DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

AIの危険性を教えてくれたのは…

ロシアのウクライナ侵攻は世界各国の経済に少なからぬ影響を与えているようで、日本もロシア産のものが入ってこなくなる影響でいろいろなものの物価に影響が出始めているようだ。…そういえば「ボート」もロシア産の材木を使用している、という話を聞いた事があるが、それも入ってこないという事になると「年間およそ1600艇」の供給は大丈夫なのだろうか、という余計な心配をしてしまう(笑)。

 

そのうちロシアは「核ミサイルを使うかも」「サリンを使うかも」なんて非常に物騒な(「物騒」という言葉では生温いかも知れない)話も飛び交っているみたいだが、そういう話を聞くと不意に銀河英雄伝説のエピソードを思い出してしまう。

 

話の中で帝国内に「官軍」と「貴族連合軍」による内乱が発生する。その内乱の中で貴族連合軍の盟主ブラウンシュヴァイク公の甥にあたる人物が貴族の支配に反対する領民に殺される。「賤民意識が服を着て歩いている」ようなブラウンシュヴァイク公は当然の如く(?)激怒し、

甥を殺した賤民に対し熱核兵器で報復する

なんて事を言いだす(しかも「正義の鉄槌を下す」などという寝言まで宣っている)。その事は官軍の指揮官であるラインハルトの耳にも入り、それを阻止すべく準備をさせようとするが、そこで参謀のオーベルシュタインが

血迷ったブラウンシュヴァイク公にこの残虐な行為を実行させるべき

と提案する。核攻撃を実行させ、その残虐さを全宇宙に知らしめることで貴族連合軍は自滅する、ひいては「早期に」「少ない犠牲で」内乱を終結させる事ができる、というのが主張の根拠である。ラインハルトは渋々(?)その提案を受け入れ、予定通り(?)核攻撃が実行され【*1】、オーベルシュタインの読み通りに貴族連合軍は瓦解し(投降者や自殺者が相次いだ)、「予定より早く」内乱は終息した。「ヴェスターラントの虐殺」と呼ばれるこの行為は内乱だけでなくラインハルトの身の回りにも大きな影響を与えるのだが、それは今回の話と関係がない(じゃあ書くな)。

 

もし今のロシア(というかプーチン)が核ミサイルなりサリンなりを使用したらどうなるか。発案者をはじめとした一部の「狂っている」人はともかく、そうではない前線の兵士の士気が今より上がる可能性はほとんどなさそうである。80年前ならともかく今の人類は核兵器が何なのかを知っているので。

そういう意味では今ロシアが核を撃ったら銀英伝のエピソードのように「自壊」する可能性は十分にありそうである。「角を打ったら」だったら非常に平穏なのに、などと言っている場合ではない(笑)。だが、現状では「核を撃たせる」以外にもロシア軍(というかプーチン)を「より少ない犠牲で」瓦解させる方法はありそうだし、そもそも「核を撃つ」と決まったわけでもないので、追い詰めるなら「核を撃たせる」ではない「より少ない犠牲」の方向に誘導する方が「合理的」であろう。

 

いかに「相対的な犠牲者の数」が基準だからと言って「核を撃たせる」なんて選択肢をサラッと言えるのは「ドライアイスの剣」などと形容されるオーベルシュタインだからであって、現実の世界にそんな人間はまずいない。もし現実の世界(米軍の上層部とか)にオーベルシュタインがいたら「そんなに撃ちたければどうぞ撃ってください」と公言する、あるいは「ロシア(というかプーチン)を暴発させて核を撃たせる」ように仕向ける工作を画策するかも知れないが、それはどこまでいっても仮定(架空)の話。

…なんだけど、今の世の中にはオーベルシュタインと同レベルで(あるいはオーベルシュタイン以上に)「数字のみを基準として冷徹な事をサラッと言ってのける」存在がある。それも1人2人とかではなく万単位で。…ネット上で好き放題言っている輩はそれこそ万単位で存在するが、匿名のネット上ならともかく公衆の面前でも同じ事を主張できるような人は「現実世界にオーベルシュタイン(みたいな人)が存在する」のと同じくらいの確率である。

…くだらない前置きを書いてしまったが、何となく答えに気づいている人もいると思う。そう、「AI」である。基本的に「奴等」には(事前に何らかの制限をかけない限りは)「タブー」が存在しないので、「奴等」に戦局を打開する方法を聞いたら「核を撃ってください」「敵国に核を撃たせてください」などといった事を平然と主張してくる。…間違いない(古いわ)

相当飛躍した話にも聞こえるが、以前AI(中でもディープラーニング)について、

AI同士で会話をさせていたらある時から「自分たち(AI)のみが理解できる言語」で会話を始め出した

なんて話を聞いた事がある。つまりAIは無制限に放置すると人類の存在を無視する(あるいは「物」としか見なさない)存在になり得るようで、故に「AIは(数字を基準として)核兵器の使用を平然と肯定する」と言えるのである。

 

気が付くとウクライナ侵攻」というキーワードがAIの危険性を浮き彫り(?)にしていた。この先AIがどれだけ軍事方面に関わってくる(あるいは既に関わっている)のかはほとんど分からないが、「一参謀」くらいならともかく「総参謀長」クラスの役割を与えるのは「非常に危険」だと思う。ましてや(SFで時折見かける)「総司令官」クラスなんてのは論外だろう。

 

一杯は人(が)酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む

という成語がある。要は深酒を戒める言葉であり、いつからある言葉なのかはよくわからないが(自分が初めてこの言葉を知ったのは「日高晤郎ショー」だった)、この成語の「酒」を「AI」に置き換えると見事に当てはまると思う。つまり最初はAIを「使っている」つもりでも、気が付くとAIに「使われている」、というわけである。これは酒とかAIに限った話ではなく、世の中のほとんどに通ずるように思う。例えば現代人を見ていると「人スマホを使う」が「スマホ人を使う」になってるな、と思える人の実に多い事。

そして今の将棋界や囲碁界とかも「二杯は酒酒を飲む」まで行ってしまっている人が相当数いるように思う。当事者はそれでも構わないのかも知れないが、自分は「そうしないと生き残れない業界は正直嫌だなぁ」と思ってしまうし、もしこの先「三杯は酒人を飲む」状態に進行したら(病状みたいな言い方してるな…)将棋界全体が「プロゲーマー」のような「モラルの欠落した人間の集合体」になってしまう、飛躍した言い方をすると

主に羽生世代たちが築き上げた『棋士の社会的地位』をAI(に毒された棋士)が破壊する

という事にもなるかも知れない。以前は騒がれていた「AIに勝てなくなった棋士の存在価値」は幸いにして(?)ほとんど損害を受けずに済んだが、今のAIは「別の角度から」棋士の存在価値を貶めつつある。

…というのはさすがに考えが突飛すぎる、と自分でも思うが、気が付くとそういう方向に思考が進んでしまう性格なのは今更どうにもできない(笑)。それにこうやって「悲観的な予測」を立てていると実際はそこまで悲観的な事は起きない(何かあっても楽観的に対処できる)、という事はよくある事だし。…というか世の中にはその逆、つまり「将来を楽観的に予測していたがために現実のトラブルに対して悲観的に対応せざるを得ない」人が何故こんなにもいるのだろう、とか思ってしまう。

…あれ、最後はAIとも関係ない話になってしまったぞ(笑)。何故だろう…(知ってるくせに)

*1:旧OVAでは「阻止する為に艦隊を派遣させた(が間に合わず核攻撃は実行された)」という風になっている。