DJカートン.mmix

それって早い話「金儲けのための忖度」って事では。

落ちた時点でアウト

20日のトライアル2ndで起きた不思議な出来事。

 

スタート後の1マークで2号艇と5号艇が接触、2号艇は何とか戦線に復帰したが5号艇は後ろにひっくり返って選手は落水。リプレイを見ると落水した選手と乗り手を失って虚しく旋回するボート【*1】が。当然の事ながらレスキュー(救助艇。レース時には1マークの奥で1艇が待機している)が出動するわけだが、レースが2周目に入る頃には曳航(えいこう)されているはずの5号艇がいない。どうやら落ちた選手はそのままボートに泳ぎ着いて(?)再乗艇して航走を再開したらしい。ルール上は「先頭の艇のゴールから30秒以内にゴールすれば完走扱い(これより遅れたら不完走失格)であり、5号艇は1着のゴールから24秒後くらいにゴールした。トライアル2ndは1着から得点が「10,9,7,6,5,4」、そして失格は0なので6着と失格では点数差が非常に大きいので何としてでも完走しておきたくなるのだろう(例年優勝戦進出のボーダーは3戦で21点前後になる事が多いので失格があったらファイナル行きはほぼ絶望的である)。

…しかし、レースの結果では5号艇は「落水失格」となっている。つまり「落ちた時点で失格」のようである(選手責任外だったので減点はなし、一方接触した2号艇は5着でゴールするも不良航法で減点7、差し引きで-2点)。競馬も数年前までは「落馬した地点から再騎乗してゴールすれば完走と認められた」が今は「落ちた時点で失格」となっている*2】。

…ここで疑問が。何故ルールでは失格になった5号艇は3周走ったのか。と言うより「何故失格を宣告しなかった」のか。以前書いた「失格欠場表示盤」に数字が出たらその選手は失格である。そしてそれを無視して航走を続けた場合は指示違反で「即刻帰郷」になる。しかし失格になった選手は何事もなく(?)5日目のレースに出走する。という事は「審判が失格を宣告しなかった」としか考えられないのである。あるいは審判が「まさか再乗艇して航走しているとは思わなかった」のか(レース場を見渡せば6艇走っているのが見えるはずだが…)。どちらにせよ極めて珍しい(?)審判部のミスではないかと思う。

 

…ただ、個人的には「落水しても再乗艇してトップから30秒以内にゴールできたら完走扱い」でもいいんじゃないか、と思う。つまりそれだけレース(ましてや今回の場合1億円がかかった賞金王決定戦のトライアルである)に対する意気込み、執念、ガッツ、といったものが評価されてもいいと思う。実際5号艇がゴールした後には多くの拍手が起こった(つまり再乗艇して走り切った事への称賛である)わけだし。

*1:エンストしていなければエンジン→プロペラは回り続けているので、落水したボートがその場でグルグル回っている事はよくある。

*2:国やレースによっては今も「再騎乗可能」なので、海外のレース(主に障害競走)だと落馬した後も必死に馬を追いかけようとする騎手をたまに見かける。