DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

ナンプレとは何ぞや?

第2回は何を書こうか。…考えた結果、
ナンプレとは何ぞや?」
つまり、自分の得意分野(?)であるナンプレについて書こうと思いました。
と言っても、ナンプレのルール説明をわざわざこんな所でしても詮無いので、
世間にはあまり知られていない(?)ナンプレの生い立ちや歴史なんかについて書こうと思います。
無論できるだけ調べた上で書いていますが、自分一人で調べられる量には限界があるのと、
個人的な考察も含めて書いているので、事実と異なる箇所があるかも知れませんがご容赦下さい。
 
なお、文中敬称略とさせていただきます。
 


 
ナンプレの原型と言えるものは19世紀末にフランスで生まれたといわれる。
フランスの新聞で掲載されていたが、その「原型」は第一次世界大戦の頃には姿を消してしまう。
 
現在のナンプレを考案したのはアメリカ人のハワード・ガーンス
Number Place(ナンバープレイス)」と命名され、1979年にニューヨークの出版社から出版された。
ちなみに「Figure Place(フィギュアープレイス)」という呼び方もある(…があまり一般的ではない)。
 
ナンプレが日本に入ってきたのはその数年後。輸入ルート(?)は2つあるらしい。
 
①ニコリ社の代表鍛冶真起(かじ まき)がアメリカのパズル誌で見つけたものを
1984年に同社誌で「数字は独身に限る」という名称で発表する。
1988年に単行本が出版されるに際しこれを短くした「数独」という名前が定着する
(後に「数独」が正式名称となり、同社の登録商標にもなる)。
②現日本パズル連盟代表理事である西尾徹也(※1)がアメリカのパズル誌で見つけたものに改良を加えて
1980年代初めに「ナンバープレース(略してナンプレ)」という名称で世界文化社のパズル誌で掲載される。
 
…ルーツが複数あれば「どちらが元祖(先)だ」的な揉め事が起きそうなものだが(※2)、
そういう話がなかったのはナンプレが「輸入品」だからであろうか。
 
今では世界的に有名になったナンプレであるが、そのきっかけを作ったのはニュージーランド人のウェイン・グールド
1997年に日本でたまたま手にしたナンプレの本に感銘を受けたグールドは6年かけてナンプレを自動生成するプログラムを作成。
それをイギリスのタイムズ社に売り込み、「SuDoku」という名称で2004年から連載が開始
(このタイトルからグールドが手にしたのはニコリ社の「数独」に違いあるまい)。
大手新聞に掲載された事でイギリス国内は無論のこと、国外にもその人気は波及して
2006年には世界選手権が開催される(以降毎年開催されている)ほどの世界的人気パズルとなった。
日本で(主に脳トレの一つとして)脚光を浴びるようになったのもこの頃だったと思う。
 
…一言でまとめると、
ナンプレを生んだのはアメリカ人、育てたのは日本人、流行させたのはニュージーランド人」
という事になる。まるで将棋の「横歩取り8五飛戦法」みたいである(※3)。
 
ところで、ナンプレにはあまり知られていないルールがある。
 
「最初から数字が入っているマスの配置は線対称または点対称でなければならない。」
 
手元にナンプレの雑誌がある方はどのページでもいいので開いてみていただきたい
(だからと言って「答え」や「広告」のページを見る、というボケはしないで下さい)。
…どの問題も最初の数字が配置されているマスの並び(入っている数字は関係ない)が
線対称または点対称(180度回転させても同じ形)になっているはずである。
明文化されているわけでは(多分)ないので、ルールと言うより不文律と言うべきかもしれないが、
今では作る側にとっては普通に定着している決め事である(※4)。
 
このルールを作ったのはおそらく前述の西尾徹也だと思われる。
自分が読んだ文献には
日本で発表するに際しルールはそのままで「初期配置をもっと美しくできるはず」と改良を加えた
とある。パズルに「見た目の美しさ」を求める、何となく日本人風である(?)。
それ故このルールは日本特有のものらしく、海外のナンプレにはそういう縛りはなく見事に非対称形。
海外の作品をいくつか見た事があるが、とにかく難易度重視で、悪く言えば「美しくない」(笑)。
 
美しさを求めるなら「9×9のマスで文字や絵を描いても」良さそうなものだが、
その場合でもその文字・絵が線対称または点対称でないと(日本では)認められないようだ。
例えば下図のように初期配置(青マス)で「33」を描こうとすると赤い線を対称軸とした線対称の図となるが、
「22」はどこにも対称軸ができないので不可。
どちらかの「2」を逆さまにすれば点対称の図となるが。
 
イメージ 1

…いずれにせよ解く側にはあまり関係ない(と言うより「どーでもいい」)ルールであるが、
ナンプレに限らず)人目を引くような形だと「面白そうだから解いてみようか」という気にさせる効果はある。
その後、通常のナンプレにいろいろなルールを追加した「バラエティナンプレ」も登場するのだが、
それについてはまたの機会に。


 
以上が自分が調べたナンプレの略歴(?)です。
…自分より暇な人(失礼)のサイトだったらもっと詳しい&事実に近いナンプレ史が読めるでしょうが、
この記事に関しては『○分でわかるナンプレの歴史』みたいな感覚で読んでいただけたら幸いです。
そもそも「DJカートン」はパズル作家であって評論家でも歴史研究家でもありませんし(笑)。
 
(※1)…「イラストロジック」の生みの親としても知られるパズル作家だが、
それよりも「日本パズル連盟なんてものがあるんだ」と思われた人が多いのではなかろうか(笑)。
 
(※2)…「イラストロジック」がマスメディアに初登場した時にはちょっとした揉め事(盗作疑惑?)があったようである。
その理由は西尾徹也が「お絵かきロジック」としてこのパズルを発表したのと同じ日に
いしだのん(本名:石田伸子)が別の媒体で同じ形式のパズルを「ののぐらむ」という名前で発表したため。
後に両者が全く別のプロセスから同じ形式のパズルを作り上げた偶然の一致であるとわかって騒動(?)は収束したようである。
ちなみに「お絵かきロジック」は世界文化社登録商標
 
(※3)…数ある将棋の戦法の中でもプロ棋士の間で流行している戦法の一つ。
流行に至った経緯(一言で書けないので割愛します)から
「生みの親は中座真、育ての親は野月浩貴、世間に広めたのは井上慶太
と言われており、重要な役目をそれぞれ別の人が担っているところに共通の匂いを感じる。
…かなりマニアックな話ですみません(笑)。
 
(※4)…それでも極稀に「非対称形ナンプレ」が取り扱われる事はある。
最近では「ナンプレファン(世界文化社発行のナンプレ誌)」で見たような。