先日発売されたNintendo Switchソフト「ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム」。…自分はやっていない。前作の「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」もやっていない。ただ話を聞いた・動いているところを見た感じ
やり出したら1日が48時間くらい欲しくなるゲーム
という印象(自分の周りのほとんどの人は同意していた)。この国では発売日(5月12日)に合わせて有休取得、所謂「ティアキン休み」を取った人がごまんといたようなので、そういう人たちは本当に「1日が48時間くらい欲しい」と思ったに違いない。…無論どんなに頑張っても1日は24時間しかない。金も時間も有り余っていそうな、例えば孫や三木谷やゲイツみたいな「1時間で100万$作れそうな人」でも1日は24時間であり、彼等の力を持ってしても「100万$を使って1日を25時間に増やす」事は不可能である。
しかしその一方で世の中には様々な種類のコンテンツがある。半世紀前(自分が生まれる前だが)とは完全に別世界の様相である。今の世の中が全てにおいてせっかちなのはまさにそのせいであろう。1日は24時間しかないが気になるコンテンツは無数にある。そしてそれを全部チェックしようとすると1コンテンツに使える時間が自ずと短くなってしまう。そういう人たちにとってありがたいのは「速く結果が出るコンテンツ」、逆に許せないのは「結果が出るのが遅い(いつ出るのかわからない)コンテンツ」、という事になる【*1】。また「速さ」とは少し違うが近頃よく見かける「放置系」なんてのも「放置中」に他のコンテンツを見る事ができるから重宝されているのだろう【*2】。
前回書いた「ピッチクロック」のような「時間短縮ルール」も結局はその流れに乗った、というか「乗らざるを得なかった」というのが本当のところではないか思う。そう考えると将棋の棋戦で持ち時間がストップウォッチ計時(1分未満切り捨て)からチェスクロック方式になったのも結局は同じ理屈なんだろうな、と思う。
自分はどちらかというと「狭く深く」派なので深刻に(?)時短を考えた事はあまりない。…というか、
そんな上っ面をなでるような楽しみ方(?)でそのコンテンツの事をちゃんと理解できてるの?
と思う【*3】。それくらいだったらむしろ「完全ノータッチ」の方が(他のコンテンツのために)時間を有効に使えているじゃないか、と思う。
今の世の中は言うなれば
速いは正義、遅いは悪
みたいな空気が蔓延している。あるいはそういう空気に毒された人間が多過ぎる。そこでそういう空気、あるいは空気に毒された人の事を前述のフレーズを英語にした「fast is justice, slow is vice.」の頭文字を取って「FJSV」と呼ぶのはどうだろう。…1週間後には言い出した本人がほぼ確実に忘れているだろうな(笑)。
略称というと冒頭のゲームは一般的には「ティアキン」(前作は「ブレワイ」)と略される事が多いが、時折「TotK(Tears of the Kingdom)」と英語の頭文字を並べた表記(前作だったら「Breath of the Wild」なので「BotW」)を見かける。略称が話題になる(?)と言えば「ファイナルファンタジー」と「ダンスダンスレボリューション」だろうか。前者は「FF(エフエフ)」か「ファイファン」、後者は「DDR(ディーディーアール)」か「ダンレボ」。…あくまで個人的な印象で言わせてもらうと「ファイファン」「ダンレボ」と言う人は「あ、こいつ素人だな」みたいなものを感じてしまう【*4】。もっともゼルダはアルファベット読みだと長くて読みにくい、あるいは何の略称なのか分かりにくいのか「ティーオーティーケー」と呼ぶ人は見たことがない(それどころか「TotK」と書いて「ティアキン」と読むっぽい)。…正直自分でも「ティーオーティーケー」と呼ぶ気にはなれない(笑)。
*1:どこかの国の研究では「スマホのサイトで『読み込みで3秒待たされる』とおよそ半数の人はそのサイトから離脱してしまう」なんて結果が出ているそうで、世の中の過剰な性急さを象徴する研究結果と言える。
*2:かつてはファミコンとかでも「放置プレイ(勝手に時間が進む)」や「ボタン押しっぱなし(あるいは連打)放置」が有効なゲームがあったが、自分は過去にそれで「大惨事」になった事があったため、放置系を謳うゲームは「楽しめる気が全くしない(ゲームシステムを全く信用できない)」。
*3:速読のチャンピオンに「ハリーポッター」を読ませたら『ストーリーを全く理解していなかった』、という話は多分このブログでも書いた。