に理解しているつもりである。
なので、ルールや施設などの不備が原因で起きた事故でもない限りその手の発言(というより野次)は全く持ってお門違いな発言だと思う。

そんな自分だからか競技は言うに及ばず、一般公道で意図的に安全性を欠いた走行(ノーヘルでバイクを運転、走行中の車から体を乗り出す、など)や道交法違反(とんでもないスピード違反、飲酒運転、など)違法改造車などを見かけるととにかく腹が立って仕方ない。
やっている方は「スリル」を味わっているつもりなのかも知れないが、そういう輩は「安全性の放棄」と「スリル」とが全く別のものである事がわかっていない(※5)。
よく「馬鹿は死ななきゃ治らない」なんて言うが、彼等を見ているとまさにそのとおり(実際に重大な事故を起こさない限り決して分からない・反省しない)であると思う(※6)。

ハインリッヒの法則というのを御存知だろうか。業種によって(例えば工場関係や鉄道関係など)は耳にたこが出来るほど聞かされる言葉かも知れない。
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の事故に至らなかった異常  俗に言う「ヒヤリハット  がある
という統計上の法則(言うまでもなく?「ハインリッヒ」は提唱者の名前)で、その数値をとって「1:29:300の法則」と言われる事もあるそしてその300のヒヤリハットが起こる原因としてその数十倍の「不安全行動」「不安全状態」が存在する、とも指摘している。
要は「普段から安全に気を使ってヒヤリハットを起こさないように努めれば(事故の比率から考えて)重大事故は防げる」、という教訓である。

これは何も職場に限らず競技や遊技(遊園地の施設など)、普段の車の運転などにも同様の事が言える。例えば「エレベーターでの死亡事故」や「ジェットコースターでの死亡事故」なんかがニュースや新聞で報道されるが、「調査の結果その○○は以前から軽微なトラブル・事故が多発しており…」と続く事が極めて多い
つまりハインリッヒの法則からすれば(具体的な比率に差異があるかも知れないが)「いつ大事故が起きてもおかしくない」という土壌(?)が出来上がっていたのである。
前述の馬鹿どもは言ってみれば「自らヒヤリハット状態を作り出している」ようなもので、極端な話毎日それをやっていたら1年以内に必ず重大(死亡)事故に遭う計算になるのだが、それでも生きながらえているのは「たまたま運が良かった」に過ぎない、という事を恐らくは理解していない
事のついで(?)に書くと最近嫌というほど目(耳)にする「食材偽装」も同じ事が言える、即ち「発覚」→『重大事故』、「社内・社外からの告発」→『軽微な事故』、と置き換えられると思う。
こんなところで「運」を使うのは勿体無いので、たまたま(?)このブログを読まれた方は意図的な「不安全行動」をせずに安全運転でお願いします
…もっとも、「運」というのは温存できるものなのかよく分かりませんけど…(苦笑)

もしこのブログ(記事)のおかげで意図的に安全性を欠いた車の運転(ノーヘル、飲酒運転、その他諸々)が減少してくれればブロガー(本職?はパズル作家だけど…冥利に尽きるのではないだろうか
…って、ボートレースの話から全然違う話になってしまったような気がする(苦笑)。


※1…事が事なので、推測や憶測で事故の原因や責任問題、艇界の将来なんかをしたり顔で論評するのはネット世界に巣食う○○どもに任せておきましょう。

※2…公営ギャンブルは法令によって年間最大開催日数などが決められている。
ボートレースは「1開催場あたり252日」となってはいるが、実際はそんなに開催していない(およそ年180日くらい)ので便宜上計算しやすい数字として「1場あたり180日」とし、×24場は「4320日」。
一方の中央競馬は「全競馬場合計で288日」と決まっており(1日のレース数はどちらも12レース)、
両者の差は15倍になる。

※3…ざっと調べたところ、中央競馬で殉職した騎手は19人いる(JRAの前身時代を含んでいるのかは不明)ようである。

※4…競馬場、特に(平地競走と比して馬の事故が多い)障害競走だと頻繁に?聞かれる野次である。…が、そういう野次のほぼ全てが「馬券を外した(しかも買った馬が落馬した)腹いせ」だと言っても過言ではない(少なくとも自分は事故の起きたレースで馬券を取った人がそういう野次を飛ばしているのを見た事がない)。

※5…それでいてそういう輩がレーシングカート(俗に言う「レンタルカート」、それでも最高時速は60km/hくらい出る)に乗ると「怖くてまともにアクセルを踏めない」なんて事があるというから面白い(というか情けない)。

※6…自分は勿論飲酒運転などした事はないが、「酔った状態でゲームセンターのレースゲームをプレイ」した事はある。
…その結果はカーブを上手く曲がれないどころか直線でも真っ直ぐ走れない(蛇行して壁にこすり・ぶつかりまくる)、という有様で、
「ゲームでこれなんだから実際の車だったら…」
と想像する(体に覚えさせる)に難しくないので是非お試しあれ(?)。