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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

今の内閣に状況好転を期待できない要因

木村義雄14世名人が「太平洋戦争で日本が敗れた要因として挙げたもの」を知っている人は多分かなりマニアックな(?)将棋ファンだと思う【*1】。

 

(考慮タイム)

 

木村義雄14世名人は

「肩書である」

つまり大戦時の「帝国軍」では肩書の多い連中ばかりが重用されて真に能力のある人間がその力を発揮する事ができなかったから日本は敗れたのだ、と結論付けた。ちなみに当時「肩書偏重」な国は世界的に見ても日本くらいであり、同じ敗戦国でもドイツやイタリアは「実力主義」を採用していた。

今の将棋界の中心をなす順位戦」はこの概念を基に構築されたもので、段位の肩書を廃し、順位戦の順位をそのまま棋士の序列とする事で将棋界を健全な「実力主義」の世界にしようという木村義雄14世名人の考えから始まっている(もっとも肩書としての「段位」は結局今も残っているのだが)。なので本来なら自分が(棋士番号順で)席次上位なのに「自分の方が順位戦の順位が下だから」と言って相手に上座を譲るというシーンをたまに見かける。

 

木村義雄14世名人がこの考えを提唱してから75年くらいが経つ。…今の日本の内閣はまさに当時の「肩書重用主義」という悪夢の再来、言い換えるなら「凄惨でみじめな戦後」という未来の予兆と言っても過言ではないと思う。…というより戦後から(というより奈良・平安の時代から?)現代に至るまでこの国の中枢における「肩書重用主義」は変わっていないな、と思う。

 

肩書というのは結局のところ過去の実績(というか成功・栄光)に過ぎず、今現在求められている能力とは必ずしも一致するとは限らない。ましてや今地球上を覆っているのは「人類史上前例がない」と言ってもいいような災厄なので「肩書」で解決できる事は皆無と言ってもいいだろう。今の内閣は「お友達内閣」なんて揶揄されるが、「安倍が自分にとって都合のいい人物で周りを固めている」というのは「『肩書』を基に周りの人間を固めている」のとほぼ同じ事なわけで、どちらにせよ実力主義」「能力主義」とは程遠い内情なのは自分などが語るまでもない。

そしてもう1つ、「肩書を持つ人間は失敗を恐れる」という弊害もある。「肩書を持つ人間はその肩書に傷が付く事を嫌う」と言う方が分かりやすいかも(皆さんの周りにもそういう人がいるのではないだろうか)。…赤木しげるに言わせると「肩書がその人を乗っ取りにくる」「肩書が失敗する事を許さない」という事になりそうだが【*2】、いずれにせよそういう人間に「リスクのある行動」が取れるわけがない。もっと分かりやすい(?)言い方をするなら、肩書を持つ人間は

「効果の大きさ」よりも「失敗した時に自分が被るリスクの大きさ」が行動の基準になる

し、それを突き詰めると

「失敗の責任を他人に押し付けられる行動しかとらない」ようになってしまう

という事になる。「10万円給付」にしても結局実施されるらしいが【*3】、ここまで実現が遅れたのは麻生が「過去の失敗?」を盾にした、言い換えるなら「失敗した時のリスク(批判、ひいては支持率や票の喪失)を極端に恐れた」事の証左だし、他の国アメリカとか)が同様の政策を実施して「その効果を見てから自分たちもやろう」という「悪い意味でのリスクヘッジとも言える(いかにも「前例のない事を嫌う」日本人らしいやりようである)。またそれらの政策を自ら言うのではなく専門家会議とやらに言わせる事で「責任逃れをしようとしている」のがありありと出ている(最終的にGOサインを出したのはてめぇなのだから責任逃れができるはずがないのだが)*4】。

そしてそういう輩なのだからこの先経済が冷え込んで失業者や自殺者、餓死者が続出しても自らの非を認めるわけがなく、

「国民が外出を自粛しなかった事でコロナの収束が遅れたからだ」などとその責任を国民になすり付ける確率は100%

と断言してもいいだろう。…間違いなく殺意を覚える

中でも特に厄介なのは「2世議員」とか言われる輩で、「家名」が時に「肩書」と同等の効力(弊害)を発揮してしまう、つまり「家名に傷を付けたら先祖に申し訳が立たないし自分の子供を要職に就けることもできなくなってしまう」という言い訳が行動を縛る枷になり得る。ましてそれは「自分の努力・実績で勝ち得たもの」ではないので、他人を犠牲にしてでもそれを守ろうとする姿には殺意以上のものを覚えかねない

翻って(COVID-19対策が上手くいっている)諸外国や一部の自治体の為政者を見ると、そのほとんどは「(現在の地位以外の)肩書」が少ない人だと思う。ついでに言うとそれ故「しがらみ」や「利権」も少ないので忖度などという代物に囚われない大胆な政策を断行している(ので結果が出ている)人が多い。一部の市町村では給付金を「金融機関からの融資で立て替え」という方法で可能な限りの速度で給付開始しているが、ここまで大胆な施策は「肩書に傷が付く事を恐れる人」には逆立ちしたってできないだろう。できるわけがない。松本人志氏は後輩芸人に最大で100万円を無利子無担保で貸し付ける、という救済プランを打ち出したが、これも「リスクから考える人」には絶対にできない(面識のある後輩は1000人くらいいる=最大で10億円規模になるし、しかも「返って来ない」というリスクも十分に考えられるから)。

 

世の中には「肩書に傷が付く事を恐れない」人もいるだろうが、非常に少数派と言えるだろう【*5】。つまり平時ならともかく、

緊急を要する時勢に「肩書主義」の人間などほとんど役に立たない、それどころか有害である

と言える。なので

「肩書(世襲を含む)で集められた」今の内閣に事態の収拾(国民の生活の安定)を望むのは「宝くじに当たる事を願う」のと同レベルで「期待できない」

と言ってしまってもいい。…もっとも今は(自分を含めて)その「期待できない内閣」に期待しないと死にそうな人が大勢いるのだから全くもって「笑えない話」である。それこそ「野垂れ死ぬくらいなら安倍と刺し違える」なんて人も出てくるかも知れない。

無論殺人は忌むべき行為だが、もしそうなった場合本来なら起こるはずのなかった殺人事件」を起こさせた要因がどこ(誰)にあるのか、というのは考えた方がいい。でもこの期に及んでもまだ「憲法改正」などという戯言をほざいていたら冗談抜きで刺されるかも知れんぞ。

*1:それ以前に「藤井聡太(の影響)で将棋を始めた人」だと「…誰?」と返されそうだ。

*2:詳しくは「天」第18巻を参照。

*3:システムの煩雑さ、至急までの速度などを考えると「結局はもらえない」という可能性が捨てきれないので「らしい」と書いている、というか書きたくなる。

*4:同じ理屈で最近声が上がっている「学校の新学期を9月に」というのも今の内閣にそれを推し進める「度胸」はあるはずがない。よっぽど美味い「利権」が絡めば話は別だろうが(笑)。

*5:傷が付いて困るような肩書は持ち合わせていない自分でも将来どうなるかは予測できない。