DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

「客寄せ」は大事(業種にもよるだろうけど)

詰パラの担当者は「客寄せ」という概念を意識している事が多い。

「客寄せ」というのは文字通り「客を寄せる(集める)事」、あるいは「集客のための催し物」という意味である。パラの場合は1問目に簡単な(あるいは「簡単そうに見える」)作品を置く事で読者の解答意欲をそそろう、という選題(配列)を指す。自分はあまり難解な作品を作る技量がないので(笑)、気が付くと自分の作品が「客寄せ」になっていた、という事はよくある。…別にそれで不満を言いたいわけではない(むしろトップバッターになる事で「自分の名が知れ渡る」というメリットがある)。

 

客寄せというのは基本的に不特定多数の、それも「新規の」客を集めるための工夫である。例えば飲食店の入り口に「大サービス!」とかいう広告を出すのも「客寄せ」の1つと言える。…そう言えば桂文枝の落語で「生ビール飲み放題! 何杯飲んでも1杯300円」というネタがあったが(何がおかしいかは分かりますよね?)、昨年の全国大会に行った時に同様の広告を見た記憶があったなぁ(笑)。

…ぶっちゃけ言うと「客から金を巻き上げる為の策略」であるから、時に詐欺まがいの「客寄せ」もよく見かける。以前ここでも書いた「裏でコッソリ『絶対に取れない設定』にして金を巻き上げる」という詐欺行為で逮捕されたゲーセンの経営者がいたが、それに近い事をやっている店はいくらでもある。例えば「アーム3本のクレーンゲーム」あれは設定された金額が投入されるまでは「アームの握力が途中で0になる=掴んだものを落とす=絶対取れない」作りになっている(落とした際のバウンドで穴に落ちて取れる、という事は極稀にあるが)。2年前に名古屋・大須で行われた名人戦で「玉将」と「飛車」の大きいクッションを関係者(主に田村七段)が大量にゲットしていたが、あれは店の人が「大甘設定にしました」と言っており(中継ブログか棋譜コメントかに書いてあった)、実際1000円前後でしっかりとした握力が発揮するような設定になっていた(ので短時間でいくつも取れる⇒あっという間になくなった)。反対に設定を思いっきり「絞れば」1つ取るのに1万円くらい使わせる事も(もしかしたら「∞」に設定する事も?)できる*1】。…まるでパチンコみたいな話だが、あの筐体はセガサ●ーだから…(以下略) また「すぐにでも取れそうな配置」にしてあるが、「アームの力が弱すぎて全く動かない(つまり1万円くらい使っても取れない)」という詐欺設定をしているゲーセンも探せばいくらでもある。確かに今はゲーセン自体が斜陽産業とも言えるので、簡単に景品を取られて赤字になる【*2】のを避けたくなるのも人情だが…

 

…話がズレた。ゲーセンの「ノスタルジアOp.3(オーパススリーと読む)」にはこんな曲が収録されている。

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そもそもがピアノと「猫」を題材としたゲームなのでこういう曲が収録される事に不思議はないが、こういう(有名な)曲はいかにも「客寄せ」の効果がありそうである。

…しかし客寄せできたはいいが、その曲が難し過ぎてクリアできない、となると「客寄せ」の効果はゼロになる。実際(他の曲だが)クリアできなかった人がプレイを途中で放棄して*3帰っていった、という現場を見た事がある。つまり客寄せというのは「新規客を集める事ができる」上で「新規客が楽しめる」事が絶対条件なのである。

羽生九段は「自分の子供や孫に将棋に興味を持ってもらいたい」という人の質問に対し、ただ一言

「負けてあげて下さい」

と答えている。つまり「勝つ喜び」を知ってもらう事が大事だと仰っている。だとしたら他のゲームでも同様に「負けてあげる(『勝たせてあげる』のほうがニュアンスとしては正確か)」事が客を増やすための最高の薬と言えるはずである。ボートレースも「当たりやすい」(6艇しかいない上に1号艇が有利な競技である)事が新規客の開拓に一役買っている、とも言える。

…これがゲーセンだったら前述のような「大甘設定」にする事で「勝たせてあげる」事はできる。しかし音ゲーってのはシステム上「勝たせてあげる」というのは非常に難しい、というより実質「不可能」。もしやるとしたら「曲(譜面)の難易度を下げる」くらいで、それはメーカーにしかできない(店側ではどうにもならない)。そして前述の曲に関して言うと、一番易しい「Normal」でレベル3というのは明らかに高い(初心者が尻込みしかねない)。その上この曲には最上級難易度の「Real譜面」まで存在する【*4】。

つまりKONAMIは「この曲を客寄せの位置づけと考えていない」「客寄せが下手くそ」かのどちらか、いや、両方だろう。…KONAMIは昔からこう(この手のマーケティングが下手)である。言うなれば「多額のお布施」を上納してくれる「檀家」の事しか考えていない、という感じである。これが銀座とかの高級クラブのような、要は「客単価の高い商売」かつ「店が客を選ぶ商売」だったらそれでもいい(むしろそうすべき)だろうが…

 

ちなみに自分は「知る人ぞ知る」とか「伝説(笑)」とかいうのが自分の理想のスタンスだと思っているので、基本的に「客寄せ」はあまり考えない主義である。

*1:某ゲーセンは「社長が億単位の競走馬を何頭も所有している」くらい儲かっているんだからその辺の設定はもっと緩くした方がいいんじゃないか? と思う。

*2:景品の単価は「高くても800円くらい」(風営法の関係であまり高いものは置けない)。デパートのゲーム機などで時折「買ったらン万円」の景品が飾られている事があるが、あれは「ゲーセン(風営法に基づく営業)ではない」のでああいうものが置ける(もっとも店側も「ン万円使わないと取れない」設定にしているが…

*3:通常はクリア失敗でも「1回で3曲プレイする事ができる」ゲームである。

*4:現時点ではReal譜面の存在しない曲も多い。レベルは別の基準になっており、Real1≒Expert譜面の10~11相当、Real2≒Expert譜面の12相当、Real3≒「人間が演奏する譜面ではない」(笑)。ちなみにExpert譜面とReal譜面は一定の条件を満たさないとプレイする事ができない。