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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

第54期王位戦七番勝負第1局

…カテゴリとタイトル(から想像される内容)があっていない、なんて言わないで下さい(苦笑)。

タイトルにある棋戦の大盤解説会に行ってきた。場所は愛知県蒲郡市にある「旬景浪漫・銀波荘(しゅんけいろまん・ぎんぱそう)」。これまでも数多くのタイトル戦が戦われてきた定番の旅館である。
…なお、この先「王位戦中継ブログ」と内容が被っている箇所もありますがあまり気にしないでやって下さい(笑)。

自分の現住処である浜松市から当所に向かう手順は、
①浜松駅からJR東海道線で蒲郡駅へ(ほとんどの電車は豊橋駅止まりなのでそこで名古屋方面行きに乗り換える)
蒲郡駅から名鉄バス「西浦温泉前」行きの路線バス(30分に1本くらいの間隔で出ている)で終点「西浦温泉前」へ

所要時間は①が約50分(豊橋から特別快速に乗った場合)、②が約30分で合わせて1時間20分(待ち時間は含まず)、片道の運賃は①が950円、②が500円で合計1450円。
もうちょっと安く済まそうとするならJRで蒲郡の次の三河塩津まで行き(「浜松~三河塩津」も同じ料金)、そこから数分歩いて「(蒲郡競艇場前(※1)」から上記の路線バスに乗れば②が410円になるのだが、三河塩津駅には各駅停車しか止まらない(乗換えが面倒&所要時間がかかる)ので今回は往復ともにシンプルな道順で。

移動中はモバイル中継で対局(王位戦以外にも中継局が4局ある)を観戦するが、持ち時間の長い将棋ばかり(竜王戦順位戦B2)なのでなかなか手が進まない。
そうなると暇をもてあます事必至なので、「おもしろ詰将棋216(神吉宏充七段の双玉詰将棋集)」を読んで(問題を解いて)時間つぶし。…13手詰めあたりからわけが分からなくなる(笑)。

西浦温泉に到着したのは12時30分頃。…暑い。この日の蒲郡の最高気温は35℃だったようである。
バス停(下の写真の「現在位置」)から銀波荘までは5分ほど歩く。

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距離にしておよそ400mだが、高低差が20mくらいある(随所に「海抜」の看板が立っているので高低差はすぐに分かる)。しかもずっと同じ勾配で下っているのではなく、途中の100mくらいで一気に20m下っている。下の写真(カメラをほぼ水平にして撮影したもの)でその勾配が伝わるだろうか。

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この建物が対局の舞台である銀波荘。

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しかし大盤解説会は14時からなので1時間以上も暇がある。前述のように非常に暑かったので旅館内で時間つぶし、でも良かったのだが、せっかくこういうところに来たのだから周辺を散策しよう、と考えるのが自分の癖である(笑)。
…と言っても、徒歩圏内にそれほど散策できる場所があるわけでもない。王位戦中継ブログにも出てきた「万葉の小径(まんようのこみち)」くらいである。ここは道のそこかしこに万葉歌人の(三河湾の美しさを詠んだ)歌碑が立っているから「万葉の小径」と言うようだ。
左前方にある看板が「万葉の小径」。ちなみに右の道(西浦シーサイドロード)に沿って2kmほど行くと「スパ西浦モーターパーク」というサーキットがあるのだが、今回の旅程とは関係ない。

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入り口からこの急勾配。人によってはこれを見ただけで登るのやめるかも知れない(笑)。

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登りはじめて間もなくにある柿本人麻呂の歌。…意味? わからん(笑)。

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ところどころにある開けたところから三河湾を臨む。下の道は前述の西浦シーサイドロード、湾の向こうに見えるのは渥美半島

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室谷由紀女流初段はここで引き返したようだが、自分はこの先にも進む事に。
2つ目の画像が案内図脇の「遊歩道」、3つ目はその横の道。相変わらず勾配はきつい。

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これは案内図にある「展望デッキ」。「朝日が輝く丘」という名前がついている。その脇にある鐘は「希望の鐘」。…説明書きをよく読まずに一発鳴らしてしまった(笑)。

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稲村神社の境内に向かう階段。その段数は45+60(途中に踊り場)の105段だった。

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…暑さと階段(坂)の上り下りで体力を使いすぎたので(笑)旅館に戻る。
戻った時点では13時30分、まだ開始まで時間があったが既にかなりの人数の客が入っていた。ちょうど昼食休憩が終わる時間で、一足先に対局場に戻った羽生王位が再開直後の「▲2三歩成」を指すところがスクリーンに映る。

14時になり解説会が始まる。解説は松尾歩七段(今回に限らず現地での大盤解説はその対局の副立会人が務める事が多い)、聞き手は室谷由紀女流初段。

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大盤解説会に行くたびに思うのだが、よくあるこのサイズ(1m四方くらい)の盤は大盤解説会には向かないと思う理由は一つ、「小さい」。狭い会場(盤から最も遠いところで10mくらい)ならこれでも足りるのだろうが、今回の会場は結構広かったので後列の方は(よほど視力のいい人でない限り)何をやっているのかよく分からないのでは、と思う。
とは言え、これより大きい盤・駒だと相当値が張るだろうし、駒操作も大変だろうし(一段目に手が届かない、なんて事もありうる)…

大盤解説会恒例の(?)「次の一手クイズ」は下の局面で出された。ちなみにこの局面の1手前(▲2四歩の叩きを△同金と取った)までは前例がある局面。
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主な候補手は3つ、①△5九角(松尾七段の挙げた手)、②△4七歩(松尾七段曰く「対局者心理として指したい手」)、③△7六歩(室谷女流初段の挙げた手)。
この局面での自分の第一感は△4七歩(場合によっては△4六歩~△4五歩と連打する手も視野に)
だったのでそれで答えたが、87分の考慮で行方八段が選んだ指し手は「△7六歩」。自分はこの手の次の一手クイズで正解した例がない(笑)。
いずれにせよ、こういう手を選ぶともう止まらない。どちらが早く相手をKOするか。それこそ「勝ったら勝着、負けたら敗着」と言われかねない手である。

そこから手が進んで後手玉に詰めろがかかる。そこで行方八段の繰り出した△1一角がこの局最大のハイライトだったかも知れない。
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一見▲3三龍△同桂▲2二銀以下の詰めろを受けただけの手に見えるが、3三の銀がいなくなると(4三に龍がいる時点では玉を素抜かれる為に無理だが)△7七角成▲同玉△7八金▲同玉△6六桂以下の詰みがある、言わば「これで勝ったら滅茶苦茶格好いい」手。
▲4六角(▲2五桂以下の詰めろ)には△3五歩といったん角道を止めてから△4二飛!という手で後手が勝つが(▲同金は攻め駒が遠のくで△7六歩で手勝ち)、ここで羽生王位の▲3三金がそれを上回った(この時微かに羽生王位の手が震えたように見えた)。
△同角が△7六桂以下の詰めろだが、▲5五角が詰めろ逃れの詰めろで勝てない(この手が見えなかった、と感想戦のコメントにある)。止む無く△同桂と取ったが角の利き(前述の詰み筋)が消えてしまった。羽生王位の将棋にはこういう仕組まれたような手が度々現れるのは何故だろう、と思ってしまう(苦笑)。

局面は終局に向かいつつあるが、この時自分には別の問題が発生していた。
「…帰りのバスに間に合うだろうか」
西浦温泉から蒲郡駅に向かう最終バスは19時30分発。しかも間の悪い(?)事に対局終了後に両対局者が解説場に来てミニ感想戦をする予定なので、対局自体は19時前に終わらないと途中退席せざるを得なくなる。

…そんな願い(?)が通じたわけではないだろうが、18時42分、行方八段が投了。
後手玉は必死、先手玉は△7六桂でも△7九銀でも手が続くが(▲7七馬と引いた手が逆王手になる変化もあって)詰まない。
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終局後、両対局者が解説場に来場。封じ手から仕掛けのあたりについての感想が述べられたのだが、難しすぎて一度聞いただけでは全然理解できない(笑)。自分は居飛車党なので理解しようという気持ちはあるのだが…

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最後に、銀波荘にあったトイレの小便器(撮影して良かったのかは不明…)。
からして不思議だが、「…子供用?」と思うくらい高さが低い(隣の洗面台は通常の大きさ&高さ)。おそらくは和服着用時に使いやすいように、という理由の形なのだろうが、個人的にはここで用を足している時に他の人に入ってきて欲しくない、と思った(笑)。

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…帰りはこの坂を上ってバス停まで。…つらいわぁ(笑)。

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(※1)…現在は「競艇」とは言わず「ボートレース」(レースが行われる場所は「ボートレース場」)が公式の呼称なので厳密に言うと「競艇場」という表現はおかしいのだが、電車やバスの駅名を変える苦労(費用)を考えると仕方がないのかも知れない。西武ドーム」になって15年くらい経つのに未だに「西武球場前」だし。