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それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

今の日本には「ぜんざい公社」が実在する?

政府が打ち出した「1世帯当たり30万円」の給付金。ネット上でこれに対する弁護士や社労士のコメントを見かける事があるが、その内容はどれもほぼ同じようなもの。

(政府は給付金を)払う気がありませんね」

素人の自分でもそう感じたくらいであるが、専門家がそういうくらいなのだからこの政策は「人類史上でも五指に入る愚策」と言っても過言ではなかろう。

まず受給条件が非常に分かりづらい&資格者が少なそう(政府の言う1000万世帯という数字も全く信用ならない)だし、手続きも非常に面倒そう(それの対応をする役所の人間が過労死しそう)だし、仮に通ったとしても受給は2ヶ月くらい先、とか、まるで話にならない。

 

…そんな惨状であるが、「この政策、どこかで既視感があるな」と思った。…しばらく考えて答えが出た。それは「ぜんざい公社」という落語。新作落語としては「代書」に匹敵、あるいはそれ以上の知名度があり、上方で生まれて江戸でも演じられている、というのも「代書」と共通している(最近では東京の昔昔亭桃太郎師匠がよく演じているように思う)。

 

ある男がぜんざいを食べるために「ぜんざい公社」を訪れるが、ぜんざいを食べるだけのためにいろいろな書類を書かされる、保証人を用意させられる、身体検査を受けさせられる(受診料も別途取られる)、火器使用許可証の提示を求められる、など各部署をたらい廻しにされる腹を立てた男が帰ろうとすると「契約を途中で破棄すると威力業務妨害で逮捕されます」とまで言ってくる始末【*1】。そしてようやく出てきたぜんざい(「公社」の場所とぜんざいを出される場所が遠く離れている場合もある。勿論交通費は客の負担)だが食べるとちっとも甘くない。担当者に文句を言うと

「甘い汁は当方で吸わせていただいております」

…人によっては「聞いていて腹が立つ」落語かも知れない(別に演目や噺家が悪いわけではない)。

 

…さすがに手続きを途中で放棄したからといって罪にはならないかも知れないが、今回の給付金の話(つまり「面倒極まりない手続き」)と非常に酷似していると思う。そして給付金の方も受け取るまでに手続きその他の経費(印紙代とか)が掛かる可能性もあるので、手にできるのは30万円に満たない、つまり(議員どもに)甘い汁を吸われた後」という可能性は極めて高い。これが「文七元結」とか「子は鎹」のようなハッピーエンド(?)の噺ならともかく、ぜんざい公社が「リアル」で実現する(可能性がある)なんてのは全くもって笑えない話である。

 

桂南光師匠は9日に出演したテレビ番組で「”ああ、金を渡す気がないんだな”と思った」「まず渡せっちゅうねん」「金で苦労した事のない人が国会議員やってるからダメなんだ」などと一刀両断したという。…同感である。

*1:必要な書類や資格の内容、「罪状」は話し手によって異なる(「多額の違約金」だったり「詐欺罪」だったり「ぜんざい公社法」だったり…)。またそれぞれの部署は「公社の建物の1階と上階」で離れていて、しかも「エレベーターがない」となっている事がほとんど。