「粗品の呪い」というワードがトレンドになっている。お笑い芸人(という肩書でいいのかな?)霜降り明星・粗品の競馬の予想がことごとく外れる、といった事から発生した単語のようで、「逆神」とか「有馬は彼の予想を外して買う」などという発言もあふれている。
…そんな事を言ったら、「じゃあ自分は何なんだ?」と思う。先日のGP予想三番勝負は見事にハズレ(ね、言ったとおりでしょ?)、しかもヒモ抜けではなく本命視した選手が全員敗れている。ましてGP優勝戦は「負ける要素がない」はずの峰竜太が瓜生正義のまくりを浴びた上にターンマークに接触して転覆(したように見えた)、そこに3選手が追突して転覆という超アクシデント(大アクシデントなんてレベルじゃない。なお峰竜太は妨害失格、丸野一樹、平本真之、毒島誠は選手責任外の転覆失格)。完走が2艇という事で3連単、3連複は不成立の全額返還、その額は41億1426万3700円という事で「ボートレース史上最悪の返還」が発生してしまった(それでも節間売り上げは240億超と2年前のナイターGPより2割くらい売れている)。なお、それまでの最大返還事象は2002年GCの優勝戦で2艇F→24億3513万3800円の返還。しかもシリーズ優勝戦(11R)も返還は発生していないが事故レースになっている。
これは「DJカートンの呪い」かも知れない
と思った。そして今回の結果を受けて
粗品の呪い? そんなの屁でもないわ!
と自虐(?)したくなる。…正直こんな気持ちで年末のQC予想をしてもいいのか、という気持ちにすらなってしまう(多分するけど)。とりあえず4選手に大きな怪我がなかった(そこまで「呪い」が及んではいなかった)のは不幸中の幸いだと思いたい。また4から買って大儲けし損ねた人も「呪い」の対象になってしまうかも知れないが、恨むなら自分ではなく「自分の財布をパクった奴」を恨んでほしい。
もしこれがスタート事故(出遅れも返還)だったとしたら対象選手は「来年のSG全て出場不可(確定している優先出走権も剥奪)」「F休み明けから6か月間GⅠGⅡ出場不可(地区選手権まで斡旋が決まっているのでその後1か月F休み→GⅠに出れるようになるのは9月末くらい、という概算になる)」という重いペナルティ(以前も書いたけど再記)も科される。大きいレースに出られなくなるので当然ながら獲得できる賞金は激減する(ペナルティ期間外のGⅠである程度稼げたとしてもせいぜい年間で4000万いくかどうか、だと思われる)。峰竜太が最近の取材で「もしあれ(昨年のGP優勝戦)がフライングだったら税金も払えない」なんて事を話していたが、別にあれは峰流のジョークとかではなく「本当ににそうなってしまう」という話である【*1】」。今回の場合どう考えても(?)返還の起因となったのは峰の選手責任転覆であるが、今のルールでは「妨害失格により結果として返還が発生した場合」でもそれに伴う前述のようなペナルティは科されないので、峰竜太が出場資格を失ったレースというのはない。
だが、今回の件を受けて今後ルール改正が行われる可能性はないとは言えない。実際「Fによる返還」と比べると「多重事故による返還」は発生率が相当低い(4艇以上が失格にならないと返還は発生しない)ので、業界の人もあまり深刻には考えていなかったのかも知れないが、前述のように今回は「過去の記録を大きく上回る額の返還が発生」したので何らかの方針を打ち出す可能性はありそう、というか「かなり高い」と思う。例えば「返還が発生するその要因となった(妨害失格の)選手はスタート事故と同様のペナルティ(つまり30日間の自粛欠場+α)が科される」みたいな感じで。もしこのペナルティを今回の事象に適用したら(今年も1.5億くらい稼いでいる)峰竜太は文字どおり「税金も払えない」状態になってしまう。
「らしからぬミス」で今回のような大惨事(?)を引き起こしてしまった峰竜太の心境は「外野の人間には想像もつかない」。前回の予想で「丸野のメンタルが鍵」なんて書いたが、一番メンタルが揺れていたのは実は(GP連覇もかかっていた)峰の方だったのかも知れない。
その一方で「彼も人間だったという事が証明された」とも思った。無論「生物学上は」昔から人間であろうが勿論そういう話ではない。彼もミスやメンタルといった「人間らしさ」も併せ持つ1人のボートレーサーである、という話(それでも普通の人間ではないと思うけど)。…そして今回の一件で(ミスやメンタル面をほとんど見せていない)藤井聡太がそれまで以上に「人間以外のもの」に見えるようになってしまった。